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2018-08-09 2024-10-25

就労支援とは、個人の状況に応じて就労を実現する援助をすること

この記事では、日本で行われている就労支援について、

  • 障害を持つ人
  • 経済的に厳しい状況にある人
  • 高齢者

という視点から、就労支援の種類やその内容、就労支援を行っている事業や団体についてまとめています。

この記事の監修者

Education Career 編集部

教育業界専門の転職エージェント「Education Career」の編集部です。年間で数百名の教育業界出身者の転職やキャリアの支援を行う転職エージェントとして、教育業界での転職活動やキャリアに役立つ記事を更新しています。

就労支援とは個人の状況に応じて就労を実現する援助をすること

「就労支援」とは、それぞれの状況に則して就労を実現できるように国が行う支援を指します。

就労困難者に対する支援という意味合いが強く、障害・疾患を持つ人、経済的な困窮に陥っている人、高齢者といった人が主な対象です。

就労支援では、支援対象者の自己実現を大切にしています。

収入を得ることだけが目的ではなく、就労をすることによって本人が社会とのつながりを持ち、生活や人生を豊かにする経験を持つことが重視されています。

次項以降では、

  1. 主に障害者に向けた就労支援
  2. 経済的な困窮に陥っている人に向けた就労支援
  3. 高齢者に向けた就労支援

の3つを紹介します。

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障害者を対象にした就労支援

障害を持つ人を対象にした就労支援は、大きく

  • 「就労移行支援事業」
  • 「就労継続支援A型事業」
  • 「就労継続支援B型事業」

の3つが挙げられます。

就労移行支援事業では一般企業への就職が可能な人、就労継続支援A型事業では雇用契約に基づく就労は可能ではあるものの一定の支援が必要な人、就労継続支援B型事業では雇用契約に基づく就労が難しい人が対象となります。

これらは、障害を持つ人の社会参加をサポートするために制定された「障害者総合支援法」という法律に基づいています。

就労移行支援事業

一般企業への就職を希望する65歳未満の障害者を対象にしており、彼らが就職するために必要なスキルを身に着けることを目的に支援を行います。

対象者

企業等への就労を希望する65歳未満の障害者で、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる人が支援の対象となります。

支援の内容

具体的な支援内容は、

  1. 生産活動、職場体験などの機会の提供や就労に必要な知識やスキルの訓練
  2. 求職活動に関する支援
  3. 就職後の職場への定着のための相談支援

が挙げられます。

生産活動、職場体験などの機会の提供や就労に必要な知識やスキルの訓練は、事業者での生産活動や企業内での職場体験などを通じて、基礎体力や集中力の向上をはじめ、マナー、挨拶、身なりの習得などを支援します。

求職活動に関する支援としては、利用者一人一人の適正に合った職場開拓を支援します。

就労移行支援事業が直接職場を提供することはできないので、ハローワークなどの関係機関と連携した求職活動への支援が行われます。

就職後の職場への定着のための相談支援は就職後の継続支援として、スタッフとの定期的な面談などが行われます。

利用期間

この支援事業の利用期間は原則2年とされています。

利用料金

就労移行支援を障害者が受ける場合の自己負担額は、前年度の世帯所得(本人と配偶者の所得の合計)に応じて変わります

  • 生活保護受給世帯の場合→0円
  • 低所得世帯(世帯所得が概ね300万円以下の世帯)の場合→0円
  • 一般1世帯(世帯所得が概ね600万円以下の世帯)の場合→9,300円
  • 一般2世帯(世帯所得が概ね600万円以上の世帯)の場合→37,200円

原則交通費は支給されません。一部の自治体では一定の基準を満たす場合には交通費の助成を行っている場合もあるようです。

報酬単価

障害者に対する就労支援を行っている事業所には「報酬単価」が支払われます。平成27年4月から、就労移行支援事業の報酬単価は711単位(1単位は約10円)となっています。

