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2019-10-30 2024-09-03

イエナプラン教育とは、子どもが互いに個性を尊重し合い共生心を養う教育

近年日本で注目されている教育課程の1つに「イエナプラン教育」があります。

イエナプラン教育とは、子どもが互いに一人ひとりの個性を尊重し合い、共生心を養う教育のことです。

イエナプラン教育はドイツのイエナ大学で生まれ、オランダで普及しました。

この記事では、イエナプラン教育の概要や特徴、歴史、日本での普及状況などについて説明しています。

この記事の監修者

Education Career 編集部

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イエナプラン教育とは子どもが互いに個性を尊重し合い共生心を養う教育

イエナプラン教育とは、子どもが互いに一人ひとりの個性を尊重し合い、共生心を養う教育のことです。

イエナプラン教育では、学校を「子ども・教員・保護者を内包する一つの共同体」として捉えます。

教員が養育の専門家としての役割を果たすことはもちろんですが、保護者にも様々な場面で介在してもらい、養育の一部を支援を受けます。

また、イエナプラン教育は、学校を家庭的な環境として捉えます。

異なる年齢の子どもでクラス編成を行い、生徒はその共同体(教員・保護者を含む)に対する自分の責任を学びます。

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イエナプラン教育の特徴

イエナプラン教育は「子ども・教員・保護者を内包する一つの共同体」を実現するため、指導内容やクラス運営にいくつかの特徴があります。

以下で、イエナプラン教育の6つの特徴を説明します。

リビングルームとしての教室

イエナプラン校では、教室をリビングルームとして捉えます。

イエナプランにおけるリビングルームは、くつろげるといったイメージではなく、生徒と先生で創り上げていく学びやすい環境のことを指します。

読書コーナーやPCコーナー、作業用・指導用テーブルなどの配置を考えながら、生徒と教員で内装を整えていきます。

マルチエイジ(異なる年齢のクラス編成)

イエナプラン教育のクラスは、

  • 4~6歳
  • 6~9歳
  • 9~12歳

の3つの年齢のグループに分けられてクラスが編成されます。

3年間同じ教員の下、年少・年中・年長の3つの立場を経験し、次の高学年クラスに年少として入るという形式です。

年齢差による立場の違いを経験し、社会に出てからも相手の立場を考えて行動できる子どもに育つと、イエナプラン教育では考えられています。

「会話・遊び・学習・催し」からなる4つの基本活動

イエナプランにおける活動は、会話・遊び・学習(仕事)・催しという4つの基本活動に分類されます。科目ではなく、これら4つの活動を循環する時間割を策定します。

以下で、それぞれの基本活動の内容を説明します。

会話(サークル対話)

サークル対話は、環状になって話し合うことです。

内容は自由形式のものや、グループリーダーからテーマが与えられて話合うこともあります。その他、何かの報告会や朗読会のような形式のサークル対話などがあります。

遊び

子どもが音楽に合わせて体を動かして感情を表現したり、演劇づくりなどを行う活動です。お互いにお互いを必要とすることを学ぶことが目的です。

学習(仕事)

課題を意識してそれを達成するための活動で、ブロックアワーとインストラクションの2つの形式があります。

ブロックアワーは、子どもたちが自分ひとりで自立して仕事に取り組む自立学習です。インストラクションは、教員(グループリーダー)などから学ぶ共同学習です。

催し

一般的な祝祭のほか、学校での特別な行事、子どもやグループリーダー(教員)の誕生日会、ミニ学芸会などがあります。

静かな学びの場

イエナプラン教育では、子どもが静かに黙って問題と向き合う時間を充分に持つことを重視しています。

基本行動の学習方法の1つ、ブロックアワー(自立学習)の時間では、友達や先生にすぐに答えを求めず、答えのない問題とうまく付き合いながら探求心を養います。

学校職員のチームワーク

イエナプランの授業は、学校全体の教育計画にて策定されます。そのため、学校職員は全員で、校長主導のもと計画の策定を行います。

保護者の協力

イエナプラン教育では、保護者の方に教育活動への参加を積極的に促しています。

イエナプラン教育には、子どもの教育は学校と保護者の協力関係のもと行うものという考え方があるためです。

校舎内の飾りつけや教室の内装変更、遠足などの場面で、保護者が支援することがあるようです。

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イエナプラン教育の20の原則

イエナプラン教育には、教育理念のような「イエナプラン教育の20の原則」というものがあり、それは

  • 「人間について」
  • 「社会について」
  • 「学校について」

の3テーマから構成されています。

ここでは、日本イエナプラン教育協会「イエナプラン教育の20の原則 (K・ボットとK・フロイデンヒル 1992年)」を用いて説明します。

人間について(1-5個)

