2016-05-05 2019-09-27
edX(エデックス)とは│マサチューセッツ工科大学とハーバード大学が共同で設立、2,000万人以上が学ぶMOOCs
現在、社会人や大学生の新たな学習方法として、MOOCs(ムークス)が注目されています。
MOOCs(ムークス)とは、世界中の名門大学や大企業を中心に、オンライン学習講座を提供している教育プラットフォームのことです。
この記事ではMOOCs(ムークス)の1つであり、普及の先駆けともなった「edX(エデックス)」について説明しています。
目次
edX(エデックス)とはハーバードとマサチューセッツ工科大学が共同で設立したMOOCs
edX(エデックス)は、2012年秋に、MIT(マサチューセッツ工科大学)とハーバード大学が共同で約6,000万ドルを出資して設立されたMOOCsです。
MOOCs(ムークス)とは、世界のトップと呼ばれる大学がオンライン学習講座を提供している教育プラットフォームです。
edX(エデックス)は非営利組織として設立され、プラットフォームのソースコードがオープンソースとして公開されています。
2019年9月現在、約120の大学・企業と提携し約2,800を超えるコースが提供されており、2,000万人以上の学習者がいます。
また、edX(エデックス)は、個人向け講座のほか、企業向けeラーニングコース「edX For Business」の提供を行っています。
ビジネス分野を中心に、Amazonやマイクロソフトといった企業の専門家の講座を受けることができます。
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edX(エデックス)が設立された背景
文部科学省発表の「諸外国におけるMOOCの取り組み状況」によると、edX(エデックス)が設立された背景にはMOOCs(ムークス)の広がりが関係しているようです。
MOOCs(ムークス)が世界的に普及したきっかけは、2011年秋にスタンフォード大学で3つのコースが試験的に提供されたこと言われています。
2012年春にUdacityとCourseraの2つのMOOCs(ムークス)が設立され、これに対抗する形でMITとハーバード大学が共同でedX(エデックス)を設立しました。
edX(エデックス)設立当初に試験的に配信されていた「Circuit and Electronics」のコースには15万人が登録し7,000人が修了しました。
これが、edX(エデックス)及びMOOCs(ムークス)への可能性に期待が高まるきっかけとなったようです。
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edX(エデックス)で取得できる修了証の種類
edX(エデックス)では、以下の5つの修了証が提供されています。これらの修了証は、海外の企業を中心に採用時に活用されています。
MicroMasters Program
MicroMastersは、大学院水準のいくつかの講座を1つにまとめられたプログラムのことです。ビジネスやIT関連のコースが多数を占めています。
すべての講座を修了し最終試験等に合格すると、MicroMasters Credentialが有料(約$1,000≒約10万円)で取得できます。
プログラムに参加する大学・大学院は、出願要件や単位認定基準として指定しており、正規の教育課程内で活用する動きが現れています。
各プログラムは平均5コースで構成され、修了までにかかる時間はプログラムによってばらつきがあります。
Professional Certificate
特定の職業分野で必要な知識・技能を習得できるプログラムです。
複数の講座を1つのプログラムにまとめている点では、MicroMasters Programと同じです。
Professional Certificateでは、マイクロソフトやIBMといった企業・非営利団体・政府機関も講座提供しており、キャリアアップに重点を置いたプログラム設計が行われています。
受講は有償で、価格はプログラムによって異なりますが、およそ$300~500≒約3~5万円で提供されています。
Online Master’s Degree
こちらは、edX(エデックス)で完全オンラインで修士号が取得できるプログラムです。
ジョージア工科大学やテキサス大学オースティン校など、多くの名門大学がこのプログラムに参加しています。
基本的にはキャンパスに通うよりも低い価格で取得することができます。
下記の取得できる学位の項で詳しく説明します。
Global Freshman Academy
Global Fresh Academyは、アリゾナ州立大学の講義同様の授業が受講できるプログラムです。
世界中のどこでもアリゾナ州立大学の講義が履修でき、コースを修了してから授業料を払うという仕組みです。
2019年現在は、英語と数学のコースが開講されています。
XSeries
XSeriesプログラムは、ビジネスやコンピューターサイエンスといった人気の高い分野の科目に関して、より深い知識を身に付けることを目的として作成されたプログラムです。
2019年現在、上記の分野のほかにも、電気工学や健康科学、物理学など、様々な大学の30以上のプログラムが提供されています。
費用はプログラムによって異なり、100~450ドル≒約1万~4万5,000円ほどで提供されています。
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edX(エデックス)で取得できる学位
edX(エデックス)では、MBAや会計士、IT分野などの以下の10の修士号が取得できます。
キャンパスに通学した際の授業と同じ講座が受けられるため、多くの学生に利用されています。