事業所数・利用者数

厚生労働省の「障害福祉サービス等事業所・障害児通所支援等事業所の状況」によると、平成29年度は全国で3,471の事業所が就労移行支援事業を行っています。

平成26年度は2,858事業所、平成27年度は3,146事業所、平成28年度は3,323事業所となっており、年々事業所数が増えていることがわかります。

また、平成29年度の就労移行支援サービス利用者は33,179人です。

就労継続支援A型事業

就労継続支援では一般企業への就職が不安、あるいは困難な障害者を対象に、彼らに就労の機会を提供したり知識やスキルの向上のために必要な訓練を行います。

A型事業の対象となるのは、65歳未満で雇用契約に基づいた勤務が可能なものの、一般企業への就職が難しい人です。

労働者として雇用契約を結んで一定の支援がある職場で働きながら、同時に訓練も受け、一般企業への就職ができるような支援も行われます。

対象者

就労継続支援A型事業の対象者は、以下の通りです。

  1. 一般企業への就職が不安、または困難な人
  2. 就労移行支援サービスや特別支援学校での就職活動を経たが、雇用に結びつかなかった人
  3. 雇用契約に基づいた勤務が可能な人

就労移行支援よりも一定程度の支援が必要な人が対象となっています。

支援の内容

就労継続支援A型事業の支援内容は、以下の通りです。

  1. 雇用契約を結ぶことによって就労の機会や生産活動の機会を提供する
  2. 就労に必要な知識やスキルの訓練し、一般就労への移行に向けた支援を行う
  3. その他必要な支援

就労継続支援A型事業所での勤務内容は、基本的には一般就労と変わりません。

異なる点としては、一般就労に比べて比較的就労時間が短く(1日4~8時間)、給料が安いケースが多いことです。

具体的な仕事内容としては、

  • カフェやレストランのホールスタッフ
  • パソコンによるデータ入力代行
  • ご当地ストラップなどのパッキング
  • インターネットオークション作業代行
  • 車部品などの加工

等があります。

利用期間

利用期間に制限はありません。

ただし、就労継続支援A型事業では利用者が事業所と雇用契約を行い、それが有期雇用であった場合は契約更新の有無によって利用期間も変わります

利用料金

  • 生活保護受給世帯の場合→0円
  • 低所得世帯(世帯所得が概ね300万円以下の世帯)の場合→0円
  • 一般1世帯(世帯所得が概ね600万円以下の世帯)の場合→9,300円
  • 一般2世帯(世帯所得が概ね600万円以上の世帯)の場合→37,200円

このように前年度の収入によっては利用料を支払う必要があります。

工賃(賃金)

最低賃金額以上の給料は保証されています。

厚生労働省の「障害者の就労支援対策の状況」によると、平成29年度の月額平均賃金は74,085円で、時間額は818円です。

平成28年度の月額平均賃金は7,0720円で時間額は795円でした。

報酬単価

障害者に対する就労支援を行っている事業所には「報酬単価」が支払われます。

平成27年4月から、就労継続支援A型事業の報酬単価は519単位/日(1単位は約10円)です。

事業所数・利用者数

厚生労働省の「障害福祉サービス等事業所・障害児通所支援等事業所の状況」によると、平成29年度は全国で3,776の事業所が就労継続支援A型事業を行っています

平成26年は2,382事業所、平成27年は3,018事業所、平成28年は3,455事業所で、年々事業所数が増えていることがわかります。

また、平成29年度の就労継続支援A型サービスの利用者は70,684人です。

就労継続支援B型事業

就労継続支援B型事業では、事業所と雇用契約は結ばびません。

一般企業への就職が難しく、さらに雇用契約に基づいた勤務も難しい人が対象となります。

対象者

就労継続支援B型事業の対象者は、以下の通りです。

  1. 就労経験はあるが、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが難しい人
  2. 就労移行支援事業者によるアセスメントから就労に関して課題があるとみなされた人(雇用契約に基づいた勤務が難しいと判断された人)

