2016-04-18 2019-12-18
アダプティブラーニングとは、1人ひとりに合わせた学習方法
文部科学省は、創造的な活動ができる人材の育成を可能にする新たな学習法の1つとして、アダプティブラーニングを取り上げています。
アダプティブラーニングとは1人ひとりに合わせた学習方法のことです。
昨今のIT技術の発展とともに個人ごとに客観的な分析ができるようになり、注目されています。
この記事では、アダプティブラーニングの概要やメリット、アダプティブラーニングを組み込んだ具体的な教育サービスなどについて説明しています。
アダプティブラーニングとは1人ひとりに合わせた学習方法
アダプティブラーニングとは、1人ひとりに合わせた学習方法のことです。
アダプティブは「適応性のある」という意味の英語です。
そのため、アダプティブラーニングは日本語で適応学習と称されることもあります。
個人に最適な課題を提示することで、より効率的な学習の実現を図ることを目的としています。
アダプティブラーニングに関連する語句
ここでは、アダプティブラーニングに関連する語句として、
- アクティブラーニング
- eラーニング
- ゲーミフィケーション
- LMS
の4つを紹介します。
アクティブラーニング
アクティブラーニングは端的に言えば、能動的な学習を意味します。
具体的には、従来の教師による一方的な講義形式ではなく、体験学習やグループワーク、ディベートなどといった主体性が求められる学習形式です。
アクティブラーニングは、2020年の学習指導要領改訂にて新たな学習方法のひとつとして推奨されています。
▶アクティブラーニングとは?生徒がより能動的に学習するための指導方法
eラーニング
eラーニングは、インターネットを活用した学習方法を指します。
インターネットの活用によって、時間と場所が制限されない、教材のダウンロードができるなどといったメリットが得られます。
アダプティブラーニングは、このeラーニングに含まれる学習方法と考えることができます。
アダプティブラーニングにおいて学習者の進捗状況の管理や成績の分析などは、多くの場合インターネット上で行われるからです。
ゲーミフィケーション
ゲーミフィケーションとは、ゲームの要素をゲームではない別の分野に取り入れることです。
例えば、ポイント制や特別会員限定の特典などがこれにあたります。
ゲームの要素には、目的の設定、報酬の付与、ユーザー間の交流などがあります。
教育分野では、問題を解いていくとキャラクターのレベルが上がったり、冒険をするように学習を進めたりといった要素のある、教育サービスがあります。
▶教育にも用いられる「ゲーミフィケーション」とは?ゲームの要素を社会活動やサービス開発に組み込むこと
LMS
LMSとは、Learning Management Systemの略で、日本語に訳すと学習管理システムです。
学習者の成績管理や教材の配信などの機能を統合したシステムのことです。
アダプティブラーニングでは、学習者の状況を分析し、最適な課題を設定する学習法です。
LMSは、アダプティブラーニングを行うのに必要な土台となる部分と言えます。
アダプティブラーニングのメリット・効果
アダプティブラーニングのメリット・効果について、学習者側と指導者側の2つの視点から説明します。
学習者側のメリット・効果
学習者は、自分の習熟度に合わせて学習でき、学習効率を向上することができます。
得意科目ではテンポよく先の課題を解き進めることができ、苦手科目では記憶の定着のための課題に取り組みます。
自分の得意不得意に合わせた効果的・効率的な学習が可能となります。
指導者側のメリット・効果
これまでは個人に合わせた学習を提供しようとすると、教師の感覚的なものに頼ることとなっていました。
IT技術を用いたアダプティブラーニングによって、データに基づいた課題提供となり教育者による差が生まれなくなります。
また、学習状況の蓄積やシステムによる自動採点・分析などを行うことも可能です。
アダプティブラーニングの歴史・広がり
アダプティブラーニングは、教育業界におけるIT技術の活用が進むとともに、注目され始めた新しい学習方法です。
ITを活用した教育をEdTechと言います。
文部科学省は、今後の教育改革に向けてEdTechの活用を推進すべきと考えています。
文部科学省の「Society5.0におけるEdTechを活用した教育ビジョンの策定に向けた方向性」によると、今後すぐにでも着手すべき課題の1つとしてアダプティブ・ラーニングの推進が挙げられています。
「文部科学省 教育の情報化について ー現状と課題ー」では、新たな付加価値を生み出す創造的な活動を行うことができる人材の育成が必要としています。
この人材育成における効果的な学習法のひとつとして、アダプティブラーニングが取り上げられています。
▶EdTech(エドテック)とは?注目される背景やeラーニングとの違い
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アダプティブラーニングの代表的なサービス
ここでは、アダプティブラーニングを可能にした、代表的な教育サービスをいくつか紹介します。
Knewton
Knewtonは、2008年に創立されました。
世界の約4,000万人の学生に利用されているアダプティブラーニングのプラットフォームを提供している企業です。
オフィスは、ニューヨーク・ロンドン・東京の3拠点にあります。
Knewtonは設定した目標に向け、学習者に次に取り組むべき課題を提示する機能「レコメンデーション」を搭載しています。これまでに280億件を超えるレコメンデーションの実績があります。
Knewtonは学研やZ会をはじめ、出版社や教育会社と提携しています。
Knewtonでは、学習者が実際にどのように教材を活用したか、分析した情報を得ることができます。
これによって教材提供者は、継続的にニーズに対応した教材の改善ができます。
すらら
すららは、株式会社すららネットが提供する、ゲーミフィケーションを活用したeラーニング教材です。
2019年12月現在すららの学習者数は7万人を超え、約1,000校の塾・学校等の教育機関に提供されています。
すららは無学年方式を採用しており、学年に関係なく自分に合ったレベルの問題が出題されます。
小学1年生~高校3年生の国語・算数/数学・英語を自分の理解度に合わせて自由に学ぶことができます。
解けない原因を自動で診断する機能や、学力に応じて問題の難易度を変化させる機能などを搭載しています。
Qubena
Qubenaは、株式会社COMPASSが提供している、AIを活用したタブレット教材です。
扱う科目・範囲は、小学1年生の算数~高校数学までです。
ノートと同じように、ペンを使って手書きでタブレットに書き込むことができます。定規・コンパス・分度器を使った作図や関数のグラフ作成の問題も搭載しています。
2019年12月現在、Qubenaのユーザー数は約2万3,000人を超えています。
Classi
Classiは、2015年4月に、Classi株式会社が提供を開始した教育プラットフォームです。
Classi株式会社は株式会社ベネッセホールディングスとソフトバンク株式会社の合弁会社です。
Classiには、
- 学習データの管理
- 課題の提示
- 先生・生徒・保護者でのコミュニケーション機能 など
があります。
課題の提示機能は、約1万の教材動画と確認問題の中から、学習履歴とベネッセのテスト結果にもとづいて最適な課題が提示されます。
2019年5月時点でClassiの導入校は2,500校以上、ユーザー数は116万人以上です。
全国の高校の2校に1校、高校生の3人に1人がClassiを利用しています。
▶教員免許を活かせる仕事にはどんな求人がある?成功の秘訣を解説
まとめ
- アダプティブラーニングとは1人ひとりに合わせた学習方法のこと
- アダプティブラーニングは学習者・指導者の双方にメリットがある
今後、IT活用によって学習者のデータが蓄積され分析技術に磨きがかかれば、さらにアダプティブラーニングの活用が進んでいくと考えられます。
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