2019-12-23 2020-06-10
学習塾の種類・特徴を指導方法・内容・規模で徹底解説
学習塾の発祥と言われる「寺子屋」は江戸時代に誕生しました。
その後、学習塾業界は少子化やIT技術の進歩など様々な影響を受けながら発展してきました。
塾と一口に言っても、指導方法や教育の目的などは塾によって異なり多種多様です。
この記事では、塾の種類を指導方法・内容・規模で分類し説明します。
塾は全国に約46,000教室
経済産業省の「特定サービス産業実態調査報告書」によると、日本全国には4万6,734の学習塾があり、学習塾で働いている人は32万7,547人います(2018年)。
ここでは、多種多様な学習塾を、
- 指導方法
- 集団指導型
- 個別指導型
- 映像指導・eラーニング型
- 自立学習型
- 内容
- 総合塾
- 専門塾
- 進学塾
- 補習塾
- 規模
- 大手・中堅塾
- 個人・小規模塾
で分類し、それぞれの特徴やメリットなどを説明します。
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指導方法別の塾の分類
「特定サービス産業実態調査報告書」では、個別指導と集団指導を以下と定義しています。
- 個別指導方式:1人の講師が3人以下の生徒に対し個別に指導する形態
- 集団指導方式:1人の講師が4人以上の生徒を指導する形態
2018年のデータでは学習塾の指導方法別の数の内訳は、
- 個別指導方式:1万9,209事業所
- 集団指導方式:2万9,565事業所
で、集団指導方式の方が個別指導型の約1.5倍多くあります。
集団指導型
集団指導塾では、講師1人に対し生徒複数人が授業をうけます。
学校のクラスのように20~30人で授業をすることもあれば、10人程度場合もあるため、
- 大人数(20~50人)
- 少人数(4~10人)
に細分化して説明します。
大人数
大人数の授業は、おおよそ20~50人程度を想定しています。
50人ともなるとかなりの大規模ですが、大手学習塾などではこのような光景も珍しくないようです。
大人数の集団指導のメリットは、生徒間に競い合いの関係ができることです。
テストでの点数の開示や順位付けなどを行っている塾も多く、生徒にとって大きな刺激になるでしょう。
デメリットとしては講師が生徒の面倒を見るのに限界があるということです。
少人数
少人数の集団指導は10人程度を推定しています。
中堅の学習塾や細かく学力別で指導を行う学習塾では、少人数指導の形式をとっていることが多いようです。
メリットは、集団指導でありながら大人数よりも講師の目が行き届きやすく、生徒の理解度を把握しやすいことです。
集団指導型の学習塾は、
等があります。
個別指導型
個別指導塾では、講師1人に対し生徒1~3人で授業を行います。
個別指導塾のメリットは、個人の学力に合わせて授業が進むことです。
学力の高い・低いのほか、例えば学校の期末テストの範囲に合わせた課題を提供するなど、1人ひとりに合わせたカリキュラムを提供することができます。
個別指導型の学習塾は、
等があります。
映像指導・eラーニング型
冒頭で述べた約4万7,000ある学習塾のうち、インターネットを活用した指導方式を採用しているのは1万1,228事業所で全体のおよそ4分の1です。
従来からある個別・集団指導のほか、インターネットを活用した指導など様々な指導方法を取る学習塾が増えています。
インターネットを活用した指導を行う塾でよく利用されるのが映像指導やeラーニングです。
映像指導とはあらかじめ録画された講義の動画を視聴して授業を受けるという講義形式です。
eラーニングはインターネットを活用した学習を指します。
講義の動画を塾のパソコンのほか、自宅のパソコンやスマホなどでも視聴できる教材を配信する学習塾が増えています。
新しい指導方法ですが、大学受験生向けの大手予備校などで広まっているようです。
映像授業・eラーニングを用いた指導の大きなメリットは、生徒が繰り返し講義を受けられる点です。
一度で理解できなかった箇所を何回でも視聴することができます。
また、受講生全員が同じ内容の講義を受けられるため、教育の質が担保できます。
映像指導やeラーニングを活用している学習塾には、
等があります。
自立学習型
自立学習型の学習塾は、自分から勉強する姿勢や習慣を身に付けるための塾です。
最近、大手企業が自立学習型の学習塾を展開する動きが見られます。
自立学習型の学習塾の多くは、映像指導・eラーニング型の学習塾で使われるような、ITやAIを活用したデジタル教材を採用しています。
自立学習型の塾の指導者(講師)は教科指導よりも、校舎運営や進路相談等をおもに行います。