このように、就労継続支援B型事業は上記の就労移行支援・就労継続支援A型事業よりも多くの支援が必要な人を対象としています。

支援の内容

就労継続支援B型事業の支援内容は、以下の通りです。

  1. 通所により、雇用契約は結ばずに就労や生産活動の機会を提供する
  2. 就労に必要な知識やスキルの訓練
  3. その他必要な支援

就労継続支援B型の特徴として、比較的自由な働き方が認められていることが挙げられます。

1日1時間の勤務や週1日の利用も可能です。

一般就労や就労継続支援A型の雇用型勤務に移る前に、就労に慣れるためにB型事業所を利用することも可能です。

具体的な作業内容の一例としては、

  • 農作業
  • 名入れ刺繍などの手工芸
  • 喫茶店での調理
  • パンやクッキーなどの製菓
  • 衣類のクリーニング
  • WEBサイト作成

などが挙げられます。

利用期間

利用期間に制限はありません。

利用料金

就労継続支援B型の利用料は、事業所に通所する日数と世帯所得(本人と配偶者)の状況によって変わります。

通所日数が多いほど利用料金も高くなりますが、世帯所得による月額の負担上限が決められています。

  • 生活保護受給世帯の場合→0円
  • 低所得世帯(世帯所得が概ね300万円以下の世帯)の場合→0円
  • 一般1世帯(世帯所得が概ね600万円以下の世帯)の場合→9,300円
  • 一般2世帯(世帯所得が概ね600万円以上の世帯)の場合→37,200円

工賃(賃金)

就労継続支援B型事業では雇用契約を結ばないため、法律で定められた最低賃金額にはよらずそれを下回ることが多くなります。

厚生労働省の「障害者の就労支援対策の状況」によると、平成29年度の月額平均賃金は15,603円で、時間額は205円と最低賃金額よりかなり低くなっています。

平成28年度の月額平均賃金は15,295円で時間額では199円です。

報酬単価

障害者に対する就労支援を行っている事業所には「報酬単価」が支払われます。

平成27年4月から、就労継続支援B型事業の報酬単価は519単位/日(1単位は約10円)となっています。

事業所数・利用者数

厚生労働省の「障害福祉サービス等事業所・障害児通所支援等事業所の状況」によると、平成29年度は全国で11,041の事業所が就労継続支援B型事業を行っています。

平成26年は8,722事業所、平成27年は9,431事業所、平成28年は10,214事業所で、年々事業所数が増えていることがわかります。

また、平成29年度の就労継続支援B型サービスの利用者は258,357人となっています。

就労移行支援、就労継続支援A型事業、就労継続支援B型事業の違い

就労移行支援、就労継続支援A型事業、就労継続支援B型事業の違いをまとめた表が以下になります。

就労移行支援 就労継続支援A型 就労継続支援B型
目的 就職するために必要なスキルを身に着ける 働く場を提供し、就労移行支援につなげる 働く場を提供し、就労継続支援A型につなげる
対象者 一般企業への就職を希望する人 一般企業への就職が困難だが、雇用に基づいた勤務が可能な人 一般企業への就職が困難であり、雇用に基づいた勤務も難しい人
雇用契約 なし あり なし
工賃(賃金) 基本なし あり あり
利用期間 原則2年以内 なし なし

就労支援の場

障害者に対する就労支援対策は様々に行われています。

ここからは、就労支援の利用希望者が実際に相談しに行くことができる代表的な支援機関を紹介します。

ハローワーク(公共職業安定所)

ハローワークは通称であり、正式名称は「公共職業安定所」と言います。

就職を希望する障害者の求職情報を登録し、専門職員や職業相談員が一人一人の障害の種類や程度に応じたきめ細かな職業相談、紹介、職場定着指導を行います。

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターでは、障害者に対して、職業評価、職業指導、職業準備訓練、職場適応援助などの専門的な職業リハビリテーションを行います。

事業主に対して、雇用に関する助言も行います。

全国47都道府県(ほか支部5か所)に設置されています。

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターでは障害者の身近な地域において、雇用、保険福祉、教育などの関係機関が連携するための拠点として機能しており、就業面および生活面における一体的な相談支援を行っています。

障害者の雇用を考える際には、就業面での支援と生活面での支援に大きく分かれますが、これらの支援が分離せず一体的に行われるために、関係機関をつなげる拠点としてこのセンターが設置されています。