今後、これらの分野以外の医療や工学系の修士号の提供が見込まれています。
経営学修士課程(ボストン大学)
Master’s in Business Administration(Boston University)
ボストン大学のMBAでは、戦略マネジメントやプロジェクト管理、財務管理などを学びます。
また、それらに加えてデジタル変革やビジネスの社会的役割などの選択科目なども用意されています。
費用は$24,000(約240万円)で、期間は2~3年と想定されています。
コンピューターサイエンス修士課程(テキサス大学)
Master’s Degree in Computer Science(The University of Texas at Austin)
テキサス大学のコンピューターサイエンス修士課程では、離散数学やプログラミングの概要、データ構造などを学びます。
学生が広く概要を知るための基礎的な科目と、業界内で需要のある機械学習やデータセンターなどの選択科目が用意されています。
費用は$10,000(約100万円)で、期間は1.5~3年とされています。
サイバーセキュリティ学修士課程(ジョージア工科大学)
Master’s Degree in Cybersecurity(The Georgia Institute of Technology)
ジョージア工科大学のサイエンス学修士課程では、サイバー物理システムのリスクやソフトウェア等の脆弱性、サイバー犯罪などについて学びます。
費用は$9,920(約100万円)で、期間は2~3年間とされています。
マーケティング修士課程(カーティン大学)
Master’s Degree in Marketing(Curtin University)
カーティン大学のマーケティング修士課程では、市場のニーズやグローバルマーケティングに重点を置いて授業を提供しています。
また、同大学が提供しているMicroMastersプログラムで得た知識を活用し、マーケティングコミュニケーションやデジタルマーケティング、広報、マーケティングリサーチなどの授業を展開しています。
費用はAUD$25,850(約188万円)で、期間は1.5~3年間となっています。
SCM修士課程(アリゾナ州立大学)
Master’s Degree in Supply Chain Management(Arizona State University)
アリゾナ州立大学のサプライチェーンマネジメントの修士課程では、エンタープライズサプライチェーンや全体的な戦略決定におけるサプライチェーンマネージャーに関する知識を学びます。
費用は$19,080で、期間は約2~3年間となっています。
会計学修士課程(インディアナ大学)
Master’s Degree in Accounting(Indiana University)
インディアナ大学の会計学修士課程では、財務・管理会計や財務諸表分析、財務・税務計画などを中心に学びます。
会計学を学び、キャリアの幅を広げることを目的とする学生が多いようです。
費用は$21,000で、期間は21ヶ月~3年間が想定されています。
経営学・リーダーシップ修士課程(クイーンズランド大学)
Master’s Degree in Leadership : Service Innovation(The University of Queensland)
クイーンズランド大学のリーダーシップ修士課程では、ビジネスリーダーシップやイノベーション、顧客体験を中心に学ぶ教育課程です。
費用はAUD$25,500(約186万円)で、期間は2年間となっています。
ITマネジメント修士課程(インディアナ大学)
Master’s Degree in IT Management(Indiana University)
インディアナ大学のITマネジメント修士課程では、ITシステムの分析・設計・開発やビジネスとテクノロジーの結合などについて学びます。
ITリーダーや情報システムマネージャー、ITプロジェクトマネージャーを目指す方向けのプログラムです。
費用は$21,000(約210万円)で、期間は約21ヶ月~3年間となっています。
ビジネス分析修士課程(ジョージア工科大学)
Master’s Degree in Analytics(The Georgia Institute of Technology)
ビジネス分析修士課程では、分析ツールやビジネス分析、計算データ分析などを中心に学びます。
費用は$9,900(約100万円)で、期間は1~3年間となっています。
データサイエンス修士課程(カリフォルニア大学)
Master’s Degree in Data Science(The University of California, San Diego)
カリフォルニア大学のデータサイエンス修士課程では、データサイエンスの基礎と応用の両方を学ぶことができます。データの収集から準備、保存、分析、可視化までを学びます。
データサイエンティストを志す方向けのプログラムです。
費用は$15,000で、期間は約1~3年間となっています。
まとめ
- edX(エデックス)とはマサチューセッツ工科大学とハーバード大学が共同で約6,000万ドルを出資して設立されたMOOCs(ムークス)のこと
- ボストン大学やジョージア工科大学といった名門大学の修士学位を取得できる
edX(エデックス)は今後、Open edXによるオープンソースでのローカルMOOCプラットフォームとの連携や、非営利組織の特徴を活かして公的機関や企業とのネットワーク構築などに力を入れていくようです。
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