2019-07-05 2023-12-12
教育にも用いられる「ゲーミフィケーション」とは?ゲームの要素を社会活動やサービス開発に組み込むこと
「ゲーミフィケーション」という言葉を聞いたことがありますか。
あまり聞きなじみのない言葉かもしれませんが、ゲーミフィケーションとは、ゲームの要素やデザインを社会活動やサービス開発に組み込むことを指します。
ゲーミフィケーションは教育分野においても活用され始めており、日本でも2011年頃から注目されています。
この記事では、ゲーミフィケーションと、ゲーミフィケーションの教育分野における効果などを解説します。
※教育工学・ゲーム学習論を専門とする東京大学の藤本徹氏、教育工学・科学教育を研究する早稲田大学の森田裕介氏が2017年2月にミネルヴァ書房より出版した書籍「ゲームと教育・学習」を参考にしています。
この記事の監修者
Education Career 編集部
教育業界専門の転職エージェント「Education Career」の編集部です。年間で数百名の教育業界出身者の転職やキャリアの支援を行う転職エージェントとして、教育業界での転職活動やキャリアに役立つ記事を更新しています。
ゲーミフィケーションとは
ゲーミフィケーションとは、2010年代に使われるようになった言葉で、ゲームの要素を社会活動やサービス開発に組み込むことです。
何かの活動の際にポイントや、得点んなどの設計、競争の仕組みを導入することもゲーミフィケーションの一部です。
教育分野におけるクイズ形式の教材や、小売業などでの会員ポイント制なども、広義ではゲーミフィケーションに含まれます。
▶教育コンサルタントに転職したい人がはじめに見ておくべき基礎知識
ゲーミフィケーションの特徴
ゲームの要素を取り入れていること
ゲーミフィケーションの特徴は、ゲームでない活動やサービスの一部に、ゲームのデザインや仕組みを取り入れていることにあります。
娯楽として扱われるゲームのゴールやルール、フィードバックなどといった要素がサービスに盛り込まれています。
課題・目標・規則が明確であること
ゲーミフィケーションの特徴として、クリアすべき課題が設定されており、クリアするとなんらかの報酬が得られるようになっていることが挙げられます。
また、規則が決まっており、その規則(ルール)の中で課題に取り組みます。ゲームは一定の条件があり、それをクリアすると報酬が与えられるようになっており、全くの制限のないゲーミフィケーションというのは設定のしようがありません。
「動機付け」につながること
「ゲーミフィケーションの活用によって、そのサービスに対する動機付けにつながるか」がポイントです。
例えば、この問題をクリアしたら何かがもらえるとか、一定時間を活動にかけるとバッジや称号が与えられるといったことがあげられます。そうした仕組みによって、行動を促す仕組みになっているかです。
ゲームの要素はあくまでも、本来の目的を補助するために活用されていなくてはいけません。
▶アクティブラーニングとは?生徒がより能動的に学習するための指導方法
ゲーミフィケーションが教育分野で注目される背景
スマートフォンの普及
ゲーミフィケーションが注目を集めるようになった背景として、スマートフォンが急速に普及したことが上げられます。
総務省の「平成30年版 情報通信白書」によると、スマートフォンの世帯保有率は2010年は約10%でしたが、2017年には約95%まで増加しています。
個人のスマートフォン保有率も、2014年は約45%、2017年は約61%と増加しています。
スマートフォンには複数の機能がありますが、アプリケーションをインストールすることで、さらに機能を追加することができます。
現在提供されているアプリは、ニュースを見るためのアプリや、ゲームアプリなど実に様々です。
その中でも、ゲームを通して学習する、ゲーミフィケーションを用いたアプリケーションがたくさんあります。
スマートフォンの普及とともにアプリケーションの開発が進み、教育・学習を目的に作られたアプリが普及したことで、ゲーミフィケーションの考え方も広がってきました。
エデュテインメントの考え方
ゲームの楽しさの要素に着目して、娯楽用途のゲームを教育的な意図で開発したり、娯楽ゲームを教育的な文脈で利用したりする活動
『ゲームと教育・学習』第1章1.1「研究分野の歴史的経緯と用語・概念の整理」 より
エデュテインメント(Edutainment)は、Education:エデュケーション(教育)とEntertainment:エンターテインメント(娯楽)を組み合わせた造語です。
ゲームの楽しさに付随して教育的な効果を得るための活動のことです。
エデュテインメントはゲーミフィケーションよりも狭義で、サービス内容が教育分野に限定されています。
エデュテインメイントの考え方は最近できた考え方というわけではなく、以前から存在していました。
20世紀初頭に主にボードゲーム、1980年代以降は主にデジタルゲームを用いてエデュテインメントが活用されています。
そのエデュテインメントの考え方に加え、デジタルゲーム技術の発展・幼少期からデジタルゲームに触れて育った世代の成長を背景として、2007年頃に「シリアスゲーム」が提唱されました。シリアスゲームは社会的な問題解決のためのゲームの利用を総称しています。
2010年以降、より広義な「ゲーミフィケーション」が教育分野においても提唱されるようになりました。
最近のスマートフォンの普及と、古くからあるエデュテインメントの考え方が発展したことで、ゲーミフィケーションは注目されています。
▶アダプティブラーニングとは?メリットや、代表的なサービスは?
