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2019-06-13

徹底解説!学習指導要領「生きる力」の内容と改訂のポイント

2020~2030年の学校教育の基盤を担う、学習指導要領「生きる力」が既に一部で実施されています。

小学校でプログラミング科目が追加される、英語教育が必修化になるなど、2017・2018年改訂の学習指導要領の一部は知っていても、全貌を把握できている方は少ないかと思います。

この記事では、前半で学習指導要領の改訂に関する基本的な内容を、後半で新たに始まる学習指導要領「生きる力」について解説します。

「改訂のポイントを抑えたい」という方は、「新しい学習指導要領『生きる力』の5つのポイント」までを読めば、大枠を把握することができます。

後半では、各教育機関別で学習指導要領の内容を説明しています。改訂された内容の詳細を知りたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

学習指導要領とは

学習指導要領とは、各学校で教育課程(カリキュラム)を編成する際の基準のことです。

日本全国のどの地域でも一定の水準の教育を受けられるようにするために、文部科学省が学校教育法等に基づいて定めています。

学習指導要領は小学校、中学校、高等学校等ごとに、それぞれの教科等の目標や大まかな教育内容、指導方法の要点を示します。

各学校はこの学習指導要領や年間の標準授業時数等を踏まえて、地域や学校の実態に応じて教育課程(カリキュラム)を編成します。

また、小学校、中学校、高等学校の教科書はこの学習指導要領に倣って作成されています。

これまでの学習指導要領の変遷

学習指導要領は戦後すぐに試案として作られましたが、現在のような文部科学省告示の形で定められたのは昭和33年(1955年)で、以来ほぼ10年毎に改訂されてきました。

それぞれの改訂における主な狙いと特徴は、以下のようになっています。

1955~1957(昭和33~35)年改訂

狙い 系統的な学習を重視し、教育課程の基準としての性格の明確化
学習指導要領の特徴 道徳の時間の新設、基礎学力の充実、科学技術教育の向上等

1965~1967(昭和43~45)年改訂

狙い 教育内容の一層の向上(教育内容の現代化)
学習指導要領の特徴 時代の進展に対応した教育内容の導入、算数における集合の導入等

1974・1975(昭和52・53)年改訂

狙い ゆとりのある充実した学校生活の実現、学習負担の適正化
学習指導要領の特徴 各教科等の目標・内容を中核的事項にしぼる

1989(平成元)年改訂

狙い 社会の変化に自ら対応できる心豊かな人間の育成
学習指導要領の特徴 生活科の新設、道徳教育の充実、高等学校家庭科の男女必修化等

1998・1999(平成10・11)年改訂

狙い 基礎・基本を確実に身に付けさせ、自ら学び自ら考える力などの「生きる力」の育成
学習指導要領の特徴 教育内容の厳選、「総合的な学習の時間」の新設、情報科の高等学校での導入等

2003年(平成15)年一部改正

狙い 学習指導要領のねらいの一層の実現
学習指導要領の特徴 小学校の習熟度別指導の記述追加、小・中学校の補充・発展学習の記述追加

2008・2009(平成20・21)年改訂

狙い 「生きる力」の育成、基礎的・基本的な知識・技能の習得、思考力・判断力・表現力の育成のバランス
学習指導要領の特徴 授業時間数の増加、指導内容の充実、小学校外国語活動の導入

2015(平成27)年一部改正

狙い 答えが一つではない課題に子どもたちが向き合い、考え、議論する教育への転換
学習指導要領の特徴 道徳の「特別の教科」化

2017・2018年の学習指導要領改訂の背景

これまで学習指導要領は時代の変化や子どもたちの状況、社会の要請などを踏まえ、おおよそ10年ごとに改定されてきました。

平成20年に行われた前回改定では、知識基盤社会で重要になる子どもたちの「生きる力」をバランスよく育んでいく観点から見直しが行われました。

特に学力に関しては、「ゆとり教育」か「詰め込み教育」かという議論を乗り越え、学力を「基礎的な知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体的に学習に取り組む態度」という3つの要素に分類し、これらをバランスよく育成することが重視されました。

