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2019-08-17 2019-09-26

K-12とは?アメリカで主流の幼稚園~中等教育を含む13年間の教育期間

海外、特にアメリカの教育について調べてみると「K-12」という言葉が頻繁に出てきます。

なんとなく耳にしたことはある言葉だけど、きちんと説明することはできない・・・そんな人も多いのではないでしょうか。

この記事では、アメリカのK-12の制度や、フィリピンでK-12が導入された背景、日本でK-12が注目される理由などを解説します。

K-12はアメリカで主流の学校制度

K-12(k twelve, k through twelve, k to twelve:ケートゥエルブ、ケースルートゥエルブ、ケートゥートゥエルブ)とは、アメリカをはじめカナダなどの英語圏を中心に、幼稚園1年と12年間の初等・中等教育を含めた13年間の教育期間を表すときに用いられる言葉です。

アメリカでは多くの場合、この13年間は義務教育期間として公的に無償の教育が提供されます。

アメリカでは州によって就学年齢の区切りや中学・高校の開始学年が異なるため一概には言えませんが、多くの州では6歳を初等教育の開始年齢としているため、K-12は5歳から18歳までの13年間、つまり日本でいう幼稚園の年長から高校3年生までの期間に該当していると言えます。

大学教育を含めた「K-16」

「K-12」が幼稚園から高校卒業までを指すのに対し、「K-16」という言葉はこれに大学教育段階までを含めた期間を指します。

幼児教育から小・中・高・大学まで一貫性をもった教育を考える際に使われるコンセプトです。

近年は先進国を中心に大学進学率が上昇し、学位取得者と高卒者の所得格差が大きく広がっていることを踏まえ、高校から大学への接続を意識した政策が国際的に増加しており、「K-16」という言葉も頻繁に使われるようになってきました。

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ミドルスクールとジュニアハイスクールの違い

日本でいう「中学校」にあたる期間を、アメリカでは「ミドルスクール」と呼んだり「ジュニアハイスクール」と呼んだりします。

K-12について調べるとこの2つの言葉が出てくることが多いですが、違いを知っていますか。

アメリカは1960年代までは日本のように初等教育6年、前期中等教育3年、後期中等教育3年とする学区が主流でした。

その際、前期3年をジュニア・ハイスクール、後期3年をシニア・ハイスクールと呼んでいました。

しかし、1980年代からシニア・ハイスクールを4年制にする学区が増え始めます。

その際、ジュニア・ハイスクールを2年にする学区と全く新しいコンセプトとしてミドルスクールを設置する学区が現れました。

ハイスクールの前期課程である「ジュニアハイスクール」とは異なり、新たに登場した「ミドルスクール」とは、初等教育とハイスクールのどちらにも属さず、その中間として橋渡しの役割を担う機関とされていました。

法的・制度的には中等教育として同様に扱われる「ミドルスクール」と「ジュニア・ハイスクール」ですが、このようなコンセプトの違いからいくつか相違点があります。

ジュニア
ハイスクール
ミドル
スクール
年齢 7~9年生 5~8年生
教育理念 教科中心 生徒中心

まず、ミドルスクールの方がジュニア・ハイスクールよりも低い年齢の生徒を教育対象としています。

ジュニア・ハイスクールが6-3-3制の名残から基本的に7年生から9年生を対象とするのに対し、ミドルスクールは一般的に5年生または6年生から始まり、8年生までを対象としています。

教育理念の違いもあります。

両方ともハイスクールへの準備機関ではありますが、ジュニア・ハイスクールが専門教科の学習に重点を置く教科中心主義であるのに対し、ミドルスクールはより協働学習や科目横断型の学習を重視しており生徒中心主義と言われています。