▶教員免許を活かせる仕事にはどんな求人がある?成功の秘訣を解説
ゲーミフィケーションの教育における効果
本来的にゲームは参加型で課題志向であり、スキルの習得と実践が一連の活動の中で密接に関わっているという性質をもつことから、ゲームと学習の親和性の高さが説明されている。
『ゲームと教育・学習』第1章1.4「ゲームの教育における役割と長所・短所」 より
ゲームと学習はその相性の良さから、様々な効果が期待されます。
ゲーミフィケーションを学習に取り入れる方法は様々で、その方法により期待される効果は異なりますが、ここでは代表的な効果として、「継続学習しやすい(挫折しにくい)」「暗記しやすい」「複雑な概念が理解しやすい」の3つを紹介します。
学習を継続しやすい、学習意欲を維持しやすい
ゲーミフィケーションを教育で活用する効果として、学習への意欲を高めやすいことが挙げられます。
冒頭でも触れた通り、ゲームは本質的に課題志向であり、課題をクリアしたことを学習者自身が実感でき成長の実感を得やすいため、継続学習に繋がりやすい、という効果が期待されています。
繰り返し学習することで、暗記しやすい
暗記すべき重要事項を、ゲームを通して自然と身に付けることができます。
例えば、間違えた部分や重要な内容を繰り返し確認させるために、ゲーミフィケーションを活用したサービスが多くあります。
複雑な概念が理解しやすくなる
ゲーミフィケーションを活用することで、複雑な概念の理解を促す効果が期待できます。
例えば、言葉だけでは理解しづらい内容を動画で解説したり、覚えにくい内容をキャラクターとの会話やストーリーの中で覚えていく、などの手法が使われます。
ゲーミフィケーションを活用した学習サービスの事例

ここまでゲーミフィケーションとその効果について説明してきました。
ここからは実際にゲーミフィケーションを取り入れた学習サービスとその効果について、3つの事例を挙げて紹介します。
リクルートマーケティングパートナーズ「スタディサプリ」
スタディサプリは、リクルートマーケティングパートナーズが提供する、オンライン動画学習サービスです。
小学生から高校生までの学校教育が対象のコース(「スタディサプリ」)と、英語学習に特化したコース(「スタディサプリENGLISH」)があります。
スタディサプリは「課題をこなすと獲得できるコインを使って、モンスターを育成する」というゲーミフィケーションの要素を取り入れています。
スタディサプリの学習への効果としては、2016年に渋谷区の小中学校で実証実験が行われ、代々木山谷小学校5年生48名のうち半数以上の生徒が学習意欲が上がったと回答した、という結果がでています。
さらに、鉢山中学校2年生31名が受験した到達度テストの結果では、実験前後で平均点が20点向上(42点→62点)しました。
▶スタディサプリの有料会員数の推移まとめ!直近の有料会員数は58.6万人、進研ゼミとの比較も
ベネッセ(進研ゼミ)「歴史人物つながりバトル42」
「歴史人物つながりバトル42」は、ベネッセが進研ゼミ会員向けに提供する、歴史学習アプリです。
対戦形式で、小学6年生~中学1年生が対象となっています。
このアプリでは、制限時間内に関連する歴史人物のカードを組み合わせて対戦し、ステージクリアを目指します。
「歴史人物つながりバトル42」の学習効果は、アプリ学習に「取り組んだグループ」と「取り組まなかったグループ」に分けて歴史人物に関する問題の正解率を比較したところ、取り組んだグループは取り組まなかったグループより、成績上位層で4.0%、中位層で8.4%、下位層で9.4%、それぞれ正解率が高いことがわかりました。
(参考:「ビッグデータで確かめるデジタル教材の学習効率!」)
すららネット「すらら」
すららは、すららネットが提供する、対話型アニメーションタイプのeラーニング教材です。
小学生から高校生までが対象で、2019年7月時点では英語・数学・国語の3科目が提供されています。
すららには、ゲーミフィケーションの3要素が取り入れられています。
- 他のユーザーと競い合うこと(総学習時間やクリア数など)