教育目標や内容の見直しと共に、言語活動や体験活動の重視、そして必要な授業時数が確保されました。

改定後の子どもたちの現状に関して、学力については国内外の学力調査から改善傾向が見られます。

その一方で、判断の根拠や理由を明確にしながら自分の考えを述べる能力については課題が指摘されています。また、学ぶことと自分の人生や社会とのつながりの実感は低く、学習したことを生活や社会の中で生かしていく面にも課題が見られます。

さらに、新しい学習指導要領は2020~30年の学校教育の基盤を担いますが、社会が加速度的に変化する中で将来の見通しを立てることはますます難しくなってきました。

人工知能の普及やインターネットの生活への浸透は社会や生活を大きく変えることが予想されます。

このような時代には、変化を前向きに受け止め、社会や人生をより豊かにしていくためにはどうすべきかを自ら主体的に考えだすことができる力が必要です。

この力は、これまでの学校教育で育まれるものとは異なるため、現状の子どもたちが抱える課題を踏まえたうえで、学校教育で育成を目指す「生きる力」を改めて捉えなおす必要が出てきました。

こういった背景から、今回、新しい学習指導要領「生きる力」が作られました。

新しい学習指導要領「生きる力」の5つのポイント

新しい時代を生きる子どもに必要な3つの力を養う

新しい学習指導要領は、育成すべき資質・能力の3つの柱である「知識及び技能」,「思考力、判断力、表現力等」,「学びに向かう力、人間性等」の養成を目的としたものです。

文部科学省は、この3つの柱が、児童の確かな学力、豊かな心、健やかな体の育成を支えると考えています。

各学校では、学校教育全体および各教科等における指導等において、3つの柱のバランスある育成を通じ、児童の「生きる力」の育成に努めることが求められます。

社会と連携した、「社会に開かれた教育課程」の実現

文部科学省は、「社会に開かれた教育課程」を、以下の3つの要素に分けて説明しています。

  • 社会や世界の状況を幅広く視野に入れ、よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創るという目標を持ち、教育課程を介してその目標を社会と共有していくこと。
  • これからの社会を創り出していく子供たちが、社会や世界に向き合い関わり合い、自分の人生を切り開いていくために求められる資質・能力とは何かを、教育課程において明確化し育んでいくこと。
  • 教育課程の実施に当たって、地域の人的・物的資源を活用したり、放課後や土曜日等を活用した社会教育との連携を図ったりし、学校教育を学校内に閉じずに、その目指すところを社会と連携・共有しながら実現させること

学習内容は削減しない(現行学習指導要領の枠組みの維持)

2008年に改訂された、現在の学習指導要領の枠組みは維持し、学習内容の削減は行わない方針です。

2017・2018年の改定では、新しい時代に必要となる資質・能力を踏まえた、教科・科目の新設や目標・内容の見直しが行われます。

新設される教科・科目としては、小学校の外国語教育や、高校の新科目「公共」などがあります。

アクティブラーニングの視点から学習過程を改善

文部科学省は「主体的・対話的で深い学び(「アクティブ・ラーニング」)の視点からの授業改善について(イメージ)」において、以下のように説明しています。

「主体的・対話的で深い学び」の視点に立った授業改善を行うことで、学校教育における質の高い学びを実現し、学習内容を深く理解し、資質・能力を身に付け、生涯にわたって能動的(アクティブ)に学び続けるようにすること

「主体的な学び」「対話的な学び」「深い学び」の3つの学びの実現を目標として、授業改善を行う方針です。

各学校におけるカリキュラム・マネジメントの確立

カリキュラムマネジメントは、新しい方法を導入することを目的とするものではありません。

それぞれの学校の実態に応じて、既存の取組や組織を活かし、その取組の質を向上させることが目的です。

例えば、職員会議や学年会などの既存の会議の場を活かすことや、学校運営協議会や保護者説明会などを活用することなどが考えられます。

幼稚園の学習指導要領の概要

改訂のポイント

幼稚園教育要領には、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」として、以下の「10個の身につけてほしい資質能力」が設定されました。

