2022-05-26 2023-01-17
EdTechをテーマに転職を考えている方に向けた基礎知識
この記事では、教育業界での転職やキャリアを検討している方、中でもテクノロジーを活用した教育、ベンチャーやスタートアップに関心のある方に向けて、EdTechとはそもそも何なのか、注目される理由・背景、EdTechをテーマに転職を考える際に注意しておくべき点をまとめています。
この記事を最後まで読んで頂くと、EdTech、またEdTechをテーマにした転職に関する基礎知識を身につけることができます。
目次
EdTechとは
EdtechはEducation(教育)とTechnology(技術)を組み合わせた造語です。
厳密な定義があるわけではなく、「教育分野でテクノロジーを活用し、新たな価値を生み出すこと・そのトレンド」を指すと理解しておけばよいでしょう。
読み方に決まりはありませんが、「エドテック」「エドテク」と呼ぶ方が多いです。
「EduTech」=エデュテク、エデュテクと言う方もいます。
別分野のFinance(ファイナンス)とテクノロジーで、FinTech(フィンテック)といった言葉も類語です。
EdTechが注目される理由
EdTechが注目されるようになったのは、ブロードバンドやスマートデバイス(スマホ・タブレット等)の普及が進んだ00年代後半からです。
日本でも多くのベンチャーやスタートアップ、大手の参入が相次ぎました。
その後、一旦ブームは落ち着いていましたが、2020年に文部科学省が「GIGAスクール構想」を掲げたことで、再度注目されるようになりました。
また、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、学校現場・個人の学習においてオンライン教育を中心としたEdTechに再度注目が集まることになりました。
文部科学省の「GIGAスクール構想」
1人1台端末及び高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備するとともに、並行してクラウド活用推進、ICT機器の整備調達体制の構築、利活用優良事例の普及、利活用のPDCAサイクル徹底等を進めることで、多様な子供たちを誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された学びを全国の学校現場で持続的に実現させる
教育分野は、国の方針に大きく影響されます。文部科学省が掲げた「GIGAスクール構想」は、教育業界・多くの教育系の事業者の意思決定に影響を与えています。
GIGAスクール構想は、「令和時代のスタンダードな学校像として」、全国一律のICT環境整備を掲げたものです。
「GIGA」は「Global and Innovation Gateway for All」の頭文字を取っています。
目標とする水準として、
- 学習者用コンピュータ 3クラスに1クラス分程度整備
- 指導者用コンピュータ 授業を担任する教師1人1台
- 大型展示装置・実物投影機 100%整備
- 総合型校務支援システム 100%整備
- ICT支援員 4校に1人配置
等を掲げています。
EdTechとeラーニングの違い
ここまでお読みになっていただいた方で「eラーニング」と何が違うのか?と疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません。
その疑問も当たり前といえば当たり前で、eラーニングは主にインターネットやデジタルデバイスを利用した学習のことを指します。
EdTechにもeラーニングにも、教育分野にIT技術が活用されることを指し、「時間・場所を問わずに学習ができる」「教育の質の差が出にくい」など、メリットも共通です。
言葉自体に深い意味はなく、EdTechもeラーニングも「教育分野でテクノロジーを活用し新たな価値を生み出すこと、またそのトレンド」と認識しておくのがよいです。
「この取り組みはeラーニングではなくEdTechだ」「EdTechではなくeラーニング」といったことは厳密な定義がないので、個人の解釈や伝え方次第です。
神経質になりすぎなくてよいでしょう。
EdTechサービス例
国内外合わせて多くのEdTechサービスがあります。
年代・分野はもちろん、学習するためのサービス以外にも、学習ログを管理するためのもの、教育者を支援するものなど多くのサービスが存在します。
全て紹介することは現実的ではないので、国内で展開する有名なサービスを紹介します。
スタディサプリシリーズ(リクルート)
スタディサプリは、リクルートが提供するオンライン学習サービスです。
小中高校生向けのスタディサプリに加え、大学受験、英語学習(英会話、TOEIC等)に特化したコースも展開されています。
一流の講師による映像授業とテキストを用いて学習を行います。
入会金0円、月額料金2,178円からと、学習塾や家庭教師などと比べると金銭的な負担が少なく始められるサービスです。
スタディサプリは2014年より学校現場においても活用されており、2,500校以上の学校に利用されています。
進研ゼミシリーズ(ベネッセコーポレーション)
進研ゼミは、ベネッセコーポレーションが提供する通信教育サービスです。