  1. どんな人も、世界にたった一人しかいない人です。つまり、どの子どももどの大人も一人一人がほかの人や物によっては取り換えることのできない、かけがえのない価値を持っています。
  2. どの人も自分らしく成長していく権利を持っています。自分らしく成長する、というのは、次のようなことを前提にしています。つまり、誰からも影響を受けずに独立していること、自分自身で自分の頭を使ってものごとについて判断する気持ちを持てること、創造的な態度、人と人との関係について正しいものを求めようとする姿勢です。自分らしく成長して行く権利は、人種や国籍、性別、(同性愛であるとか異性愛であるなどの)その人が持っている性的な傾向、生れついた社会的な背景、宗教や信条、または、何らかの障害を持っているかどうかなどによって絶対に左右されるものであってはなりません。
  3. どの人も自分らしく成長するためには、次のようなものと、その人だけにしかない特別の関係を持っています。つまり、ほかの人々との関係、自然や文化について実際に感じたり触れたりすることのできるものとの関係、また、感じたり触れたりすることはできないけれども現実であると認めるものとの関係です。
  4. どの人も、いつも、その人だけに独特のひとまとまりの人格を持った人間として受け入れられ、できる限りそれに応じて待遇され、話しかけられなければなりません。
  5. どの人も文化の担い手として、また、文化の改革者として受け入れられ、できる限りそれに応じて待遇され、話しかけられなければなりません。

教員が、生徒一人ひとりを平等に扱うこと、また生徒のそういった平等や公平の価値観を養うことを心がけていることがわかります。

社会について(6-10個)

  1. わたしたちはみな、それぞれの人がもっている、かけがえのない価値を尊重しあう社会を作っていかなくてはなりません。
  2. わたしたちはみな、それぞれの人の固有の性質(アイデンティティ)を伸ばすための場や、そのための刺激が与えられるような社会をつくっていかなくてはなりません。
  3. わたしたちはみな、公正と平和と建設性を高めるという立場から、人と人との間の違いやそれぞれの人が成長したり変化したりしていくことを、受け入れる社会をつくっていかなくてはなりません。
  4. わたしたちはみな、地球と世界とを大事にし、また、注意深く守っていく社会を作っていかなくてはなりません。
  5. わたしたちはみな、自然の恵みや文化の恵みを、未来に生きる人たちのために、責任を持って使うような社会を作っていかなくてはなりません。

社会についてでは、人と人が尊重しあえる・能力を高めあえる社会を協働でつくろうという意思を持ち、地球の自然や文化を大事に扱おうという思いが込められています。

学校について(11-20個)