1 健康な心と体 幼稚園生活の中で、充実感をもって自分のやりたいことに向かって心と体を十分に働かせ、見通しをもって行動し、自ら健康で安全な生活をつくり出すようになる。
2 自立心 身近な環境に主体的に関わり様々な活動を楽しむ中で、しなければならないことを自覚し、自分の力で行うために考えたり、工夫したりしながら、諦めずにやり遂げることで達成感を味わい、自信を持って行動するようになる。
3 協同性 友達と関わる中で、互いの思いや考えなどを共有し、共通の目的の実現に向けて、考えたり、工夫したり、協力したりし、充実感をもってやり遂げるようになる。
4 道徳性・規範意識の芽生え 友達と様々な体験を重ねる中で、してよいことや悪いことが分かり、自分の行動を振り返ったり、友達の気持ちに共感したりし、相手の立場に立って行動するようになる。また、きまりを守る必要性が分かり、自分の気持ちを調整し、友達と折り合いを付けながら、決まりをつくったり、守ったりするようになる。
5 社会生活との関わり 家族を大切にしようとする気持ちをもつとともに、地域の身近な人と触れ合う中で、人との様々な関わり方に気付き、相手の気持ちを考えて関わり、自分が役に立つ喜びを感じ、地域に親しみをもつようになる。
また、幼稚園内外の様々な環境に関わる中で、遊びや生活に必要な情報を取り入れ、情報に基づき判断したり、情報を伝え合ったり、活用したりするなど、情報を役立てながら活動するようになるとともに、公共の施設を大切に利用するなどして、社会とのつながりなどを意識するようになる。
6 思考力の芽生え 身近な事象に積極的に関わる中で、物の性質や仕組みなどを感じ取ったり、気付いたりし、考えたり、予想したり、工夫したりするなど、多様な関りを楽しむようになる。
また、友達の様々な考えに触れる中で、自分と異なる考えがあることに気付き、自ら判断したり、考え直したりするなど、新しい考えを生み出す喜びを味わいながら、自分の考えをよりよいものにするようになる。
7 自然との関わり・生命尊重 自然に触れて感動する体験を通して、自然の変化などを感じ取り、好奇心や探求心をもって考え言葉などで表現しながら、身近な事象への関心が高まるとともに、自然への愛情や畏敬の念をもつようになる。
また、身近な動植物に心を動かされる中で、生命の不思議さや尊さに気付き、身近な動植物への接し方を考え、命あるものとしていたわり、大切にする気持ちをもって関わるようになる。
8 数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚 遊びや生活の中で、数量や図形、標識や文字などに親しむ体験を重ねたり、標識や文字の役割に気付いたりし、自らの必要感に基づきこれらを活用し、興味や関心、感覚をもつようになる。
9 言葉による伝え合い 先生や友達と心を通わせる中で、絵本や物語などに親しみながら、豊かな言葉や表現を身に付け、経験したことや考えたことなどを言葉で伝えたり、相手の話を注意して聞いたりし、言葉による伝え合いを楽しむようになる。
10 豊かな感性と表現 心を動かす出来事などに触れ感性を働かせる中で、様々な素材の特徴や表現の仕方などに気付き、感じたことや考えたことを自分で表現したり、友達同士で表現する過程を楽しんだりし、表現する喜びを味わい、意欲をもつようになる。

学習指導要領の主な改善事項

幼稚園の指導事項は、「環境」と「言葉」の領域が主に改訂されます。

「環境」領域では、”日常生活の中で、我が国や地域社会における様々な文化や伝統に親しむ。”という、下記内容が追記されました。

文化や伝統に親しむ際には、正月や節句など我が国の伝統的な行事、国歌、唱歌、わらべうたや我が国の伝統的な遊びに親しんだり、異なる文化に触れる活動に親しんだりすることを通じて、社会とのつながりの意識や国際理解の意識の芽生えなどが養われるようにすること。

「言葉」領域では、指導内容の追加はありませんが、取り扱う上で留意する事項として、下記内容が追記されました。

幼児が生活の中で、言葉の響きやリズム、新しい言葉や表現などに触れ、これらを使う楽しさを味わえるようにすること。その際、絵本や物語に親しんだり、言葉遊びなどをしたりすることを通して、言葉が豊かになるようにすること。

