2019-10-30 2022-07-08
小学校の教諭・教員の平均年収は約550万円!給料の仕組みを徹底解説
教師・教員の働き方、残業代などに注目が集まっています。
休日や勤務時間の長さが指摘されており、志望者が減少傾向にあると言われています。
一方で、公立の小学校の教諭・先生は、公務員で、安定した職業とお考えの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、
- 小学校の教員の平均年収
- 小学校の教員の給与がどのように決定されるのか
を解説しています。
最後まで読んで頂くと、小学校の教諭・教員の年収の決まり方、年齢・勤続年数に応じたおおよその年収がわかるようになっています。
目次
小学校教員の平均年収は約554万円
文部科学省の「平成28年度 学校教員統計調査」によると、小学校教諭の平均年収は約554万円です。
このデータは全体平均で、公立や私立、年齢などが考慮されていません。
そのため、
- 公立小学校教諭の平均年収
- 私立小学校教諭の平均年収
この記事では、上記に大きく分類して解説していきます。
なお、私立小学校教諭の平均年収は各学校により大きく異なるため、全体平均のみをまとめています。
データについて
この記事のデータは以下を使用しています。
- 総務省「平成30年 地方公務員給与の実態」(調査対象:849,452名)
- 文部科学省「平成28年度 学校教員統計調査 小学校」(調査対象:380,011名)
「地方公務員給与の実態」調査は1年に1回、「学校教員統計調査」は3年に1回実施されており、2019年10月時点で最新のデータを使用しました。
「地方公務員給与の実態」調査は、対象が公立の小中学校教諭となっています。
また、どちらも平均月額給与×12か月分にボーナスと諸手当を含んだ金額を平均年収として使用しています。
ボーナスは、人事院「人事院勧告」の「特別給(ボーナス)年間支給月数」(平成28年4.30月、平成30年4.45月)を使用して算出しています。
実際のボーナス年間支給月数は各都道府県により異なりますが、人事院勧告の値に近い数値もしくは同じ数値が使用されます。
参考に、平成30年と平成29年の一都三県の年間支給月数は以下の通りです。
平成30年/令和元年 | 平成29年 | |
国 | 4.50 | 4.45 |
東京都 | 4.50 | 4.45 |
埼玉県 | 4.40 | 4.40 |
神奈川県 | 4.45 | 4.40 |
千葉県 | 4.45 | 4.45 |
公立小学校教員の平均年収は約640万円
公立小学校の教諭・教員の平均年収は約640万円です。
平均年齢は42.8歳です。
内訳は、
- 月給:430万8,288円(月額35万9,024円×12か月)
- 扶養手当:8万3,172円(月額6,931円×12か月)
- 地域手当:28万704円(月額23,392円×12か月)
- 特別給(ボーナス):約175万円(月給×4.5か月)
上記のように分けられます。
これは全体平均のため、以下で小学校の教諭の年収を、
- 年齢別
- 勤続年数別
- 学歴別
- 役職別
- 男女別
で説明していきます。
年齢別 公立小学校教員の平均年収:30代は約560万円
年齢(歳) | 平均年収(万円) |
20-23 | 359 |
24-27 | 402 |
28-31 | 464 |
32-35 | 526 |
36-39 | 586 |
40-43 | 631 |
44-47 | 666 |
48-51 | 690 |
52-55 | 703 |
56-59 | 713 |
60以上 | 496 |
世代別で見てみると、
- 20代:408万円
- 30代:556万円
- 40代:662万円
- 50代:708万円
と、20代から50代にかけては年齢が上がるにつれ平均年収も上がっています。
これは公立小学校教諭の給与制度の1つに勤続年数を評価する項目があるためです。
また、勤続年数が長くなると校長や副校長などの役職を得る人も増えるため、年齢が上がるにつれ平均年収も高くなる傾向が見られます。
勤続年数別 公立小学校教員の平均年収:30代は約560万円
勤続年数(年) | 平均年収(万円) |
1以下 | 355 |
1 | 367 |
2 | 381 |
3-4 | 406 |
5-6 | 442 |
7-9 | 481 |
10-14 | 547 |
15-19 | 616 |
20-24 | 663 |
25-29 | 691 |
30-34 | 706 |
35以上 | 666 |
勤続年数30-34年の方の平均年収が最も高いです。
大学卒業後新卒で働き始めたとして、30-34年勤務すると年齢は53-57歳となります。
上の年齢別の表からも56-59歳が最も平均年収が高いことがわかります。
学歴別 公立小学校教諭の平均年収:大卒平均は約590万円
学歴 | 平均年収(万円) |
大卒 | 591 |
短大卒 | 653 |
高卒 | 646 |
学歴別の平均年収はこのようになっていますが、前提として、学歴は給料と関係ありません。
短大卒の方の平均年収が最も高く約655万円となっていますが、短大卒業後に小学校教諭として勤務されている方の95%以上が勤続年数10年以上であり、勤続年数が長い方が多いため、平均年収は高いと考えられます。