「進研ゼミ」というと、紙で送られてくる教材をイメージされる方も多いかもしれませんが、現在の「進研ゼミ」は、タブレット等を活用し、過去のものからは大きく進化しています。
例えば小学生講座では、
- 動画や音声によるレッスンをタブレットで受ける「チャレンジタッチ」
- 紙に書く「チャレンジ」
の2種類から、自分に合うスタイルを選んで学習できます。
チャレンジタッチで使うタブレットは外部のウェブサイトを自由に閲覧できない設計で、子ども1人での利用を想定して独自に作られています。
進研ゼミの国内における4月会員数※は249万人です。
スマイルゼミ(ジャストシステム)
スマイルゼミはジャストシステムが提供する、幼児・小学生・中学生向けの通信教育です。
独自に開発されたタブレットを用いて学習することで、
- 子どもが1人でできること
- 書く学びで身に着けること
- 頑張りをほめること
の3つをポイントとしています。
EdTechをテーマにした転職で抑えるべきこと
弊社は、教育業界専門の転職エージェント「Education Career」を運営しており、日本国内のEdTech領域で屈指の求人数を保有しています。多くのEdTech関連企業への転職支援実績がございます。
多くの事業者、求職者の方とお話する中で得た知見をもとに、EdTechをテーマにした転職のポイントをまとめます。
特別なスキル・経験が求められるわけではない
肩透かしのような内容で申し訳ないのですが、EdTechをテーマにした転職だからといって、何か特別なスキル・経験が求められるわけではありません。
その企業が募集するポジションに基づいた、経験・スキルが必要になります。
「EdTech」をテーマにするから共通で準備しなければいけないことは存在しません。
教育やテクノロジーへの関心はあったほうが良い
とはいいながら、EdTech領域に取り組む事業者への転職を考えるのであれば、教育分野、テクノロジーへの関心はあったほうが良いでしょう。(というかなければ選択肢にならないかもしれませんが)
自分自身が体験した教育サービスから感じる課題感や、子育てを通じて感じるようになった課題感など、もっとこうしたほうがよい、こうなったら良いのではと具体的に考えられているとなお良いでしょう。
大企業、スタートアップ・ベンチャーの違いを理解しよう
EdTechは比較的新しいトレンドで、スタートアップやベンチャーがサービスを提供していることも多くあります。
EdTechをテーマにして転職活動を行う場合、様々な規模・フェーズの企業が存在しています。
スタディサプリを展開するリクルート、進研ゼミを展開するベネッセなど、多くの方が知っているような企業から、まだ知名度のない企業も多く存在します。
理解しておいてほしいのは、大企業や中小企業、スタートアップ・ベンチャー(この中でもフェーズがあります)で置かれている環境、状態は大きく異なるという点です。
大企業が良いか、ベンチャーが良いかといった話ではなく、それぞれ状況が違うことを理解しておきましょう。
例えば、外部のベンチャーキャピタルから資金調達し、サービス展開をしているスタートアップは、その時点では大きく赤字であることが多く、サービスが思ったように成長しない場合、追加の資金調達ができず、従業員のリストラを行う場合もあります。
※もちろん大企業でもリストラ可能性はあります。
一方で、サービスが成長し、株式が上場した場合はストック・オプションなどを得ていれば、大きな金銭的リターンを得られる可能性があります。
また勘違いしやすいのが、規模が大きくない企業全てがベンチャー・スタートアップではありません。
規模は大きくなくとも安定して収益を生んでおり、外部の資金に頼らない優良企業も多く存在します。
ご自身が関心のある事業者がどういった規模感で、どういうフェーズなのかを知っておくことは、働く上でどういうメリットやリスクがあるのかを知る上で非常に有益です。
個人で調べるのが難しい場合、弊社のようなエージェントに確認いただければご説明致します。
給与等の条件の仕組みを理解しよう
転職をする上で、給与・年収・休日などの条件は極めて重要です。
自分が関心のある仕事のテーマでも条件が良くなければ、長く働くことはできません。ただ一方で給与等の条件が決まる仕組みを理解していない方が多いことも事実です。
求職者の能力やスキルが高ければ良い条件が提示されると誤解されている方が多いのですが、労働条件はほとんどその事業者のビジネスモデルで決定されます。
収益性、労働分配率などで大枠が決まります。
教育業界は金融やコンサルティングなどの最も年収が高い業界と比較すれば、年収は下がります。
教育業界のなかでも業態によって年収に差が出ますので、そもそも自分が関心のある領域・ビジネスが収益性が高いのか否かなどは把握しておくとよいでしょう。
こちらもご自身だけで判断するのは難しいかもしれません。ご希望と合わせて弊社のような専門エージェントにお伝えいただければ、可能性や現実的な幅を回答することが可能です。
EdTechに関わる職種の例
続いてEdTechに関わる職種を解説します。
- 営業系
- 運営系
- 教材制作・企画系
- マーケティング系
- エンジニア系
の5つに分類してご紹介します。
営業系職種
サービスを売り込む、営業系の職種です。
業績が好調の企業では積極的に募集していることが多く、また採用人数も多いため、EdTechをテーマにした転職で候補に上がりやすい領域です。
