2019-12-16 2024-09-06
PISA(ピサ)とは、世界81か国・地域で3年に1回行われる国際的な調査
PISA(ピサ)2018年の調査結果が公開され、話題になりました。
PISAは国際的な学習到達度調査のことで、日本でも教育方針を策定する1つの指標となっています。
この記事では、PISAの概要や歴史、日本の順位の推移などについて説明します。
この記事の監修者
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目次
PISA(ピサ)とは国際的な学習到達度調査

PISAとは、OECD(経済協力開発機構)が3年おきに実施する、国際的な学習到達度調査です。
PISAは「Programme for International Student Assessment」の略称です。
以下でPISAの詳細を「文部科学省 国際学力調査(PISA、TIMSS)」を元に説明します。
目的
PISAの調査目的は「義務教育修了段階(15歳)において、これまでに身に付けてきた知識や技能を、実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかを測る」ことです。
知識・技能の定着を直接的に問うのではなく、実生活で活用する能力を測ることを重視しています。
調査対象
調査の対象となるのは「調査段階で15歳3か月以上16歳2か月以下の学校に通う生徒」です。
日本では高等学校1年生が対象です。
調査内容
調査内容は、学力と学習状況の2つに大別されます。
学力
学力は、
- 読解力
- 数学的リテラシー
- 科学的リテラシー
の3分野が測定されます。
実施する年によって中心分野が設定されており、中心分野は重点的に調査されます。
2018年は読解力が中心分野で、既存の問題72問に新規の問題173問を加えた全245問が実施されました。
その他の分野は、数学的リテラシーで70問、科学的リテラシーで115問が出題されました。
重視される分野は、読解力→数学的リテラシー→科学的リテラシーの以下サイクルで決定されます。
- 2000年 読解力
- 2003年 数学的リテラシー
- 2006年 科学的リテラシー
- 2009年 読解力
- 2012年 数学的リテラシー
- 2015年 科学的リテラシー
- 2018年 読解力
- 2022年 数学的リテラシー
各分野の詳細は次の「PISA調査の3つの分野」で説明します。
問題は実践的な能力を問うため、図表・グラフ・地図などを含む文章題が約4割を占めています。
回答方法は選択式が約6割、自由記述式が約4割です。
学習状況
学習状況については、
- 生徒:生徒自身と学習環境
- 校長:学校
それぞれに関する質問が実施されます。
実施方法
PISAの調査はオーストラリア教育研究所を中心とした国際コンソーシアムが行っています。
日本では、国立教育政策研究所が、
- 文部科学省
- 東京工業大学教育工学開発センター
と連携・協力して調査を行っています。
コンピュータを使用した学力調査が2時間、生徒への質問調査が約45分実施されます。
2015年に筆記型の調査から、現在のコンピュータ使用型の調査に移行しました。
コンピューターの操作例としては、以下のようなものがあります。
- 長文の課題文をスクロールして読む
- キーボードで解答入力(ローマ字入力)
- 複数の画面で課題文を提示(Webリンクのクリックやタブの切り替えで他画面に移動)
- マウスによる解答選択、ドラッグ&ドロップ操作で画面上の選択肢を動かして解答
投稿文、電子メール、フォーラムへの参加回答など、オンライン上の多様な形式を用いた課題文を活用する問題が追加されています。
参加国
PISAはOECD加盟国だけでなく非加盟の国・地域でも実施されており、年々参加国は増加しています。
以下でその推移を表にまとめました。
| 年 | OECD加盟 | 非加盟 | 合計 |
| 2000年 | 28か国 | 4か国 | 32か国 |
| 2003年 | 30か国 | 11か国・地域 | 41か国・地域 |
| 2006年 | 30か国 | 27か国・地域 | 57か国・地域 |
| 2009年 | 34か国 | 31か国・地域 | 65か国・地域 |
| 2012年 | 34か国 | 31か国・地域 | 65か国・地域 |
| 2015年 | 35か国 | 37か国・地域 | 72か国・地域 |
| 2018年 | 37か国 | 42か国・地域 | 79か国・地域 |
| 2022年 | 37か国 | 44か国・地域 | 81か国・地域 |
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PISA調査の3つの分野