(勤続年数10年以上の割合=大卒:71.4%、短大卒:95.7%、高卒:92.6%)
男女別 公立小学校教員の平均年収:男女差は35万円
性別 | 平均年収(万円) |
男性 | 662 |
女性 | 627 |
男女別の公立小学校教諭の平均年収は、男性が女性に比べ35万円高くなっています。
役職別 公立小学校教員の平均年収:校長は約745万円
役職 | 平均年収(万円) |
校長 | 744 |
副校長 | 703 |
教頭 | 710 |
主幹教諭 | 675 |
指導教諭 | 685 |
教諭 | 531 |
助教諭 | 413 |
講師 | 399 |
養護教諭 | 551 |
養護助教諭 | 371 |
栄養教諭 | 535 |
役職別では、校長の平均年収が744万と最も高く、養護助教諭の371万円が最も少ないです。
一般に「小学校教諭」と呼ばれるのは「~教諭」であり、上の表の主幹教諭から助教諭までを合わせた平均年収は576万円でした。
※「非常勤講師」「常勤講師」を合わせて「講師」。
▶教育コンサルタントに転職したい人がはじめに見ておくべき基礎知識
公立小学校教員の年収には様々な手当が支給されている
ここまで公立小学校教諭の平均年収をまとめました。
この平均年収にはボーナス等の様々な手当が含まれています。
ここでは、その他の諸手当について、中央審議会の「教員の手当一覧」を参考に、
- 教員全員に常に支払われる手当
- 仕事内容に応じて支払われる手当
- 特殊勤務手当
- 教員特殊業務手当
- その他の手当
に分類し、各手当の概要や金額などについて説明します。
教員全員に常に支払われる手当
- 教職調整額:時間外勤務手当の代わりに相当するもの。校長と教頭以外に一律本給の4%が支払われます。
- 義務教育等教員特別手当:人材確保法に基づいた給与改善を目的として、教員全員に給料の平均約3.8%の定額が支払われます。
仕事内容に応じて支払われる手当
- 管理職手当:校長・教頭・部主事に支給される手当(給料に対し、校長12~16%、教頭10~12%、部主事8%の金額)
- 給料の調整額:特殊教育(特別支援教育)に直接従事する教員に対し支給される手当(本給の約6%の定額)
特殊勤務手当
- 多学年学級担当手当:複式学級(2つ以上の学年を1つにした学級)を担当する教員に、日額約300円が支払われます。
- 教育業務連絡指導手当:主任を担当する教員に、日額200円が支払われます。
教員特殊業務手当
- 非常災害時等緊急業務:非常災害時における緊急の防災や復旧の作業などを行った際、日額約3,000円が支払われます。
- 修学旅行等指導業務:修学旅行等において生徒を引率する業務を行った際に、日額1,700円程度が支払われます。
- 対外運動競技等引率指導業務:対外運動競技等において生徒を引率する業務を行った際に、日額1,700円程度が支払われます。
- 部活指導業務:部活動における指導業務を休日等に行った際に、日額1,200円が支払われます。
- 入学試験業務:入学試験における受験生の監督、採点等の業務を休日に行った際に、日額900円が支払われます。
その他の手当
- へき地手当:へき地学校に勤務している教員に、へき地給地に応じて(給料+扶養手当)×25%の範囲内で手当が支払われます。
- 定時制通信教育手当:高等学校の定時制又は通信制の校長等に、給料×10%(管理職手当受給者は8%)が支払われます。
- 産業教育手当:高等学校の農業・水産業等の産業教育に従事する教員に、給料×10%(定時制通信教育手当受給者は6%)が手当として支払われます。
公立小学校の教員の年収は給料表で決まる
公立小学校教諭の給料は、各地方自治体が定める教育職給料表に基づいて決定されます。
給料表の自分が該当する「級(教諭・教頭・校長などの役職)」と「号給(勤務年数など)」に応じて、給料月額が決定します。
級・号給が上がると、給料月額も同時に上がっていく仕組みです。
給料表は各地方自治体で異なるためここでは掲載しませんが、「(地方自治体名)教育職給料表」と検索すると、閲覧することができます。
▶教師に残業代が出ない理由を理解するために知っておきたい2つの事実
私立小学校の教員の平均年収は学校により異なる
私立小学校教諭の平均年収は約570万円です。
文科省の調査結果による公立小学校教諭の平均年収約550万円と比べると、20万円程高いことがわかります。
冒頭でも説明しましたが、私立小学校教諭の平均年収のデータは開示されていません。
私立小学校は学校ごとに給与制度を独自で設定しているためです。
▶教員免許を活かせる仕事にはどんな求人がある?成功の秘訣を解説
まとめ
- 小学校教員の平均年収は約554万円。公立と私立で給与制度が大きく異なる
- 公立小学校の教員の平均年収は約640万円
- 公立小学校の教員の年収は、給料表に基づき年収が決まる
- 私立小学校教員の平均年収は約570万円だが給与制度は学校により様々
ここまで、小学校教諭の平均年収について解説しました。
給与制度は公立と私立で大きく異なり、各個人の平均年収は年齢や役職、雇用形態や都道府県等で大きく異なります。
平均年収はあくまで目安の数値として扱いましょう。
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