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2021-04-28

社会教育士はどんな資格?仕事内容・社会教育主事との違い

「社会教育士」は令和2年度(2020年度)に新設された制度です。社会教育主事制度の変更に伴うもので、学びを通じて地域づくりへ貢献する専門人材の育成を目的としています。

社会教育士とは

文部科学省が認める「称号」

社会教育士は文部科学省が認定する「称号」です。

従来からある「社会教育主事制度」を拡張する形で、令和2年度(2020年度)から始まりました。

大学などで定められた科目を修了した者は、教育委員会から発令を受けていなくても社会教育士を名乗れるのが特徴です。

国家資格ではないため就業可能な職種の広がりは大きく期待できませんが、取得することで、教育の力で地域課題を解決する能力を持つことをアピールできます。

大学の養成課程に加え、社会人向けの講習も開設されており無料で受講できます。

地域課題解決のプロフェッショナル

社会教育士のイメージ

画像出典:文部科学省プレスリリース

社会教育士には、学びを通じて地域コミュニティを活性化する役割が期待されています。

文部科学省は社会教育士について次のように説明しています。

「社会教育士」は、自分たちの暮らす地域を面白くしたい、新たな人ともっと出会いたい、多様な人ともっとつながりながら活動したい、という前向きな気持ちになれるきっかけとしての「学び」の機会を、社会のいたるところに仕掛け、豊かな地域づくりへの展開を支援する専門人材です。

(出典:PRTimes「【文部科学省】今年度から「社会教育士」が新たにスタート!」)

地域社会の希薄化、子育てや介護で生じる孤立、国籍や障がいの有無がもたらす分断など、身近な暮らしの中にさまざまな課題があります。

これらを、講習で習得したコーディネート力を生かして解決へ導くことが期待されているのです。

行政やNPO職員・CSR担当者におすすめ

社会教育士の取得は次のような人におすすめです。

  • 行政職員
  • NPOに所属する人
  • 企業(特にCSR担当者)
  • 学校の教職員

社会教育士は地域社会の課題へ向き合うことが期待されているため、福祉や防災、観光、まちづくりなど、関与できる分野は多岐にわたります。

旧社会教育主事制度下では、社会教育施設や教育委員会事務局へ配属されることが多く、より教育色の強いものでした。

社会教育士の活動範囲は社会教育主事より広く、地方公共団体の各部局や、NPO、企業、学校、地域活動、ボランティア活動などあらゆる場面での活躍が期待されています。

そのため、より多様な人材の参画が求められているのです。

社会教育士と社会教育主事の違い

新設された社会教育士と、従来からある社会教育主事は何が違うのでしょうか。

文部科学省はポイントを2点挙げています。

  1. 社会教育主事講習・養成課程で学ぶ内容が変わった!
  2. 発令を受けていなくても名乗れる称号ができた!

発令がなくても社会教育士と名乗れる

実際に活動するうえで特に大きく影響するのは、「発令がなくても名乗れる」点でしょう。

社会教育主事は、必要な養成課程を経て資格要件を揃えていても、都道府県・市町村教育委員会から「社会教育主事」として発令されなければ、その職務に就くことができませんでした。

NPOや社会教育団体などで社会教育主事に相当する活動実態があっても、社会教育主事と名乗れなかったのです。

新設された社会教育士は、定められた科目を修了していれば「社会教育士」と称することができます。

学びの専門人材を地域活動へ参画しやすくする狙いがあるのです。

なお、社会教育主事がなくなるわけではなく、引き続き、教育的専門職員として都道府県及び市町村の教育委員会に置かれます。

社会教育士は、社会教育主事とも連携しながら、地域全体の社会教育新興に取り組むよう期待されています。

社会教育士の仕事内容

社会教育士の仕事内容/文部科学省

社会教育士の仕事内容(画像出典:文部科学省プレスリリース)

社会教育士の仕事内容は多岐にわたります。例えば次のような取り組みが考えられます。

  • 企業やNPOでSDGs活動への主体的な参加を促す取り組み
  • 行政や自治体でのダイバーシティを生かした学習支援、産学連携を促す取り組み
  • 社会教育施設で地域資源に精通した取り組みをコーディネートする