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アメリカのK-12制度の特徴

アメリカのK-12制度の特徴は、

  1. 無償教育であること
  2. 9月が年度始まりであること
  3. 飛び級(アクセラレーション)制度があること

の3つが挙げられます。以下で詳しく説明します。

無償教育

幼稚園から高校卒業までの「K-12」の期間は、ほとんどの州では無償で公的な教育が提供されているのが特徴です。

法的には、義務教育期間は州によって異なります。

12年生を修了する18歳までを義務教育とするのが一般的ですが、州によっては親の許可がある場合に14~17歳で学校に通わなくてもいいと認めているところもあります。

しかし、中等教育段階までは公立学校が設置されているため、高校卒業段階まで無償の教育は公的に保障されています。

アメリカには特徴的なカリキュラムを用意したり、宗教に基づいて運営されているような私立校もありますが、国の9割近くの高校生は公立校に通っているとされています。

9月が年度始まり

日本では4月から新しい年度が始まりますが、米国では9月がアカデミックイヤーのスタートです。

日本でいう小学校1年生は、アメリカではその年の12月までに6歳になる子どもが対象になります。

飛び級制度(アクセラレーション)

アメリカでは、中学・高校・大学に入学する年齢制限はありません

年齢ではなく、学力の発達段階に応じて適切な学年で学習すべきという考え方が主流だからです。

そのため、早期入学や学年をスキップして学ぶ(飛び級する)ことができます。

飛び級制度がある一方で、学習段階に遅れがある場合には留年する制度もあります。

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フィリピンでもK-12が導入された

フィリピンでは2013年、それまで10年間だった初等中等教育を12年間に拡張し、幼稚園から高校卒業段階までをアメリカと同様にK-12と呼ぶようになりました。

今までの初等教育6年、中等教育4年の6-4制から、1年の幼稚園教育のあと6年間の初等教育、4年間の前期中等教育と2年間の後期中等教育という6-4-2制に改められたのです。

フィリピンがこのような教育改革を行った背景として、世界標準となっている教育システムとのずれが問題化したことが挙げられます。

初等中等教育が10年間しかないことから、フィリピンで行われる初等中等教育の質を問題視する声が多くあがり、フィリピンの中等教育を終了して海外の大学に進学を希望しても入学を認められないことがありました。

国際学力テストでの点数の低さもこの改革を後押ししました。

フィリピンの教育省は、後期中等教育を2年間追加することによって、生徒たちがアカデミアに進むか、プログラミングを専門的に学べるような専門学校に進むか、スポーツや芸術の道に進むかなど自分の今後の進路を吟味し適切な高等教育を受けられるようになることで、職業スキルの向上につながると考えています。

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日本におけるK-12

日本の義務教育は小学校6年、中学校3年の9年間となっており高校は義務教育ではありませんが、現実的には高校進学率はほぼ100%となっています。

最近では、中等教育段階を一貫して行う中高一貫校や、小学校と中学校を連携する小中一貫校が増えてきました。

つまり、日本においても初等中等教育を一括して捉える「K-12」の考え方は広まっています。

日本において「K-12」や「K-16」の考え方が浸透し始めたのは、これまで「小学校6年、中学校3年、高校3年」という6-3-3制で固定化されてきた学校制度を見直す動きが背景にあります。

初等中等教育課程の区分をアメリカのように弾力的に設定することで、より効果的な教育を行うことができるという考えや、高大接続によってより社会に必要とされる人材を輩出できるという考えが広まってきたのです。

中高一貫校は増加している

まずは中高一貫教育への注目が6-3-3制の見直しの契機となりました。

高校進学率は昭和49年(1974年)に90%を超え、平成に入るとほぼ100%近くなりました。

このようにほぼ全員が高校に進学する状況で、高等学校入学者選抜が中学生に対して心理的負担になっていること、さらに中学校教育も学力偏重主義に傾倒していることなどの問題点が指摘されるようになりました。

その中で中学校と高校の間に入学者選抜を設けず、6年間の一貫した教育を行う中高一貫教育が注目されました。

中高一貫教育では6年間のスパンで計画的・継続的で効果的な教育を行うことができること、より特徴のある教育を行うことができることなどの利点が協調され、平成6年に初めて県立中高一貫校が誕生し、平成11年度から中高一貫教育制度が導入されました。

