2019-11-28 2024-09-17
ICT教育とは、情報通信技術を活用してコミュニケーションを取る教育方法
新学習指導要領では教科指導において、ICT活用が具体例とともに明記されました。
ICTという言葉は聞いたことがあるけれど、
- 具体的に何を指すのかわからない
- ICTとITの違いって何?
といった方も多いのではないでしょうか。
この記事ではICT教育とは何か、メリットとデメリット、実践例や現状について紹介します。
この記事の監修者
Education Career 編集部
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目次
ICT教育とはインターネットなどを活用してコミュニケーションを取る教育

ICT教育における「ICT」とはInformation and Communicaton Technologyの頭文字で、日本語では「情報通信技術」です。
IT業界、IT人材、IT技術といった「IT」という言葉をよく耳にします。
このITとはInformation Technologyの略で、パソコンのハードウェア、アプリケーション、インターネットなど「情報技術」を指します。
「情報通信技術」であるICTは、コミュニケーションを取るための情報技術を意味します。情報技術そのものではなく、技術を用いた情報の伝達に重きを置いている言葉です。
そのため「ICT教育」とは、パソコンやタブレット、インターネットなどの情報通信技術を活用してコミュニケーションを取っていく教育方法を指します。
ICT教育は文部科学省が特に力を入れている分野で、小学校~大学まで全国の学校でICTを活用した教育が推進されています。
ICT教育のメリットとデメリット

このように近年推進されているICT教育ですが、そのメリットとデメリットはどのようなものがあるのでしょうか。生徒、教師、学校の立場で考えていきます。
生徒のメリット
モチベーションが高まる
ICTを使った学習では、音やアニメーションなど生徒が飽きない工夫がたくさんあり、生徒は授業を楽しめます。
また、画像や動画によって文字では伝えづらかった内容がわかりやすくなり、授業そのものが楽しく面白いものと感じやすくなります。
これにより、モチベーションの高まりが期待されます。
生徒が授業に参加しやすくなる
今までは発言するときには挙手をしてクラス全員の前で話すのが一般的でしたが、ICTを使って匿名での発言や共同編集が可能になります。
積極的に発言しない生徒の授業への主体的な参加がしやすくなります。
各自の能力にあった学習が可能になる
今までは先生の話を聞くという一斉授業が主流でしたが、そうなると教室の中で先生の説明が理解できない生徒もいれば簡単すぎて退屈してしまう生徒もいました。
1人1台ICT端末が導入されると、
- 理解が進んでいる生徒はどんどん先の練習問題を解く
- つまづいている生徒は基礎的な問題にじっくり取り組む など
各自の能力に合わせた学習が可能になります。
このように個別に最適化された学びを実現できるのはICT教育のメリットです。
情報活用能力を育む
社会でも情報化が急速に進んでいる中、子どもたちは情報を選択し活用する「情報活用能力」を育む必要があります。
情報社会に対応していく力を備え、情報リテラシーを習得するため、学校においてICTを活用する意義は大きいといえます。
生徒のデメリット
書く力の低下
デジタル機器を活用する場合、手書きの機会は減る傾向があります。
キーボードを使った文字入力に慣れてしまうと漢字を書けなくなる、ある程度の長さのある文章を手書きで書けなくなる等の恐れがあります。
ネットトラブル
インターネットに常に接続されていると、有害サイトにアクセスしてしまったりネット上のいじめが発生する可能性があります。
情報機器の適切な使用方法の教育や、教師・保護者が子どものネット利用の状況をしっかり把握する必要があります。
教師のメリット
わかりやすい授業ができる
映像やアニメーション、音声などを活用すると、文字で伝わりづらかったことをわかりやすく伝えられます。
ビデオ会議機能を使って海外の学校の生徒と英語でやり取りを行うなど、授業内容の幅が広がる場合もあります。
効率的に授業ができる
板書をする時間やプリントを用意する時間が削減され、より効率的な授業ができます。
授業準備や生徒の授業ノートのチェックなどもICTを使うとより早く短時間で行えるようになります。
情報共有の簡潔化
授業の様子や使用した資料などを電子データで保存しておくと、教員間や生徒・保護者との情報共有を簡単に行えます。
教師のデメリット
機器に慣れる必要がある
ICTに苦手意識を持っている教師は多いようです。
操作方法に慣れなければ授業で効果的に使うのが難しく、教師にとっては使用のハードルが高い場合があります。
機器によって特性が違う
機器によって特性があるため、作業が限定される場合があります。
例えば、異動になった教師が前の学校で使っていた機器の仕様が赴任先の機器と異なり、操作に戸惑うケースが挙げられます。
金銭的な負担
教師というより学校の負担ですが、ICT機器の導入や管理に金銭的な負担が発生します。
ICT教育を実践するには、まずICT機器を購入するための初期費用がかかります。
生徒が個人で端末を購入する場合、保護者の負担になります。
端末が故障してしまった場合には、修理代や代替品の購入にも費用がかかります。
ICT教育の実践例

