2016-06-09 2022-07-08
中学校の教師・教員の平均年収は約612万円!給料の仕組みを徹底解説
2018年のOECD国際教員指導環境調査で、日本の中学校教師の平均勤務時間が世界で最も長いことが明らかになりました。
多くの中学校で部活動があり、顧問となる教師は勤務時間や残業時間が増えることも多いようです。
学校における教師の働き方改革が注目されています。
一方、特に公立の中学校教師は”地方公務員”の扱いとなることから、給与面では安定した職業であると言われることがあります。
この記事では、
- 中学校教師の平均年収
- 中学校教師の給与がどのように決まるか
を解説します。
目次
中学校教師の平均年収は約612万円
文部科学省の「平成28年度 学校教員統計調査」を元に算出すると、中学校教師の平均年収は約612万円です。
このデータは全体平均で、公立や私立、年齢などが考慮されていません。
そのため、
- 公立中学校教師の平均年収
- 私立中学校教師の平均年収
この記事では、上記に大きく分類して解説していきます。
なお、私立中学校教師の平均年収は各学校により大きく異なるため、全体平均のみをまとめています。
データについて
- 総務省「平成30年 地方公務員給与の実態」(調査対象:849,452名)
- 文部科学省「平成28年度 学校教員統計調査 教員個人調査(中学校)」(調査対象:232,513名)
を使用し、平均年収を算出しました。
「地方公務員給与の実態」調査は1年に1回、「学校教員統計調査」は3年に1回実施されており、2019年11月時点で最新のデータを使用しました。
公立中学校教師の平均年収は、年齢別/勤続年数別/学歴別は総務省のデータを、役職別/男女別は文部科学省のデータを使用しています。
私立中学校教師の平均年収は文部科学省のデータを使用しています。
※「地方公務員給与の実態」調査の対象は公立の小中学校教諭です。
※平均年収は平均月額給与×12か月分+賞与+諸手当で算出しました。
賞与は、人事院「人事院勧告」の「特別給(ボーナス)年間支給月数」(平成28年4.30月、平成30年4.45月)を使用して算出しました。
実際のボーナス年間支給月数は各都道府県により異なりますが、人事院勧告の値に近い数値もしくは同じ数値です。
参考に、平成30年と平成29年の一都三県の年間支給月数は以下の通りです。
平成30/令和元年 | 平成29年 | |
国 | 4.50 | 4.45 |
東京都 | 4.50 | 4.45 |
埼玉県 | 4.40 | 4.40 |
神奈川県 | 4.45 | 4.40 |
千葉県 | 4.45 | 4.45 |
諸手当は、平成30年度「地方公務員給与の実態」の平均手当額363,876円(月額30,323円×12ヵ月)を使用しました。
諸手当の詳細は「公立中学校教師の年収には様々な手当が含まれている」で説明しています。
公立中学校教師の平均年収は約600万円
公立中学校教師の平均年収は597万円、約600万円です。
これは全体平均のため、以下で
- 年齢別
- 勤続年数別
- 学歴別
- 役職別
- 男女別
の中学校教諭の平均年収を説明します。
年齢別 公立中学校教師の平均年収
年齢[歳] | 平均年収[万円] |
20-23 | 359 |
24-27 | 402 |
28-31 | 464 |
32-35 | 526 |
36-39 | 586 |
40-43 | 631 |
44-47 | 666 |
48-51 | 690 |
52-55 | 703 |
56-59 | 713 |
60以上 | 496 |
年代別で見てみると、
- 20代:408万円
- 30代:556万円
- 40代:662万円
- 50代:708万円
と、20代から50代にかけては年齢が上がるにつれ平均年収も上がっています。
これは公立中学校教師の給与制度の1つに勤続年数を評価する項目があるためです。
また、勤続年数が長くなると校長や副校長などの役職を得る人も増えるため、年齢が上がるにつれ平均年収も高くなる傾向が見られます。
勤続年数別 公立中学校教師の平均年収
勤続年数[年] | 平均年収[万円] |
1以下 | 355 |
1 | 367 |
2 | 381 |
3-4 | 406 |
5-6 | 442 |
7-9 | 481 |
10-14 | 547 |
15-19 | 616 |
20-24 | 663 |
25-29 | 691 |
