2019-08-29 2019-12-13
「ICT支援員」とは?文科省が学校に配置を推進する、学校のICT化を実践的に支援する人物
「ICT支援員」は、2013年度末時点で全国の学校に約2,000人配置されています。
文部科学省は学校ICT化を進める中でICT支援員は不可欠な存在であるという考えから、2022年までに4校に1人のICT支援員を配置することとを目指しています。
この記事では、ICT支援員とはどういった業務を行う人で、何が求められているのか、どうしたらなれるのか等、ICT支援員に関する概要をまとめました。
目次
ICT支援員とは学校のICT化を実践的に支援する人物
ICT支援員とは、学校における教育の情報化推進の実務的な支援をする人物のことです。
教師のICT機器操作の補助や、ICTを活用した授業の打ち合わせなどを行います。
おおまかな仕事内容は以下です。
- 先生・生徒のICT教育支援
- 学校運営と情報管理
- ICT環境の運用管理 など
より具体的な内容は、以下の項で説明します。
文科省がICT支援員の配置を推奨
文部科学省の調査によると、授業におけるICT活用が進まない最大の理由は「ICT活用をサポートしてくれる人材がいない」ことだとされています。
学校に対するアンケートでは、「学校又は地域単位で、授業におけるICT活用を支援する専門家を確保し、彼らを派遣する体制を確立してもらいたい」との回答が8割を超えています。
これらの結果から文部科学省はICT支援員の配置を推奨するパンフレットなどを発行、教育機関・教師等に対して、不可欠な存在であるICT支援員の配置を薦めるよう呼びかけています。
また、2018~2022年度の「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画」で、単年度1,805億円の地方財政措置を講じています。
この5か年計画では、4校に1校のICT支援員の配置目標水準が設けられています。
2001年からある「教育情報化コーディネータ」
ICT支援員と似ている資格に「教育情報化コーディネータ」があります。
「教育情報化コーディネータ」は、ICT支援員よりも10年以上早く試験が実施されており、ICT支援員の先駆けとなった試験です。
ICT支援員が実務的な役割であるのに対し、教育情報化コーディネータは学校全体の教育情報化をデザイン設計する役割を担います。
▶教育情報化コーディネータとは:学校の情報化をコーディネートできる人物
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ICT支援員の仕事内容
ICT支援員の具体的な仕事内容には、以下のようなものがあります。
- ICT機器を活用した授業の機器操作補助
- ウイルス起因時の一次対応
- ICT授業で使用するハードウェア・ソフトウェアの操作指導
- 生徒へのPC操作指導補助
- 授業前の機器チェック
- コンテンツ検索支援
- ICT活用提案
- ICT製品の不具合発生時のメーカーとの折衝
- 情報モラルに関する教材や事例の紹介 など
ICT支援員の雇用・勤務形態はさまざま
ICT支援員は学校において働いていますが、雇用や勤務形態は様々です。
雇用形態
ICT支援員の雇用形態には、大きく分けて
- 自治体や学校が嘱託職員として直接雇用
- 自治体が委託業者と契約し業務委託の形で導入
の2つのパターンがあります。
2つめのパターンの場合、ICT支援員は委託業者(民間企業)に登録しておき、要請があった際に契約するという派遣のような働き方をします。
例外的ですが、支援員という形態ではなく、機器導入や運用保守サービスの一環として学校をサポートするパターンもあります。
勤務形態
ICT支援員の勤務形態は、フルタイム勤務とシフト勤務の2種類に大きく分けられます。
- フルタイム:1校に常駐し毎日フルタイムで働く
- シフト:週2,3回の勤務で担当地域内の学校を巡回する
ICT支援員の役割
ICT支援員の大きな役割は、児童生徒がICTメディアを活用して、生徒自身が掲げた学習課題の解決のために、教職員と連携・協力して適切に支援することです。
授業以外でも、教員の研修や校務において、教員と相談し学校からの要望を受けながらICT活用を推進していくことが求められています。
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ICT支援員に求められる能力
ICT支援員には、
- ICT活用の基礎的なスキル
- 実践に役立つ知識
- 技術についての情報収集に意欲的かつ積極的に取り組めるようなICTへの高い関心
が求められます。
ICTに関する知識だけでなく、教員・生徒と関わっていく上でのコミュニケーション能力も求められます。
こういった能力は、例えば、教員・生徒にICTに関する質問回答や、教員や教育委員会との報告・連絡・相談などの場面で必要です。
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ICT支援員になるには
ICT支援員になるには、1年に2回(6・11月)実施されている「ICT支援員認定試験」に合格する必要があります。
試験に合格すると、認定日から約2ヶ月で認定証書が発行されます。
教育情報化コーディネータの資格を有している方も、ICT支援員の資格を取得することができます。
試験内容
試験は、A領域とB領域の2つの領域から出題されます。
- A領域:実践的知識
- B領域:問題分析・説明力
A領域は試験実施日時に受験会場でのCBT方式で受験、B領域は試験実施日から1週間後に課題を提示、課題に対する動画を課題提示日含めて5日以内に提出します。
受験資格
原則として20歳以上
受験料
13,800円(税込み)
受験申し込み方法
- CBT-Solutionsにて受験者登録
- CBT-Sから受験申込
- 受験料支払い
- CBT-Sのマイページにて申込完了の確認
合格者数
- 2018年度:189名
- 2017年度:222名
- 2016年度:309名
- 2015年度:284名
- 2014年度:194名
- 2013年度:67名
ICT支援員の資格の合格合格者の多くは、IT企業・学校などの教育機関で働いています。
IT企業
学校のICT化を進めるとき多くの場合はIT企業が自治体から依頼されて機器の導入などを行っていることが背景となり、IT企業に勤めるICT支援員が増えてきています。
特に教育業界でのITコンサルを主力事業としている企業などでは、資格取得を社員に課していることもあるようです。
学校・教育機関
学校・教育機関等に勤める教員や教育委員会の方も教育情報化コーディネータの資格を保有している人が増えています。
ICT支援員になるために取得する、というわけではなく、学校のICT化にあたって自らも知識を身に付けておこうという心構えの方が取得しているようです。
2019年度から始まった「ICT支援員上級認定試験」
ICT支援員上級は、ICT支援員に認定された人のうち、実績面・能力面で特に優秀な人物です。
C領域(問題解決・コミュニケーション能力)に関する実践的課題と面接試験が課され、それに合格すればICT支援員上級として認定されます。
受験条件は、以下の3つです。
- ICT支援員認定後4年以内であること
- AB領域ともに高得点で合格していること
- 2年以上の実務経験があること
2の高得点かどうかは、通常のICT支援員合格時に通知が来て判断できるようになっています。
まとめ
- ICT支援員とは、学校における教育の情報化推進を実務的な支援をする人物のこと
- ICT支援員の役割は、生徒がICTを活用して生徒自身が掲げた学習課題解決のために教職員と協力して支援すること
- 求められる能力は、ICTの基礎知識と技術・ICTへの高い関心・コミュニケーション能力
- 2019年度からICT支援員上級認定試験が開始
ICT支援員は教育の情報化を進める上で必要不可欠な存在です。
今後ICT支援員の活躍の場は広がり、一般的な職業や資格として浸透していくかもしれません。
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