ICT教育にはたくさんのメリットがある一方、気を付けなければならないデメリットもあることがわかりました。
メリット・デメリットを踏まえ、実際の学校では現在どのようにICT教育が実践されているのでしょうか。
- 小学校
- 中学校
- 高校
- 特別支援学校
に分けてそれぞれ紹介します。
小学校
動画やアニメーションなど、視覚的な説明で児童がイメージしやすくなる場面でICTが活用されることが多いようです。
例えば、
- 書道:授業で筆の動かし方を動画で説明する電子教材を使用する
- 算数:図形の学習で電子黒板に表示された図形を児童が実際に指で動かして公式を確かめる
- 総合:インターネットを使った調べ学習でパソコンを使用する
等の例があります。
中学校
中学校では小学校よりも複雑な概念を扱うようになるため、言葉で説明されてもイメージできない学習内容が増えます。
わかりやすく説明するため、生徒の興味関心を惹くためにICT教材を活用することが多いようです。
- 理科:天体について学ぶときに太陽や地球、星の動きをシミュレーションできる教材を用いる
- 社会:歴史の授業で授業の導入時にインターネット上のWeb教材や動画を使い関心を集める
生徒に1台タブレットが支給されている場合、各自が自由にそのシミュレーションを動かし、自分のペースで繰り返し動かすといった活用方法もあります。
高校
高校では学習内容がより高度になり、身につけなければならない知識量が多くなります。
例えば英語の授業の前半でフラッシュカードを使用して、クラス全体で確認するといった活用法があります。
他にも、高校では個人やグループで何かテーマを決めて各自で研究するといった学習も行われます。
最終発表でパワーポイントを使ってプレゼンテーションを行うことも多いようです。
特別支援学校
特別支援学校や小中学校の特別支援学級に在籍する児童・生徒にとって、ICTは活用の有効性が指摘されています。
ICTによって各自の特性に応じた必要な支援が可能になります。
例えば声が出ない生徒が自分の考えをタブレットで文字入力して伝えると、スムーズなコミュニケーションが取れるようになります。
ICT教育の現状

このように国がICT教育を推進し、様々な実践も行われています。
実際にICT教育を行うための環境はどれぐらい整備されているのでしょうか。
今回は文部科学省の「平成30年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」をもとに紹介します。
この調査は、全国の公立学校(小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校)を対象としています。
教育用コンピュータの普及状況
教育用コンピュータとは、調べ学習などの際に生徒が使用できるコンピュータを指します。
平成31年度の教育用コンピュータ1台あたりの平均児童生徒数は5.4人です。
この値は年々低くなっており(平成30年度:5.6人、平成29年度:5.9人)、コンピュータの普及台数が増えているように思えます。
しかし、実際は児童生徒数が年々少なくなっており、コンピュータの台数はほとんど横ばいの状態です。
ネットワーク整備率
平成31年度の普通教室の無線LAN整備率は40.7%で、平成29年度以降年々向上しています(平成30年度:34.5%、平成29年度:29.6%)
有線LANなどを含めた校内LANの普通教室の整備率は89.6%です。
今後生徒1人1台タブレットが支給されるようになると、無線LANの整備はますます求められます。
普通教室の大型提示装置整備率
大型提示装置とは、電子黒板やプロジェクタ、デジタルテレビ等を指します。
平成31年度の普通教室の大型提示装置整備率は51.2%です。
平成30年度まで電子黒板の整備率のみを調査しており、その結果は
- 平成30年度:26.8%
- 平成29年度:24.4%
です。
ICT教育の課題
日本におけるICT教育の現状から、学校現場のICT環境は年々充実してきているものの、まだ道半ばといった状況がわかりました。
現在の日本におけるICT教育の課題として、
- 地域間の格差
- 教員のICT活用指導力
の2点を挙げ、説明します。
地域間の格差
現状のICT環境で、地域間での格差が出てきています。
教育用コンピュータの普及率を見ると佐賀県では1.8人/1台であるのに対し、平均値は5.4人/1台、最も低い愛知県では7.5人/1台となっています。
このように、ICT教育に多くの財源を割いている地域とそうではない地域で差が生じています。
ICT機器の中にはかなり高価なものも含まれるため、財源の厳しい地域では導入が進みにくいのは課題と言えるでしょう。
教員のICT活用指導力
現在教壇に立つ多くの教師は、ICTを活用した授業を受けたことがありません。
そのため、授業のどのような場面でICTを活用すればいいのかわからないと感じる教師も少なくないようです。ICTの活用に慣れておらず操作方法がわからないといった声も多く聞かれます。
更にICTは技術進歩が速いため研修だけでは不十分な状況も多くあります。
実際にICT活用をサポートしてくれる外部専門家やICT支援員の導入などが求められています。
▶「ICT支援員」とは?文科省が学校に配置を推進する、学校のICT化を実践的に支援する人物
文科省「学校における先端技術の活用に関する実証事業」