小学校の学習指導要領の概要

改訂のポイント

小学校の学習指導要領の基本的な考え方は、4つのテーマ別に以下のように設定されました。

初等中等教育の一貫した学びの充実

  • 小学校入学当初における生活科を中心とした「スタートカリキュラム」の充実
  • 幼小、小中、中高といった学校段階間の円滑な接続や教科等横断的な学習の重視

主権者教育、消費者教育、防災・安全教育などの充実

  • 市区町村による公共施設の整備や租税の役割の理解(小:社会)、国民としての政治への関わり方について自分の考えをまとめる(小:社会)、主体的な学級活動、児童会・生徒会活動(小:特別活動)
  • 売買契約の基礎(小:家庭)
  • 都道府県や自衛隊等国の機関による災害対応(小:社会)、自然災害に関する内容(小:理科)
  • オリンピック・パラリンピックの開催を手掛かりにした戦後の我が国の展開についての理解(小:社会)、オリンピック・パラリンピックに関連したフェアなプレイを大切にするなどスポーツの意義の理解(小:体育)、障害者理解・心のバリアフリーのための交流(小:総則、道徳、特別活動)
  • 海洋に囲まれ多数の島からなる我が国の国土に関する指導の充実(小:社会)

情報活用能力(プログラミング教育を含む)

  • コンピュータ等を活用した学習活動の充実(各教科等)
  • コンピュータでの文字入力等の習得、プログラミング的思考の育成(小:総則、各教科等(算数、理科、総合的な学習の時間など))

子供たちの発達の支援(障害に応じた指導、日本語の能力等に応じた指導、不登校等)

  • 学級経営や生徒指導、キャリア教育の充実について、小学校段階から明記。(小:総則、特別活動)
  • 特別支援学級や通級による指導における個別の指導計画等の全員作成、各教科等における学習上の困難に応じた指導の工夫(小:総則、各教科等)
  • 日本語の習得に困難のある児童生徒や不登校の児童生徒への教育課程(小:総則)

学習指導要領の主な改善事項

小学校の教育内容の改善事項は、科目別に以下が挙げられます。

「言語能力の確実な育成」

  • 発達の段階に応じた、語彙の確実な習得、意見と根拠、具体と抽象を押さえて考えるなど情報を正確に理解し適切に表現する力の育成(国語)
  • 学習の基盤としての各教科等における言語活動(実験レポートの作成、立場や根拠を明確にして議論することなど)の充実(総則、各教科等)

「理数教育の充実」

  • 前回改訂において2~3割程度授業時数を増加し充実させた内容を今回も維持した上で、日常生活等から問題を見いだす活動(算数)や見通しをもった観察・実験(理科)などの充実によりさらに学習の質を向上
  • 必要なデータを収集・分析し、その傾向を踏まえて課題を解決するための統計教育の充実(算数)、自然災害に関する内容の充実(理科)

「伝統や文化に関する教育の充実」

古典など我が国の言語文化(国語)、県内の主な文化財や年中行事の理解(社会)、我が国や郷土の音楽、和楽器(音楽)、 和食や和服(家庭)などの指導の充実

「道徳教育の充実」

先行して実施されている「道徳の特別教科化」による道徳的価値を自分事として理解し、多面的・多角的に深く考えたり、議論したりする道徳教育の充実

「体験活動の充実」

生命の有限性や自然の大切さ、挑戦や他者との協働の重要性を実感するための体験活動の充実(総則)、自然の中での集団宿泊体験活動や職場体験の重視(特別活動等)

「外国語教育の充実」

  • 小学校において、中学年で「外国語活動」を、高学年で「外国語科」を導入
  • 小・中・高等学校一貫した学びを重視し、外国語能力の向上を図る目標を設定するとともに、国語教育との連携を図り日本語の特徴や言語の豊かさに気付く指導の充実

※小学校の外国語教育の充実にあたっては、新教材の整備、養成・採用・研修の一体的な改善、専科指導の充実、外部人材の活用などの条件整備を行い支援

中学校の学習指導要領の概要

改訂のポイント

中学校の学習指導要領改訂内容は、小学校とほぼ同一の内容となっています。

初等中等教育の一貫した学びの充実

幼小、小中、中高といった学校段階間の円滑な接続や教科等横断的な学習の重視(中:総則、各教科等)