「国立教育政策研究所 PISA2022のポイント」を参考に、3分野の定義について説明します。
科学的リテラシー
科学的リテラシーは「思慮深い市民として、科学的な考えを持ち、科学に関連する諸問題に関与する能力」です。
この能力を身に付けるためには、以下の3つの科学的能力が必要とされています。
- 現象を科学的に説明する
- 科学的探究を評価して計画する
- データと証拠を科学的に解釈する
科学的リテラシーを身に付けると、科学やテクノロジーに関する筋の通った議論に自ら進んで携わる人物となります。
数学的リテラシー
数学的リテラシーは「数学的に推論し、現実世界の様々な文脈の中で問題を解決するために数学を定式化し、活用し、解釈する個人の能力のこと」です。
2022年調査では、2018年調査時点の定義から文言が変更されました。
数学的リテラシーには、事象を記述、説明、予測するための数学的な概念手順・事実・ツールを使うことが含まれます。
OECDは数学的リテラシーを、「現実世界において数学が果たす役割に精通し、建設的で積極的かつ思慮深い21世紀の市民に求められる、十分な根拠に基づく判断や意思決定をする助けとなるものである」と考えています。
読解力
読解力は「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、社会に参加するために、テキストを理解し、利用し、評価し、熟考し、これに取り組むこと」です。
2018年に提示された定義から内容の変更はありません。
なお、2018年の読解力調査では、2015年の調査で用いられた定義から以下の2箇所が変更されました。
1点目は、2015年では「書かれたテキスト」から「テキスト」に変わったことです。調査がコンピュータ使用型に移行し、デジタルテキストを踏まえた設問となったことが要因です。
2点目は、2018年の定義では「評価し」が追加されたことです。議論の信ぴょう性や著者の視点を検討する能力を把握するため、テキストを「評価する」という用語が追加されました。
PISAの歴史

PISAは、2000年に初めて調査が行われ、32か国約26万5千人の児童がこの調査に参加しました。
2003年の調査では、主要3分野に加えて問題解決能力についての調査が実施されました。
問題解決能力は、「問題解決の道筋が瞬時には明白でなく、応用可能と思われるリテラシー領域あるいはカリキュラム領域が数学、科学、または読解のうちの単一の領域だけには存在していない、現実の領域横断的な状況に直面した場合に、認知プロセスを用いて、問題に対処し、解決することができる能力」と定義されています。
日本の問題解決能力の分野での順位は4位でした。
2009年に、デジタル読解力の調査が初めて実施されました。
デジタルテキスト独自の特徴としては、以下の3つの要素が挙げられます。
- 情報へのアクセス・取り出し:複数のナビゲーションツールを使用し、特定のウェブページにたどり着き、特定の情報を見つけ出す
- 統合・解釈:リンクの選択・テキスト収集・それぞれのテキストの重要な側面を読み手自身が構築する
- 熟考・評価:情報の出所や信頼性、正確さを吟味・判断する
この頃から、インターネットを効果的に利用する技能・知識が重視され始めていたと考えられます。
2012年に、2度目の問題解決能力の調査が行われました。2003年は筆記型でしたが、2012年はコンピュータでの調査となりました。
2015年に全分野で、試験形式が筆記型からコンピュータ使用型調査に移行しました。
2018年の中心分野は読解力で、「多段階適応型テスト」と「読みの流ちょう性課題」が導入されました。
多段階適応型テストは、生徒の解答結果に応じて出題内容を変えるテストです。能力の高い(または低い)生徒の能力をより詳細に測ることを目的に導入されました。
読みの流ちょう性課題は、文章処理の正確さと速さを測ることを目的に導入されました。
なお、PISAはおよそ3年ごとに実施されていますが、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、2021年の実施予定が1年延期され、2022年の実施となりました。
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PISAを実施するOECD(経済協力開発機構)