文部科学省は教育の情報化の推進施策の一環として、「新時代の学びにおける先端技術導入実証研究事業(学校における先端技術の活用に関する実証事業)」を平成31年度に始めました。
この事業の目的や概要、どのような背景で導入されたのかを紹介します。
背景
これからの時代はデジタル化が進み、全ての人やモノがIoT(Internet of Things)でつながる「Society5.0」の時代と言われています。
これからの時代は、読解力や数学的思考力などの基礎的な力を確実に取得することが重要です。
生徒1人1人の学習進度や能力に応じた学びを提供する必要があり、先端技術の活用が効果的とされています。
また、基礎的な力に加えて、知識を活用し応用する力の育成も、これからの時代には求められます。
教育現場がより高い質の授業や教育を提供できるよう、教師や学校を支援していく必要があり、学校運営や教師の学習指導要領の着実な実施の支援のために先端技術の活用促進が図られています。
この背景を踏まえ、文部科学省は平成31年度から、委託先に採択した教育委員会や法人団体などに予算を配分し、先端技術の効果的な活用法を明らかにする実証研究を始めました。
目的
本実証事業の目的は
- 先端技術の学校での活用方法を明らかにする
- 学校で収集することが望ましいデータを明らかにする
の大きく2つあります。
1:先端技術の学校での活用法を明らかにする
学習指導、生徒指導、管理運営など様々な場面において先端技術をどのように導入、活用すべきかを明らかにしたいと考えています。
- どのような場面でどの技術をどのように活用することが効果的なのか
- どのような点に留意すべきなのか
を整理し、児童生徒の学びや教師の指導がどう変化するかを実証します。
2:学校で収集することが望ましいデータを明らかにする
先端技術の導入、活用によって生徒の教育支援を行う際、先端技術が収集する様々なデータを整理し分析する必要があります。
この事業を通して、どのような目的で、どのようなデータを、どのような形式で集めたらよいのかという汎用的なデータ標準のあり方の検討も目的とされています。
事業内容
委託先が指定した実証校に、先端技術を民間企業と協働して導入します。
事業期間は契約締結日から当該年度の3月31日までの約1年間です。
期間内で学校における様々なデータを収集・活用し、
- 学習支援の効率化
- 学校運営の効率化
- 教師の指導の充実
等を図ります。
結果から得られたノウハウ、知見を集約・分析し、実証研究で報告するのが事業の内容です。
採択地域
平成31年度の公募では、
- 埼玉県教育委員会
- 岐阜県教育委員会
- 京都市教育委員会
- 箕面市教育委員会
- 香川県教育委員会
が採択されました。
まとめ
- ICT教育は情報通信技術を活用してコミュニケーションを取る教育方法
- ICT環境は徐々に整備されている
- ICT教育の課題には地域間格差、教員の研修などの課題がある
この記事では、ICT教育の現状と課題、文部科学省が行っている取り組みについて紹介しました。
ICT教育でできる個別最適化学習は、これまでの教育では実現が難しく、ICT教育の最大のメリットと言えるでしょう。
2019年11月13日、安倍首相は教育現場でパソコンが1人1台ずつ普及するのは当然との見解を示しました。
ICT教育は新たな教育の方法の1つとして、今後ますます普及していくとともに注目を集めそうです。
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