- キャラクターとのインタラクティブな対話形式で学習を進めていくこと
- 各ステージ(問題)をクリアすること
すららの学習効果は、2012年12月に発表された論文「ゲーミフィケーションを活用したeラーニング教育の可能性について」の実験結果によると、すららを1週間利用した神戸星城高等学校1年生77名のうち約87%の生徒の成績が向上しました。
無料の転職サポートに登録
-
1
ベネッセ・リクルート・学校法人など人気の教育関連求人を多数保有
-
2
教員・学習塾・出版社など業界出身者の支援実績多数
-
3
面接の質問例・通過する書類作成など、専門だからこそのサポートが可能
転職サポートに登録
この記事の監修者
Education Career 編集部
教育業界専門の転職エージェント「Education Career」の編集部です。年間で数百名の教育業界出身者の転職やキャリアの支援を行う転職エージェントとして、教育業界での転職活動やキャリアに役立つ記事を更新しています。
関連キーワード
注目記事
- 異業種での経験を生かして、通信制高校の教員として活躍
- 教員が積極的にチャレンジできる環境を求めて転職
- 学習者・教育機関双方の課題を解決するサービス
- 株式会社やる気スイッチグループWinBe・Kids Duo・スクールIEでの働き方
- 株式会社やる気スイッチグループの特徴・サービス概要・教室長に求める人物像など
- EdTechの力で子どもたちに質の高い教育を提供したい
- 集団指導塾から個別指導の創英ゼミナールへ転職
- 学習塾として偏差値・成績アップだけではない価値を提供したい
- 個別指導「コノ塾」教室長の特徴・働き方・求める人物像など
- 株式会社アガルート制作本部教材室(教材制作職)の特徴・働き方・求める人物像など
- 教員からの転職先は?転職先・転職理由・20代~30代の転職体験談まとめ
- 「8割が未経験からのスタート」アガルート教材制作マネージャーが語る今後の課題
- 「手を挙げた人にチャンスが来る」アガルートアカデミー教材制作マネージャー
- 生徒一人ひとりと向き合う…「個別指導 コノ塾」教室長のデジタルを活用した働き方【田辺理 CEO / 林直希 教室長インタビュー】
- 「学習塾版のユニクロ」個別指導コノ塾が3年半で67教室まで急成長した理由【田辺理CEOインタビュー】
- 中学理科教員からオンライン予備校講師に転職【転職者インタビュー】
- 学習指導員から教育系ベンチャー企業へ転職【転職者インタビュー】
- 中学教師からオンライン予備校講師へ1ヶ月以内のスピード転職が実現した理由【転職者インタビュー】
- 教育業界での転職を成功にみちびくノウハウまとめ【業界情報・履歴書の書き方・職種/業種別面接対策】
- EdTech(エドテック)とは何か?読み方は?注目される背景やeラーニングとの違いを解説
- 教員の転職が難しい理由と成功のコツを教育業界専門の転職エージェントが徹底解説
- 教育業界の年収の高い仕事について解説
- 教員から転職するには?中途採用の転職先に多い7パターンを紹介
- 教育業界で土日休み・日中勤務の仕事に転職!具体的な職種を紹介します
- 教材開発・教材制作への転職でよくある募集職種・必要なスキル・経験
- 子どもと関わる仕事一覧|教育・福祉・医療・エンタメまで徹底解説
- 教員免許を活かせる仕事に転職!成功するためのポイントも解説
- 英語を使う仕事6選 ネイティブレベルの語学力がなくても活躍できる仕事を紹介
- 大学職員に向いているのはどんな人?転職成功事例も紹介
- 教員の転職に必要な自己PRの書き方
職種で探す
- 教員・教師
- 塾講師
- 教材制作・カリキュラム開発
- 教室長・教室運営
- 大学職員・学校職員
- 営業
- コンサルタント
- 研修講師
- 指導員・支援員・管理責任者
- 学校事務・教務事務
- SV・エリアマネージャー
- マーケティング・広告宣伝
- 経営企画・営業企画・事業企画
- 経理・人事
- カスタマーサポート
- エンジニア
業種で探す
フリーワード検索
転職エージェントに相談する