主権者教育、消費者教育、防災・安全教育などの充実

  • 民主政治の推進と公正な世論の形成や国民の政治参加との関連についての考察(中:社会)、主体的な学級活動、児童会・生徒会活動(中:特別活動)
  • 少子高齢社会における社会保障の意義、仕事と生活の調和と労働保護立法、情報化による産業等の構造的な変化、起業、国連における持続可能な開発のための取組(中:社会)
  • 計画的な金銭管理や消費者被害への対応(中:技術・家庭)
  • 自然災害に関する内容(中:理科)
  • オリンピック・パラリンピックに関連したフェアなプレイを大切にするなどスポーツの意義の理解(中:保健体育)、障害者理解・心のバリアフリーのための交流(中:総則、道徳、特別活動)
  • 海洋に囲まれ多数の島からなる我が国の国土に関する指導の充実(中:社会)

情報活用能力(プログラミング教育を含む)

コンピュータ等を活用した学習活動の充実(各教科等)

部活動

教育課程外の学校教育活動として教育課程との関連の留意、社会教育関係団体等との連携による持続可能な運営体制(中:総則)

子供たちの発達の支援(障害に応じた指導、日本語の能力等に応じた指導、不登校等)

  • 学級経営や生徒指導、キャリア教育の充実について、小学校段階から明記。(中:総則、特別活動)
  • 特別支援学級や通級による指導における個別の指導計画等の全員作成、各教科等における学習上の困難に応じた指導の工夫(中:総則、各教科等)
  • 日本語の習得に困難のある児童生徒や不登校の児童生徒への教育課程(中:総則)、夜間その他の特別の時間に授業を行う課程について規定(中:総則)

学習指導要領の主な改善事項

中学校の教育内容の改善事項は、小学校の改善事項とほぼ同一の内容となっています。

「言語能力の確実な育成」

  • 発達の段階に応じた、語彙の確実な習得、意見と根拠、具体と抽象を押さえて考えるなど情報を正確に理解し適切に表現する力の育成(国語)
  • 学習の基盤としての各教科等における言語活動(実験レポートの作成、立場や根拠を明確にして議論することなど)の充実(総則、各教科等)

「理数教育の充実」

  • 前回改訂において2~3割程度授業時数を増加し充実させた内容を今回も維持した上で、日常生活等から問題を見いだす活動(数学)や見通しをもった観察・実験(理科)などの充実によりさらに学習の質を向上
  • 必要なデータを収集・分析し、その傾向を踏まえて課題を解決するための統計教育の充実(数学)、自然災害に関する内容の充実(理科)

「伝統や文化に関する教育の充実」

古典など我が国の言語文化(国語)、我が国や郷土の音楽、和楽器(音楽)、 和食や和服(技術・家庭)などの指導の充実

「道徳教育の充実」

先行実施されている「道徳の特別教科化」による、道徳的価値を自分事として理解し、多面的・多角的に深く考えたり、議論したりする道徳教育の充実

「体験活動の充実」

生命の有限性や自然の大切さ、挑戦や他者との協働の重要性を実感するための体験活動の充実(総則)、自然の中での集団宿泊体験活動や職場体験の重視(特別活動等)

「外国語教育の充実」

小・中・高等学校一貫した学びを重視し、外国語能力の向上を図る目標を設定するとともに、国語教育との連携を図り日本語の特徴や言語の豊かさに気付く指導の充実

高等学校の学習指導要領の概要

改訂のポイント

2017・2018年の学習指導要領の改訂は、文部科学省によれば、高等学校教育を含む初等中等教育改革と、大学教育改革、両者をつなぐ大学入学者選抜改革の一体的改革の中で実施される改訂とされています。

高等学校において育成を目指す資質能力を踏まえつつ、教科・科目の構成が改善される予定です。例として、以下のような科目などの再編、新設が行われます。

  • 国語科における科目の再編(「現代の国語」「言語文化」「論理国語」「文学国語」「国語表現」「古典研究」)
  • 地理歴史科における「歴史総合」「地理総合」の新設
  • 公民科における「公共」の新設
  • 共通教科「理数」の新設

学習指導要領の主な改善事項

高等学校の学習指導要領には、科目別に以下の内容が追加されます。

言語能力の確実な育成

  • 科目の特性に応じた語彙の確実な習得、主張と論拠の関係や推論の仕方など、情報を的確に理解し効果的に表現する力の育成(国語)
  • 学習の基盤としての各教科等における言語活動(自らの考えを表現して議論すること、観察や調査などの過程と結果を整理し報告書にまとめること など)の充実(総則、各教科等)