こうして、中高一貫教育が奨励されるなかで中高一貫校は公立私立ともに年々増え続け、平成28年度には学校数は約600校となりました。

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小中一貫教育は2016年に制度化

中高一貫校が増加する一方で、デメリットとして選抜の早期化が挙げられていました。

高校での入学者選抜を行わないことで、小学校卒業時に中高一貫校に入学するか否かを選択しなければならず、特に首都圏では受験競争の低年齢化が問題となりました。

また、教育方針が大きく異なる小学校と中学校の環境の変化に適応できずいじめが起きたり不登校になったりする生徒が増え、「中1ギャップ」として認識されるようになりました。

このような背景から小中一貫教育の必要性が徐々に指摘されるようになり、小学校6年間と中学校3年間を併せた義務教育課程9年間を連続したものと捉え、4-3-2制や5-4制の方が効果的な教育を行うことができるという意見が主張されるようになりました。

国は教育再生実行会議などを通じて検討を重ね、2016年に学校教育法の改正され小中一貫教育が制度化されました。

これにより、小中一貫教育を提供する義務教育学校、小中一貫型小・中学校が平成35年までに増加するという見通しが発表されています。

  • 義務教育学校:平成29年度48校→平成35年度以降100校に増加
  • 小中一貫型小学校・中学校:平成29年度253校→平成35年度以降525校に増加

※小中一貫教育を行う学校には、1人の校長と1つの教職員組織を持つ「義務教育学校」と、それぞれの学校に校長・教職員組織を持つ「小中一貫型小学校・中学校」の2種類があります。

▶徹底解説!学習指導要領「生きる力」の内容と改訂のポイント

高大接続、幼小連携など学校間連携が推進されている

小学校、中学校、高校の学校間を接続し、より柔軟なカリキュラムを組む動きが活発化していますが、初等中等教育の連携に留まらず中等教育と高等教育を結び付ける「高大接続」についても議論が活発化して久しいです。

国際化・情報化が進展し社会構造が急速に変化していく中で、自立的に活動していくためには新たな価値を想像していく力を育てることが必要だといわれています。

日本の大学進学率が約6割に達する今日、高等学校教育、大学教育、そして大学入学者選抜という3ファクターの一体的改革が必要だとされ、様々な改革が議論され、実行に移されています。

また、「中1ギャップ」のみならず「小1ギャップ」として幼稚園から小学校の段階移行が問題となる中で、幼稚園と小学校の連携についても議論が進んできました。

文部科学省が平成29年に幼稚園教育要領を改訂し、その中で幼稚園と小学校との連携が協調されました。

学校種間のつながりをスムーズにするだけでなく、「義務教育及びその後の教育の基礎を培うもの」として幼児教育の公教育としての意義を明確にすることにもつながりました。

このように幼稚園から義務教育課程への教育の接続も進められています。

▶いまさら聞けない「高大接続改革」とは?

英語教育でも注目

ここまで述べてきたように、日本では現在6-3-3制の学校制度改革が進められており、幼稚園から高校、大学へと一貫した教育課程を目指しています。

一貫した教育課程が子どもの学びに様々なメリットをもたらすため、このような教育改革が行われているのですが、その中で特に効果があるとして注目されている分野に「英語教育」が挙げられます。

文科省は、英語教育の強化が日本にとってきわめて重要な課題であるとして現在英語教育改革に乗り出しており、英語教育改革の重要な柱として小中高を通じた体系的な教育活動が必要であるとしています。

参考

▶SGH(スーパーグローバルハイスクール)とは?グローバルリーダーを育む高校

▶SGU(スーパーグローバル大学)とは?グローバル人材育成に特化した大学

まとめ

今回は、アメリカなど海外の幼稚園から高校卒業までを表す「K-12」という言葉について解説しました。

日本でも「K-12」や、さらに大学教育まで含めた「K-16」に似た考え方が広まっています。幼稚園から高校、大学まで一貫した教育課程を目指す考えは今後ますます拡大していくでしょう。

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