自立学習型のメリットは生徒それぞれが自分のペースで学習でき、勉強をイヤなものと感じづないよう工夫がなされている点です。
自立学習型の塾には、
等があります。
内容・目的別の塾の分類
受験合格のため、学校の定期テスト対策のためなど、生徒の通塾理由はさまざまです。
ここでは、教育の内容や通う目的別に
- 総合塾
- 専門塾
- 進学塾
- 補習塾
の4つを挙げて説明します。内容・目的はそれぞれ重複することが多いです。
総合塾
総合塾はすべての学年・目的に対応している学習塾です。
総合塾は進学と補習の両方の目的に対応した授業を開講し、小学生~高校生・高卒生まで幅広い学年に対応しています。
総合塾のメリットは入塾時から通塾理由が変わっても同じ塾内で対応できることです。
例えば、
- 学力が向上したため、難関学校の受験を考え始めた
- 受験を考えていたが推薦をもらったため、授業の補習程度で構わなくなった
などの理由で通塾目的が変わっても、総合塾なら同じ塾に通い続けることができます。
大手企業の展開する塾は総合塾であることが多いです。
例えば、集団指導型の学習塾で例に挙げた「河合塾」は、小学生~高卒生を対象に、さまざまな目的に対応しています。
専門塾
専門塾は、総合塾に相対する塾です。
例えば、
- 中学受験専門塾
- 学校補習専門塾
- 個別指導専門塾
のように、塾が提供する指導方法やカリキュラム等、特徴が決まっている塾を指します。
専門塾は大きく、
- 「学校(小中高大)受験+専門塾」
- 「科目(理数、英語等)+専門塾」
の2つに大別できます。
総合塾でなければ、いずれかの専門塾に当てはまっていると考えられます。
進学塾
進学塾は受験合格を目的とした、学校の授業以上の内容を学ぶ塾です。
比較的学力の高い生徒が多く、各塾独自の授業カリキュラムで学習進度は早いことが多いです。
補習塾
補習塾は学校で習った内容の復習を行う学習塾です。
学校の教科書に準拠した副教材や問題集を授業内で扱うことが多いです。
期末テストの時期になると、テスト対策のための授業やテストが行われることもあります。
地域密着型で運営している補習塾も多く、近くの学校の定期テストを保存しているなどの強みを持っている塾もあるようです。
規模別の塾の分類
約4万7,000の学習塾を経営組織別にみると、
- 会社:約35%(1万6,191事業所)
- 法人/団体/個人:約65%(3万543事業所)
となっており、学習塾を運営する組織は会社以外の方が多いことがわかります。
学習塾の運営元の企業規模別でも学習塾は分類できます。
規模が異なると、それぞれの塾の特徴にも違いが現れます。
ここでは、
- 大手塾・中堅塾
- 個人塾・小規模塾
に分類し、説明します。
大手塾・中堅塾
大手塾は全国的に展開しており、生徒が多い学習塾です。
中堅塾は後述する個人・小規模塾と大手塾の間に位置する学習塾です。
大手塾のほとんどは総合塾です。
生徒数が多く、学力別でクラス分けしていることが多いです。
大手塾では通常の授業のほかに模擬試験を実施することも多く、生徒は全国規模で自分の立ち位置を把握することができます。
個人塾・小規模塾
個人塾・小規模塾は1教室、もしくは数教室を展開する塾です。
学校のペースに合わせた補習塾が多く、定期テスト対策に特化した塾が多いです。
地元の学校情報を有しており、地元の学校への進学を考える学生等が通っています。
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塾と予備校の違い
予備校とは大学受験専門塾のことです。
高校生・高卒生を対象に大学受験合格に向けた指導を専門としています。
予備校の講義形式は集団指導または映像指導が多く、講義が淡々と行われます。
実績のある講師が授業を行い、入試におけるコツやテクニックなどを教えます。
予備校には各大学の入試に関する情報が豊富に揃っており、資料スペースから自由に閲覧できます。
予備校は大学受験合格を目的としているため、学校のテストの復習などは原則行われません。
塾と家庭教師の違い
家庭教師は、生徒の家庭に講師が訪問して1対1で指導を行う形式です。
家庭教師の場合、学習塾と異なり他の生徒が一切いないため、生徒は質問しやすいです。
まとめ
学習塾の形態やブランドは多種多様です。
分類方法の例として指導方法・内容・規模を取り上げ、この記事では説明してきました。
今後の学習塾業界の動向としては、IT技術やAIの浸透・活用が進むと予想されます。
塾の種類は今後ますます多岐にわたっていくことでしょう。
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