理数教育の充実

  • 理数を学ぶことの有用性の実感や理数への関心を高める観点から、日常生活や社会との関連を重視(数学、理科)するとともに、見通しをもった観察、実験を行うことなどの科学的に探究する学習活動の充実(理科)などの充実により学習の質を向上
  • 必要なデータを収集・分析し、その傾向を踏まえて課題を解決するための統計教育を充実(数学)
  • 将来、学術研究を通じた知の創出をもたらすことができる創造性豊かな人材の育成を目指し、新たな探究的科目として、「理数探究基礎」及び「理数探究」を新設(理数)

伝統や文化に関する教育の充実

  • 我が国の言語文化に対する理解を深める学習の充実(国語「言語文化」「文学国語」「古典探究」)
  • 政治や経済、社会の変化との関係に着目した我が国の文化の特色(地理歴史)、我が国の先人の取組や知恵(公民)、武道の充実(保健体育)、和食、和服及び和室など、日本の伝統的な生活文化の継承・創造に関する内容の充実(家庭)

道徳教育の充実

  • 各学校において、校長のリーダーシップの下、道徳教育推進教師を中心に、全ての教師が協力して道徳教育を展開することを新たに規定(総則)
  • 公民の「公共」、「倫理」、特別活動が、人間としての在り方生き方に関する中核的な指導の場面であることを明記(総則)

外国語教育の充実

  • 統合的な言語活動を通して「聞くこと」「読むこと」「話すこと[やり取り・発表]」「書くこと」の力をバランスよく育成するための科目(「英語コミュニケーションⅠ、Ⅱ、Ⅲ」)や,発信力の強化に特化した科目を新設(「論理・表現Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」)
  • 小・中・高等学校一貫した学びを重視して外国語能力の向上を図る目標を設定し、目的や場面、状況などに応じて外国語でコミュニケーションを図る力を着実に育成

職業教育の充実

  • 就業体験等を通じた望ましい勤労観、職業観の育成(総則)、職業人に求められる倫理観に関する指導(職業教育に関する各専門教科)
  • 地域や社会の発展を担う職業人を育成するため、社会や産業の変化の状況等を踏まえ、持続可能な社会の構築、情報化の一層の進展、グローバル化などへの対応の視点から各教科の教育内容を改善
  • 産業界で求められる人材を育成するため、「船舶工学」(工業)、「観光ビジネス」(商業)、「総合調理実習」(専門家庭)、「情報セキュリティ」(専門情報)、「メディアとサービス」(専門情報)を新設

今後の学習指導要領改訂のスケジュール

文部科学省発表の「今後の学習指導要領改訂に関するスケジュール」を参考に、今後のスケジュールを説明します。

学習指導要領は、文部科学省内の諮問機関である中央教育審議会で、有識者や一般の人の意見も募集しながら内容が検討され、その議論のまとめとして発表された答申をもとに改訂されます。

新学習指導要領の答申は2016年に発表されており、幼稚園・小学校・中学校の指導要領は2017年、高等学校の指導要領は2018年に改訂されました。

幼稚園

幼稚園は2017年3月31日に学習指導要領が改訂され、その後内容の周知・徹底が行われたあと、2018年4月から新学習指導要領が全面実施されました。

小学校

小学校は2017年3月31日に学習指導要領が改訂され、その後内容の周知・徹底が行われました。

2018年・2019年は移行期間とされ、2018年に教科書検定を実施し、2019年に検定に合格した教科書の採択・供給が行われます。

2020年4月から新学習指導要領が全面実施されます。

中学校

中学校は2017年3月31日に学習指導要領が改訂され、その後内容の周知・徹底が行われました。

2018~2020年は移行期間とされ、2019年に教科書検定を実施し、2020年に検定に合格した教科書の採択・供給が行われます。

2021年4月から新学習指導要領が全面実施されます。

高等学校

高等学校は2018年3月31日に学習指導要領が改訂され、その後内容の周知・徹底が行われました。

2019~2021年は移行期間とされ、2020年に教科書検定を実施し、2021年検定に合格した教科書の採択・供給が行われます。

2022年4月から新学習指導要領が年次進行で実施されます。

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