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2019-11-27 2019-12-25

フィンランドの教育の特徴は?日本との違い、幸福度ランキング世界第1位の秘密を解説

世界規模で教育水準を測定する調査PISAにおいて、好成績を残している国の1つにフィンランドがあります。

特に2000年頃に好成績を残しており、フィンランドは「読解力」で世界第1位でした。

これをきっかけに、日本国内でもフィンランドの教育制度・方法へ関心が高まりました。

この記事では、フィンランドの教育の特徴、教育改革の歴史などについて説明します。

幸福度ランキング1位!フィンランドの教育の特徴

フィンランドの教育の特徴は、

  • 教育費が無償
  • 基本理念「学ぶ行為そのものが義務」
  • 教員の高い質

の3点があげられます。

以下で、項目ごとに具体的に説明しています。

無償の教育費

フィンランドの教育の大きな特徴は、プレスクールから大学院まで学費がかからないことです。学費のほか、給食費や文房具代等も支給されます。

親の就労状況を問わず、0歳から保育園に通うことができます。

これはすべての子どもに保育施設を24時間確保することが自治体の義務とされているためです。

初等教育が始まる前の1年間は、プレスクールに通うことができます。

プレスクールは、幼稚園もしくは総合中等学校に併設されています。

基本理念は「学ぶ行為そのものが義務」

フィンランドの教育は、学校へ行くことが義務ではなく、学ぶ行為そのものを義務としています。

親や保護者は子どもの学習を成立させることに注力し、学習環境を整えることが義務なのです。

日本のように全国共通テストがなく、学生同士での競争が少ないことも特徴的です。

教員の高い質

教員は修士号を取得する必要があります。

また、教員採用率は低く、教員の質を高く保つための施策が取られています。

総合学校1~6年生の担任は教育学を専門とする教師が配置され、総合学校7~9年生はそれぞれの科目の修士号を持つ教師が各教科を担当します。

教育内容としては、

  • クロスカリキュラム
  • 暗記することよりも、学習した内容を表現すること

が重視されているなどの特徴があります。

クロスカリキュラムとは、教科・科目を横断した学習項目のことです。

2016年にはプログラミングが必修化され、全科目で横断的に導入されています。

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フィンランドと日本の教育の違い

フィンランド 日本
義務教育期間 7歳~15歳(1学年~9学年) 満6歳~満15歳
学校年度 8月中旬~6月初旬 4月1日~3月31日
学期制度 2学期制が一般的 3学期制
教育概要 政府が定めたカリキュラムの達成方法は、各学校長の裁量に委ねられている 学習指導要領に則って、学校運営がなされる
進学状況 初等教育(総合中等学校)修了者のうち約95%が高等教育(高等学校もしくは職業学校等)に進学 高等学校への進学率は97%以上

これは外務省の「諸外国・地域の学校情報:フィンランド」を参考に、フィンランドと日本の教育制度を比較した表です。

フィンランドの学校制度は、

  • 初等教育(総合中等学校)9年(又は10年)
  • 高等教育(高等学校もしくは職業学校等)3年
  • 学士もしくはそれに相当(応用科学大学もしくは大学等)3~5年

で、義務教育期間は7~15歳です。

就学前教育は、日本では幼稚園(3~5歳)・保育園(0~5歳)に通園、フィンランドではデイケアセンター等に付設された未就学児学校で教育を受けます。

義務教育以降、フィンランドでは

  • 高等学校:16歳~18歳、1年生~3年生
  • 職業学校:16歳~18歳、1年生~3年生
  • 応用科学大学:19歳~22歳、1年生~4年生
  • 大学:(学士)19歳~21歳:1年生~3年生(修士)22歳~23歳:4年生~5年生

