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2020-01-09

イギリスの教育の制度・特徴は?サッチャー政権の改革で作られた、地域で異なる教育制度

イギリスでは、イングランド・ウェールズ・北アイルランド・スコットランドの4地域で少し異なる教育制度がとられています。

この記事では、主にイングランドの教育制度や歴史などについて説明します。

イギリスの教育の特徴

義務教育は5~16歳

イギリスの教育課程は6-5-2-3(4)制です。

義務教育期間は、イングランド以外の地域は5~16歳です。

イギリスの義務教育は日本の場合と異なり、学校機関に就学させる義務はありません。そのため、ホームスクーリングで勉強している学生も一定数いるようです。

イギリスの学校は、公立学校は学費無償で、私立学校は年間平均約13,000ポンド(約187万円)がかかります。

イングランドでは義務教育期間を引き上げ

イングランドでは、2015年に義務教育期間が18歳までに引き延ばされました。

これは、若者の失業率が上昇し、NEET(就労・就学・訓練をしない若年者)の問題への対応を目的としています。

進路が決まる全国学力試験「GCSE」

イギリスの義務教育課程では、原則、全国共通のナショナル・カリキュラムに基づいて教育が提供されます。

公立学校では、以下のように義務教育を4段階で分けています。

  • Key Stage 1(5~7歳 Year1~2)
  • Key Stage 2(8~11歳 Year3~6)
  • Key Stage 3(12~14歳 Year7~9)
  • Key Stage 4(15~16歳 Year10~11)

必修科目は、数学、英語、理科、歴史、地理、技術、情報技術、音楽、芸術、体育、現代外国語、市民教育の12科目です。

市民教育は、人種・多様性・平等などについて学ぶ日本の社会科における公民に近い科目です。

11歳と14歳でKey Stageテストを全員が受けます。

16歳では、全国統一学力試験「GCSE(General Certificate of Secondary Education」を受験します。

GCSEの成績は、進学・就職の際に合否の判断材料のひとつです。

この課程を終了後、イングランドでは、18歳になるまで以下の3つのいずれかを行わなければならないと定められています。

  1. 正規の就学期間を継続する(専門学校など)
  2. 教育を受けながら見習いとして働く
  3. 定時制学校に通ったり職業訓練をしながら、週に20時間働くかボランティアをする

義務教育終了後は、就職・職業資格取得・高等教育進学の3つの進路に分かれると解釈できます。

職業資格を取得するには、主に継続教育カレッジで教育訓練を受けて取得します。

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イギリスと日本の教育の違い

外務省の「諸外国・地域の学校情報:イギリス」を参考に、イギリスと日本の教育制度を比較した表が以下です。

イギリス 日本
学校制度 6・5・2・3(4)制(スコットランドは7・4・2・4制) 6・3・3・4制
義務教育期間 満5歳~満16歳(2015年以降、イングランドは5~18歳) 満6歳~満15歳
学校年度 9月1日~8月31日 4月1日~3月30日
学期制 3学期制 3学期制

イギリスは日本同様3学期制ですが、

  • 1学期:9月1日~12月31日
  • 2学期:1月1日~4月上旬
  • 3学期:4月上旬~8月31日

で、年度や地域により日程が異なります。

イギリスでは、小学1年生が始まる前にレセプションという学年を設置している学校が多くあります。

レセプションは9月時点の4歳児が対象で、就学前教育を提供しています。

イングランドでは義務教育の開始は「5歳になる誕生日から」が一般的となっているため、多くの児童はレセプションから入学します。

また、イングランドでは、3歳と4歳の子供に570時間(週15時間を年38週間)の無償教育が提供されています。

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イギリスの教育の歴史

現在のイギリスの教育制度は、1988年以降のサッチャー政権の教育改革によって確立されました。

1988年に成立した教育法によって、

  1. 全国共通カリキュラムの実施
  2. 全国一斉学力テストの実施
  3. オプトアウト制度の導入

以上の3つの取り組みが行われました。

①②によって、教育内容の統一化が図られました。

以前の試験は大学進学希望者と就職希望者で異なる2種類の試験が行われていました。これを廃止し、現在のGCSE(中等教育修了一般資格試験)を導入しました。

③のオプトアウト制度の導入とは、地方教育当局から各学校理事会へ教育に関する権限を委譲したことです。

それまで地方教育当局は、地域における教育の提供業務を持っていました。

オプトアウト制度によって、学校理事会に、財政運用権限や教員の任免権等が与えられました。

これらの改革によって、自力で教育の質と学力を向上させる学校が現れました。一方で、社会的・経済的に恵まれない地域などでは取り残される学校も存在しました。

1997年にブレア政権が教育改革を政策課題として取り上げました。

二分化した学校の差を解消する施策に取り組み、自力で教育の質向上が出来ない学校に対し、地方自治体がセーフティネットとして機能する仕組みを作っています。

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イギリスの教育の成果

PISA2018では読解力・科学的リテラシー14位

国立教育政策研究所のまとめた「OECD生徒の学習到達度調査(PISA)」によると、イギリスの調査結果は以下の通りです。

読解力 数学的リテラシー 科学的リテラシー
2000年 7位
2003年
2006年 17位 24位 14位
2009年 25位 28位 16位
2012年 23位 26位 21位
2015年 22位 27位 15位
2018年 14位 18位 14位

イギリスは、最初の2000年調査における読解力にて7位を獲得しました。

その後順位は低下していき、各分野で20~30位以内で推移しています。

直近の2018年の調査では、読解力14位、数学的リテラシー18位、科学的リテラシー14位です。

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まとめ

  • イギリスの教育課程は6-5-2-3(4)制
  • イングランドでは2015年に義務教育期間を延長
  • 現在のイギリスの教育制度はサッチャー政権が構築
  • PISAでは毎回20位前後で推移している

日本では2004年ごろ「ニート」という言葉がよく聞かれ、イギリスの若者支援政策が注目されました。

イギリスは留学先として人気の国の1つで、ネイティブの英語やイギリス文化等を学びたいと考える方も多いようです。

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