  1. 学びの場(学校)とは、そこにかかわっている人たちすべてにとって、独立した、しかも共同して作る組織です。学びの場(学校)は、社会からの影響も受けますが、それと同時に、社会に対しても影響を与えるものです。
  2. 学びの場(学校)で働く大人たちは、1から10までの原則を子どもたちの学びの出発点として仕事をします。
  3. 学びの場(学校)で教えられる教育の内容は、子どもたちが実際に生きている暮らしの世界と、(知識や感情を通じて得られる)経験の世界とから、そしてまた、<人々>と<社会>の発展にとって大切な手段であると考えられる、私たちの社会が持っている大切な文化の恵みの中から引き出されます。
  4. 学びの場(学校)では、教育活動は、教育学的によく考えられた道具を用いて、教育学的によく考えられた環境を用意したうえで行います。
  5. 学びの場(学校)では、教育活動は、対話・遊び・仕事(学習)・催しという4つの基本的な活動が、交互にリズミカルにあらわれるという形で行います。
  6. 学びの場(学校)では、子どもたちがお互いに学びあったり助け合ったりすることができるように、年齢や発達の程度の違いのある子どもたちを慎重に検討して組み合わせたグループを作ります。
  7. 学びの場(学校)では、子どもが一人でやれる遊びや学習と、グループリーダー(担任教員)が指示したり指導したりする学習とがお互いに補いあうように交互に行われます。グループリーダー(担任教員)が指示したり指導したりする学習は、特に、レベルの向上を目的としています。一人でやる学習でも、グループリーダー(担任教員)から指示や指導を受けて行う学習でも、何よりも、子ども自身の学びへの意欲が重要な役割を果たします。
  8. 学びの場(学校)では、学習の基本である、経験すること、発見すること、探究することなどとともに、ワールドオリエンテーションという活動が中心的な位置を占めます。
  9. 学びの場(学校)では、子どもの行動や成績について評価をする時には、できるだけ、それぞれの子どもの成長の過程がどうであるかという観点から、また、それぞれの子ども自身と話し合いをするという形で行われます。
  10. 学びの場(学校)では、何かを変えたりより良いものにしたりする、というのは、常日頃からいつでも続けて行わなければならないことです。そのためには、実際にやってみるということと、それについてよく考えてみることとを、いつも交互に繰り返すという態度を持っていなくてはなりません。

イエナプラン教育の特徴や学習形式に基づいて、学びの場(学校)を提供しています。また、固定観念にとらわれず、改善を目的とした変化を続けることを重視しています。

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イエナプラン教育の始まりは1924年ドイツのイエナ大学

イエナプラン教育は、ドイツのイエナ大学のペーター・ペーセン(1884-1952)が実験校で取り組んでいた教育実践をもとに発表されました。

1926年にスイスのロカルノで開催された新教育フェローシップの第4回国際会議にて発表していた際に、秘書のクレア・ソパードとドロシー・マシューズが「イエナプラン」と名づけたと言われています。

1950年代、新教育フェローシップのオランダ支部の書記スース・フロイデンタールがオランダでのイエナプラン教育普及に注力しました。

その後、1960年にオランダで初めてのイエナプラン校が設立されました。

2019年現在、220校以上のイエナプラン校があると言われています。

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イエナプラン教育の広がり

オランダで普及したのち、日本では2010年代にイエナプラン教育という言葉が普及しました。

ここからは、2019年現在の日本での活動や設置校などについて説明します。

日本では「日本イエナプラン協会」が活動

2014年度に日本イエナプラン協会が設立されました。

日本イエナプラン協会は日本におけるイエナプラン教育の発展・普及のために、イエナプラン教育の実践により、情報交換や研究を深めていく場をつくることを目的として設立されました。

日本での実践報告や教材の提供、日本国内での研修など、日本でイエナプラン教育を実践するための支援活動を主に行っています。

2022年4月に広島県福山市が「イエナプラン教育校」を設置

最近では、2022年4月に、広島県福山市がイエナプラン教育校の設置を予定していることを発表しました。

再編される常石小学校を活用し、2020年度から2年間を移行期間として新1~3年生の募集を行う予定です。

各学年10人程度の募集を行い、後に1~3年生・4~6年生の異年齢の生徒たちで学級編成を行う方針です。

参考:福山市教育委員会「【イエナプラン教育(常石小)】 オープンスクール・学校説明会開催!」

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まとめ

  • イエナプラン教育とは、子どもが互いに一人ひとりの個性を尊重し合い、共生心を養う教育のこと
  • イエナプラン教育はドイツのイエナ大学のペーター・ペーセンが実験校で取り組んでいた教育実践をもとに発表された
  • 2022年3月には広島県福山市で「イエナプラン教育校」が設置予定

日本では、日本イエナプラン協会が中心となり、イエナプラン教育の普及活動を行っています。

広島県では試験的なイエナプラン校の設置が決定するなど、徐々にではありますがイエナプラン教育に対する関心は高まっていくと考えられます。

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