社会教育士の活動事例

社会教育士特設サイトでは、社会教育士の活動事例として、社会教育主事資格を持つ方の取り組みが紹介されています。

防災×社会教育の取り組み事例

北海道恵庭市 総務部基地・防災課長 藤野真一郎さん(社会教育主事活動歴10年以上)

藤野さんは、平成30年9月に発生した北海道胆振東部地震の教訓から、「防災学習会」として避難所運営マニュアルを地域の人とともに作る過程に取り組んでいます。

その目的についてインタビューで次のように話しています。

「共助」という言葉を表面的に理解するのではなく、「共助とはこの地域ではどういうことなのか」ということを真に理解するひとつのきっかけとなることを大きな目的として取組んでいます。
(出典:文部科学省「社会教育士の活動事例(防災)」)

地域の方々が主体性を持って取り組めるよう促す姿勢を大切にしており、地域の方々の変化に立ち会える瞬間が一番嬉しいとのこと。

福祉×社会教育の取り組み事例

島根県「浜田のまちの縁側」代表 栗栖真理さん

もともと訪問看護やケアマネージャーとして地域医療・地域福祉に携わっていた栗栖さん。

平成12年の鳥取県西部地震をきっかけに「ご近所力」の大切さを実感し、平成16年に「浜田のまちの縁側」を開所しました。

浜田のまちの縁側での放課後支援、公民館との連携した放課後子ども教室、島根県全体で取り組んでいる「ふるさと教育」など、地域ぐるみで子どもを支援する社会教育活動を行っています。

行政の人員削減が進む中、「主体的に行動できる人を地域の中で増やさないと回らない」とのこと。

事業と平行して社会教育主事講習を受講されており、講習を通じて、福祉と社会教育は似ていて本質的に目指すところは通じていると感じたそうです。

(参照:文部科学省「社会教育士の活動事例(福祉)」)

社会教育士になるには?

社会教育士になる方法は大きくわけて2つあります。

  1. 大学で社会教育主事養成課程を履修する
  2. 社会教育主事講習を受講する

いずれも社会教育主事と共通していますが、社会教育士は教育委員会の発令がなくても名乗れるので、養成課程または講習終了が社会教育主事になる条件といえます。

▶社会人にもおすすめ!社会教育士は講習か大学の養成課程で取得できる

講習で学ぶ3つの専門能力

社会教育士の講習には次の3つの専門性を身に着けるねらいがあります。

1. ファシリテーション能力
2. プレゼンテーション能力
3. コーディネート能力

具体的にはそれぞれ次のような能力を指します。

1)ファリシテーション能力

人のやる気に火をつけたり、ものごとを自分事化していくプロセスを支えたりというような、活動への意欲・自発性を引き出しながら意識・行動の変化を促していく「学び」を支援するための基礎的な知識と技能

2)プレゼンテーション能力

地域のヒト、コト、モノや、地域で共有したい想いや願いなどの情報を、より多くの人に、わかりやすく、共感しやすい方法で積極的に伝えていくための基礎的な知識と技能

3)コーディネート能力

人どうし、活動どうし、組織どうしなど、異なる他者どうしが相互理解を深め、信頼し合い、互いを支え合うことができる関係(協働)へと調整するための基礎的な知識と技能

(出典:文部科学省「社会教育士ってなに?」)

つまり、自らが手を動かすだけでなく、地域の人々と協力して物事を推進する専門性が求められているのです。

社会教育士はますます重要に

教育の視点をもって地域課題解決に取り組む社会教育士は、これからの時代でますます重要度の増す存在だと考えられます。

世界的にSDGsへの取り組みが求められているだけではなく、地域社会を維持・発展させるためには、地域が主体となって活動する姿勢が欠かせないためです。

社会教育士には周囲の人を動かすオーガナイザーとしての能力が期待されています。

講習は無料で受けられるので、企業のCSR活動やNPOなどを通じて地域社会と関わる方は、取得を検討するとよいでしょう。

 

 

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