営業(個人/法人)
EdTechサービスを提供する事業者の多くは、事業拡大のために優秀な営業人材を積極的に募集しています。
営業は大きく、個人(BtoC)と法人(BtoB)に分けられます。
個人営業は個人に対して、法人営業は法人に対して営業を行います。
個人営業と法人営業の違いは、
- 決裁者
- 購入までの期間
の2点が大きいです。
個人営業の場合、目の前の商談相手が決裁者であることがほとんどです。
法人営業の場合は、決裁者は複数いることが多く、実際のお金は目の前の商談相手が属する会社が支払います。購入までの期間は、個人の方が短く、法人の方が長くなりがちです。
カスタマーサクセス
カスタマーサクセスは、EdTech企業のなかでも、SaaSを提供する企業が多く募集を行います。
近年、中途採用が積極的に行われ、今後も需要は高いと想定される職種です。
SaaSとは「Software as a Service(サービスとしてのソフトウェア)」の単語の頭文字です。提供者側がサーバー上にソフトウェアを提供し、ユーザーはインターネットを経由して利用するサービスのことを指します。
カスタマーサクセスはサブスクリプション型のビジネスにおいて、サービスを解約せずに長く使ってもらう、アップセル・クロスセルしてもらうために重要な存在です。
一方で、SaaS自体が近年急速に成長した領域でまだまだ経験者が多くありません。
中途採用を行う企業は、経験者を求めていますが、そもそも経験者の絶対数が多くないため、カスタマーサクセスは未経験でも、営業経験がある方などはカスタマーサクセスとして採用する企業も多いです。
カスタマーサクセスは今後も需要が高止まりすると予想されるため、希少性を考えてもチャレンジしがいのあるキャリアの選択肢と言えるでしょう。
運営系職種
教育系事業者は、学習塾・スクールなど店舗や教室を運営する企業が多いです。
その中でテクノロジーを活用し、効率的な学習や今までにない学習サービスを提供しようとするEdTech事業者も多くあり、その店舗・教室を運営するポジションの募集も多くあります。
教材制作・企画系職種
EdTech関連の企業で、学習サービスを提供する事業者は非常に多いです。
そうした企業で自社が提供する学習コンテンツ、教材を企画、制作するポジションの募集は積極的に行われています。
大まかな内容を作成し、専門家へ作成等をディレクションする立場、実際に教材を作る立場など様々なポジションが存在します。
ゼロからコンテンツを企画するもの、既に紙媒体などにある教材をデジタルに置き換えるものなど、仕事内容もポジションによって大きく異なります。
募集の多くは、教材制作の経験者に限定されていますが、一部未経験、近接領域での経験で応募可能な求人もあります。
教育業界経験者に非常に人気の仕事で、多くの方が希望されるため、早期に募集が終わってしまうことも多い求人です。
マーケティング系職種
EdTech関連企業は、オンラインでサービスを展開する企業が多く、集客を行うマーケティング関連の募集も積極的に行われています。
特にWeb上でのマーケティングを担う募集が多いです。
広告運用を行うものから、コンテンツマーケティングにかかわるものなど経験者を前提とした募集がされています。
エンジニア系職種
EdTechに関連する事業者はテクノロジーを活用して、より良い教育・学習環境を提供しようとしています。
そのサービスづくりにエンジニアは必要不可欠です。
ほとんどの企業でエンジニアは募集されており、特に求人を公開していなくとも、良いエンジニアの方であれば採用したい企業がほとんどでしょう。
エンジニアの方でEdTechに関心を持たれる方は、「自分が作ったサービスが世の中の役にたつことを実感したい」「子育てする立場になって感じた不便を解消したい」など意志を持った方が多い印象を受けます。
未経験者が募集されることはほぼなく、経験者を前提とした募集がほとんどですが、採用ニーズはどの職種とくらべても高いため、一定の経験があれば引く手あまたでしょう。
EdTechをテーマにした転職をおすすめしたい方
ここまで、EdTechをテーマにした転職についてまとめました。
最後にEdTechをテーマにした転職をおすすめしたい方を解説して終わります。
- 教育産業に従事されていて、既存の仕組みに課題感や疑問を抱えている
- 教育サービス受益者として感じた疑問をお持ちの方
- テクノロジーが好きで社会を変えることに関心のある方
にEdTechをテーマにした転職はおすすめです。
なぜならEdTech関連事業者とベクトルが一致する可能性が高いからです。
EdTech関連事業者はテクノロジーを活用して、既存の教育環境をより良くしようとしています。
特にサービスを立ち上げ、企画した方は、強い課題感を持っていることが多く、課題解決のためにサービスが推進されています。
そうした大きなベクトルが一致することは働く上で疑問を感じづらいでしょうし、やりがいを感じられる可能性も高いでしょう。
▼参考文献
・文部科学省「『GIGAスクール構想の実現』に関する補助事業の概要について」(令和2年1月16・17日)
・リクルート「スタディサプリが選ばれる理由」
・ベネッセコーポレーション「2022年3月期 決算説明会資料」
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