在宅就業支援団体

在宅就業支援団体は自宅で就業する障害者に対する支援を行います。

このような在宅就業障害者に仕事を発注する企業から仕事を集め、それらを障害者に提供して仕事に対する対価を支払います。

また、仕事の提供と同様に在宅就業障害者に対する支援も行います。在宅就業支援団体は厚生労働大臣に申請し、登録を受けた法人団体です。

地域活動支援センター

地域活動支援センターは、国の「地域生活支援事業」の1つに位置付けられている施策で、障害のある人に創作的活動・生産活動・社会との交流の機会を提供している機関です。

地域活動支援センターの多くは、それまで「小規模作業所」と言われたものが前身となっています。

小規模作業所とは障害者自立支援法が制定される前に、就労機会に恵まれなかった障害者などに社会と交流する場を提供していた民間事業所です。

障害者支援に関する制度が新しくなったいま、地域活動センターとして自治体の支援を受けられる事業に引き継がれています。

地域生活支援事業の中にも様々な区分があり、センターによって行っている支援内容も様々です。

一般的には、就労への支援よりも地域の中で障害を持った人に、社会とつながるための居場所を提供することを目的としているセンターが多いようです。

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経済的困窮に陥っている人を対象にした就労支援

平成25(2013)年に生活困窮者自立支援法が制定され、経済的に困窮し最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある人に対する支援制度が始まりました。

制度化の背景にはバブル崩壊後の景気低迷により非正規雇用者が増加していたなか、2008年のリーマンショック、そして2011年の東日本大震災を契機に、経済的な困窮状態に陥り生活保護を受給する人が急増したことが挙げられます。

生活保護の受給者の増加は国家財政を圧迫するため、受給対象者を減らすために生活保護受給者、生活保護を受給するおそれのある人に対する支援が始まりました。

この生活困窮者自立支援制度は家賃の補助や子どもに対する学習支援など幅広く支援しています。

その中の就労支援に関する事業は、大きく3つに分けられます。

  1. 生活に不安や困りごとを抱えてる人への最初の相談窓口となる「自立相談支援事業
  2. すぐには一般就労が困難な人に対する「就労準備支援事業
  3. 就労準備支援事業でも就労が困難な人に対する「就労訓練事業

です。

ここでは、従来から生活困窮者が一般的に利用してきたハローワーク(公共職業安定所)での就労支援に加えて、この3つの事業について紹介します。

ハローワークの一般窓口

ハローワークとは、民間の職業紹介などでは就職が難しい人に向けて、無料で職業紹介や就労支援サービスを行う職業紹介所です。

職業安定法に基づき厚生労働省が設置・運営している機関で、地域の中で就労支援の中心的役割を担っています。ハローワークとは通称で、正式には「公共職業安定所」といいます。

経済的困窮者の中で自主的な求職活動により就労が可能な場合は、ハローワークの一般窓口を利用します。

自立相談支援事業

自立相談支援事業は、生活困窮者自立支援制度の対象になる全ての人が関わる制度の入り口となる事業です。

まず相談支援員が対象者と面談しながら抱えている課題を把握し、必要な支援の計画を立てて関係機関とつなげるパイプ役となります。

相談者1人1人に個別で対応しながら、関係機関や地域の連携を促進する役割を担います。

対象者

自立相談支援事業は、経済的な困窮に陥るおそれのある人を対象としています。

経済的な困窮に陥る要因は人によって様々なため、なるべく対象者を限定せずに広くとらえる必要性が指摘されています。

具体的には、生活保護ボーダー層と言われる、貧困を抱えながら生活保護の要件を満たすことのできない人々や、ホームレス、ニート・引きこもり、障害者手帳は持っていないものの発達障害等の疑いがある人などが挙げられます。

支援の内容

支援の内容は大きく、

  1. 相談支援業務(個人へのかかわり)
  2. 地域づくり・地域連携業務(地域社会に対する働きかけ)

に分けられます。

相談支援業務(個人へのかかわり)では、生活困窮者の相談に応じ、アセスメントを実施して個々人の状態にあった支援計画を作成し、必要なサービスの提供につなげます。

支援過程においてサービスが適切に提供されているかを支援計画と照らし合わせてモニタリングしていきます。

生活困窮者に対する就労支援は、相談者のアセスメントの結果以下のように5段階に分類されます。

  1. 自主的な就労に向けた求職活動が問題なく可能な場合→ハローワークの「一般相談窓口」
  2. 就労に向けた準備は整っているが、個別の支援が必要な場合→ハローワークの「生活保護受給者等就労自立促進事業」
  3. 就労に向けた準備は不足しているが、個別支援を行うことですぐに就労が見込まれる場合→「自立相談支援事業」の就労支援
  4. 生活リズムが崩れているなど就労に向けた準備が整っていない場合→「就労準備支援事業」
  5. 就労には柔軟な働き方が必要な場合→「就労訓練事業」