PISAを実施するOECDとは、アメリカの欧州復興支援策「マーシャル・プラン」の受け入れ体制整備を目的として、1948年に設立されました。
設立当初は、OEEC(欧州経済協力機構)という名称でした。
その後、欧州とアメリカが対等のパートナーとして協力を行う機構として、1961年にOECD(経済協力開発機構)に再編されました。
OECD設立当初の加盟国は20か国で、日本は1964年に
- フィンランド
- オーストラリア
- ニュージーランド
とともに加盟しました。
加盟国は徐々に増え、経総務省のWebサイトによると2022年11月時点で38か国となっています。
OECDは、2024年現在において2,000人を超える専門家が所属している世界最大のシンクタンクです。
OECDの活動目的は、
- 加盟国の経済成長
- 開発
- 貿易
の3つです。
特に、
- 経済政策・分析
- 規制制度・構造改革
- 貿易・投資
- 環境・持続可能な開発
- ガバナンス
- 非加盟国協力
の6つの分野に取り組んでいます。
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日本のPISA調査順位の推移
「国立教育政策研究所 PISA2022のポイント」によると、日本の順位の推移は以下のようになっています。
| 年 | 読解力 | 数学的リテラシー | 科学的リテラシー | |||
| 全参加国中 | 加盟国中 | 全参加国中 | 加盟国中 | 全参加国中 | 加盟国中 | |
| 2000 | 8位 | 8位 | 1位 | – | 2位 | – |
| 2003 | 14位 | 12位 | 6位 | 4位 | 2位 | – |
| 2006 | 15位 | 12位 | 10位 | 6位 | 6位 | 3位 |
| 2009 | 8位 | 5位 | 9位 | 4位 | 5位 | 2位 |
| 2012 | 4位 | 1位 | 7位 | 2位 | 4位 | 1位 |
| 2015 | 8位 | 6位 | 5位 | 1位 | 2位 | 1位 |
| 2018 | 15位 | 11位 | 6位 | 1位 | 5位 | 2位 |
| 2022 | 3位 | 2位 | 5位 | 1位 | 2位 | 1位 |
日本は、数学的リテラシーと科学的リテラシーにおいて、毎調査10位以内です。
読解力の順位は安定せず、8位~15位で変動していましたが、2022年調査では参加国全体で3位、加盟国内で2位と順位を上げています。
近年ではOECD加盟国のみの順位と、全参加国の順位で差が開いています。これは、OECD非加盟国の中国やシンガポールなどの国が上位を占めていることが理由です。
PISAだけじゃない!国際的な学力調査「TIMSS」
PISA以外の国際的な学力調査に、TIMSS(ティムズ)があります。
TIMSSは、IEA(国際教育到達度評価学会)が実施している、算数・数学と理科の学力を測定する調査です。
PISA同様、児童・生徒質問紙、教師質問紙、学校質問紙による調査も実施しています。
TIMSSの対象は、文部科学省によると、以下のように定義されています。
- 9歳以上10歳未満の大多数が在籍している隣り合った2学年のうちの上の学年の児童
- 13歳以上14歳未満の大多数が在籍している隣り合った2学年のうちの上の学年の生徒
日本では、小学4年生と中学2年生が調査対象です。
TIMSSの歴史は長く、1964年から調査が開始され、1995年以降は4年ごとに実施されています。
TIMSSの調査結果は文部科学省のページで確認できます。
まとめ

- PISA(ピサ)とはOECDが3年おきに実施する国際的な学習到達度調査
- 分野は、読解力・数学的リテラシー・科学的リテラシーの3分野
- 日本は数学的リテラシー・科学的リテラシーで好成績を残している
- PISA以外の国際的な学力調査にはTIMSS(ティムズ)がある
PISAは、2015年からコンピュータ使用型の調査に移行しました。
今後もIT技術の発展とともに、調査項目や実施方法が変化していくと考えられます。
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