30-34 | 706 |
35以上 | 666 |
勤続年数30-34年の方の平均年収が最も高いです。
大学卒業後新卒で中学校教師として働き始めたとして、30-34年勤務すると年齢は53-57歳となります。
上の年齢別の表からも56-59歳が最も平均年収が高いことがわかります。
学歴別 公立中学校教師の平均年収
学歴 | 平均年収(万円) |
大卒 | 591 |
短大卒 | 653 |
高卒 | 646 |
学歴別の平均年収はこのようになっていますが、前提として学歴は給料と関係ありません。
短大卒の方の平均年収が最も高く約655万円となっていますが、短大卒業後に中学校教師として勤務されている方の95%以上が勤続年数10年以上であり、勤続年数が長い方が多いため、平均年収は高いと考えられます。
(勤続年数10年以上の割合=大卒:71.4%、短大卒:95.7%、高卒:92.6%)
役職別 公立中学校教師の平均年収
役職 | 平均年収[万円] |
校長 | 772 |
副校長 | 764 |
教頭 | 737 |
主幹教諭 | 716 |
指導教諭 | 719 |
教諭 | 581 |
助教諭 | 420 |
講師 | 417 |
養護教諭 | 594 |
養護助教諭 | 440 |
栄養教諭 | 566 |
役職別では、校長の平均年収772万円が最も高く、講師(非正規雇用の教員)の平均年収417万円が最も少ないです。
一般に「中学校教師」と呼ばれるのは「~教諭」であり、上の表の主幹教諭から助教諭までを合わせた平均年収は609万円です。
男女別 公立中学校教師の平均年収
性別 | 平均年収[年収] |
男性 | 620 |
女性 | 567 |
男女別の公立中学校教師の平均年収は、男性が女性に比べ53万円高いです。
公立中学校教師の年収には様々な手当が含まれている
ここまで公立中学校教師の平均年収をまとめました。
平均年収には、賞与などの様々な手当が含まれています。
中央審議会「教員の手当一覧」より一部を抜粋し、公立中学校教師の手当をいくつか紹介します。
- 地域手当(へき地手当):勤務地により異なる金額が支給される手当
- 扶養手当:配偶者や子供を持つ職員に与えられる手当
- 給料調整額:特殊学級担当教員及び特殊教育諸学校の教員対象の手当
- 教職調整額:校長・教頭意外の教員に、給料の4%が支給される手当
- 義務教育等教員特別手当:教育職給料表対象の教員職員対象の手当
- 教員特殊業務手当:非常災害時や修学旅行、入学試験業務等の際に支給される手当
- 多学年学級担当手当:2個学年で編制される学級の担当教員に日額290円が支給される手当
- 教育業務連絡指導手当:主任に日額200円が支給される手当
- 管理職手当:管理職向けに、校長12%程・教頭10%程が支給される手当
▶教師に残業代が出ない理由を理解するために知っておきたい2つの事実
公立中学校教師の年収は給料表で決まる
公立中学校教師の給料は、各地方自治体が定める教育職給料表に基づいて決定されます。
給料表の自分が該当する「級(教諭・教頭・校長などの役職)」と「号給(勤務年数など)」に応じて、給料月額が決定します。
級・号給が上がると、給料月額も同時に上がっていく仕組みです。
給料表は各地方自治体で異なるためここでは掲載しませんが、「(地方自治体名)教育職給料表」と検索すると、確認することができます。
私立中学校教師の平均年収は約640万円
私立中学校教師の平均年収は643万円、約640万円です。
文科省の調査結果を元に算出した公立中学校教師の平均年収約600万円と比べると、私立中学校教師の平均年収は約40万円程高いことがわかります。
冒頭でも説明しましたが、私立中学校教師の平均年収のデータは開示されていません。
私立中学校は学校ごとに給与制度を独自で設定しているためです。
まとめ
- 中学校教師の平均年収は約612万円。公立と私立で給与制度が大きく異なる
- 公立中学校教師の平均年収は約600万円
- 公立中学校教師の年収は、給料表に基づき決まる
- 私立中学校教師の平均年収は約640万円だが給与制度は学校により様々
ここまで、中学校教師の平均年収について解説しました。
給与制度は公立と私立で大きく異なり、各個人の平均年収は年齢や役職、雇用形態や都道府県等で大きく異なる点にご注意ください。
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