といった進学先があります。

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フィンランドの教育の歴史

フィンランドがPISAの調査や幸福度ランキングで高い成果を挙げていることには、1994年のオリベッカ・ヘイノネン氏の教育改革が大きく寄与したと言われています。

オリベッカ・ヘイノネン氏は1994~1999年に教育大臣を勤めました。

1994年の教育改革において重要な点としては、

  1. 教育の自由化
  2. 教員の質向上のための施策

の2つが挙げられます。

教育の自由化

教育の自由化とは、教育省から各自治体・学校・教員へ裁量が与えられることを意味します。

これはコア・カリキュラム(=日本の学習指導要領)の項目を3分の1まで削減したことが大きな要因です。

コア・カリキュラムには目指す教育の質のみを示す形式となり、実質的な教育内容は各自治体等に委任されました。

1994年当時は、パソコンが台頭し始めた変化の激しい時代でした。

そのためヘイノネン氏は、細かく指導内容を作成しても新しい時代に対応できる教育が行えるかはわからないと考え、このような大胆な削減を行いました。

その他にも、学級編成の目安や予算計画などの裁量も自治体に与えられました。

教員の質向上のための施策

2点目の教員の質向上施策には、以下の3点の変革が挙げられます。

  • 教員採用率を10%未満にすること
  • 教員の資格として、修士号を要求すること
  • 養成課程の1年生から、現場での教育実習を実施すること

元々人気の職業だった教師に、このような高い要求をすることで教師の質向上を図りました。

また、その他に、

  • 教科書検定を廃止
  • 学校設備の充実
  • 教育に関与する公務員の増加

などに取り組みました。

教科書検定とは、政府が学校の教科書として扱う教材を指定する制度です。

フィンランドでは教科書の良しあしを政府ではなく市場が決めるものと考え、教科書検定制度を完全に廃止しました。

扱う教材を先生1人1人が決定できるようになりました。

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フィンランドの教育の成果

2000年に学習到達度調査で1位を獲得

PISAでは、読解力・数学的リテラシー・科学的リテラシーの3つの項目で調査が行われます。

国立教育政策研究所のまとめた「OECD生徒の学習到達度調査(PISA)」によると、フィンランドの2000年以降の調査結果は以下の通りです。

読解力 数学的リテラシー 科学的リテラシー
2000年 1位 4位 3位
2003年 1位 2位 1位
2006年 2位 2位 1位
2009年 3位 6位 2位
2012年 6位 12位 5位
2015年 4位 13位 5位
2018年 7位 16位 6位

調査は2000年から開始し、3年ごとに実施されます。

フィンランドは調査が始まって以降、2015年まで高い順位にランクインしていることがわかります。

一方で、特に数学的リテラシーの項目において、2000年の4位から順位が下がっています。

これは加盟国が増加し、上位に食い込んでくる競争国が増加したことが原因として考えられます。

教育も指標に含まれる「世界幸福度ランキング」で第1位

国連の実施する「World Happiness Report 2019」(世界幸福度調査)で、フィンランドは2018年から2年連続で1位を獲得しました。

このランキングは、「自分にとって最良の人生から最悪の人生の間を10段階に分けたとき、いま自分はどこに立っていると感じるか」という質問への回答の数値で順位付けしたものです。

国連の考える幸福度の指標は、

  1. 一人当たりGDP
  2. 社会的支援
  3. 健康寿命
  4. 人生の選択の自由度
  5. 社会的寛容さ
  6. 社会の腐敗度

の6つと、全項目を最低とした架空の国(ディストピア)との比較とされています。

この指標は、国連がランキングを説明づけるために用いているものです。

ランキングは、先述した質問に回答された数値の平均値のみで決定していることに注意が必要です。

これらの指標のうち、人生の選択の自由度と教育の間に関連があると考えられます。

フィリピンでは、誰でも平等に学べる環境づくりが重視されています。

社会人になってからも大学院等で学びやすい環境があり、就職後にやりたいことが変わっても学び直しができます。

こういった教育環境が、幸福度ランキングで高い水準を保っている一つの要因として考えられます。

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まとめ

  • フィンランドの教育はPISA調査や幸福度の高さから注目されている
  • フィンランドでは1994年にオリベッカ・ヘイノネン氏によって教育改革が行われた
  • フィンランドの教育の特徴は就学前教育から大学院まで学費が無償であること

フィンランドの教育は、2000年代に大きな関心を集めた教育制度・方法です。

現在では政治的な意味合いで教育無償化の先例としても注目されています。

経済格差が教育格差の要因の1つとなっている日本では、今後フィンランドの教育に注目する保護者や教育関係者が増えていくと考えられます。

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