このように、ある程度就労準備が出来ている人に対してはハローワーク(公共職業安定所)と連携した支援を、就労準備に支援が必要な人に対しては就労準備支援事業・就労訓練事業での支援を行っています。

地域づくり・地域連携業務(地域社会に対する働きかけ)では、関係機関とのネットワークづくりと地域に不足する社会資源の開発に取り組んでいます。

生活困窮者の支援には、法の定める事業以外の各種制度、サービスも活用して地域全体で包括的な支援をすることが重要であるとされています。

自立相談支援機関は、地域包括的な支援を提供するために関係機関と連携しながら、支援の中核的な役割を担うことが期待されています。

利用期間・利用料金など

利用期間は原則6か月と定められています。

一方で、支援期間中に就労に至らなかった場合に行われた支援に対して積極的に取り組んでおり、引き続き支援を実施することにより就業の可能性が高いと判断された場合には支援期間をさらに3か月延長することができます。

利用料金はかかりません。

事業所数(機関の設置場所)

自立相談支援事業は、福祉事務所を設置する自治体は必ず実施しなければならない必須事業として位置付けられています。

自立相談支援機関は生活困窮者が訪れやすく、連携の強い機関と連絡相談がしやすい場所に設置されます。

具体的には、

  • 役所・役場内
  • 福祉・雇用に関係する機関が入居する公的施設内
  • 人通りの多い商業地区の施設内

などです。

自立相談支援機関は民間法人への委託も可能なため、委託先の法人施設に設置されることもあります。

関係機関との連携

自立相談支援機関に相談に来る生活困窮者の中には生活保護の適用が必要な人もいるため、その場合は福祉事務所と連携しながら生活保護につなぐことが必要になります。また、生活保護から脱却した人が自立相談支援機関を利用する場合も考えられるため、福祉事務所との連携は非常に重視されています。

一般就労が可能な人には、ハローワークと連携した就労支援を行います。

一般就労に向けた求職活動が問題なく可能な場合は「一般相談窓口」に、就労にむけた準備は一定程度整っているものの個別の支援が必要と見込まれる場合は「生活保護受給者等就労自立促進事業」に誘導するなど、相談者の状況に合わせた支援を提供します。

支援開始後もハローワークと自立相談支援機関で連絡を取り合いながらチーム支援を展開していきます。

地域若者サポートステーションでは、15歳から39歳までの、就労意欲を一定程度持ちつつも一人で求職活動を行えないニートなどの若年無業者を対象に職業的自立を支援しています。

経済的に困窮している若者に対してはこのような機関と連携しながら就労支援を行っていきます。

就労継続支援事業A型・B型など障害者福祉に関する制度につなぐことも必要です。発達障害者については発達障害者支援センターとの連携が重要になります。

他にも、

  • 相談者が高齢の場合は地域包括支援センターや居宅介護支援事業所等との連携
  • 何らかの健康に関する問題を持っている場合は医療機関や保健所などとの連携
  • 多重債務などの問題を欠けている場合は弁護士、司法書士

などとの連携が必要になります。

就労準備支援事業

就労準備支援事業は、一般就労が難しい人に対して就労に向けた準備を支援する事業です。

生活困窮者に対する就労支援では、状況に応じた様々な支援プログラムを用意した上で、相談者が段階的にステップアップしていくことが重視されています。

この事業は自治体での設置が任意ではありますが、包括的な就労支援のために積極的な実施が求められています。

対象者

直ちに一般就労への移行が困難な人を対象にしています。

例えば、

  • 生活リズムが崩れている人
  • 社会とのかかわりに不安を抱えている人
  • 就労意欲が低下している人

などです。

長年ひきこもりの生活を送っている人や、リストラを受けその後の就職活動がうまくいかずに就労意欲が低下している人などがこの事業の支援を受けています。

支援内容

①就労準備支援プログラムの作成

利用者の課題や支援の目標、具体的内容を文書化して利用者と担当者間で共有します。

②日常生活自立・社会生活自立・就労自立に関する支援

利用者の自尊感情や自己有用感の回復を図りながら、本人の就労意欲を引き出しながら支援を行います。

  • 日常生活自立:うがい・手洗いや規則正しい生活習慣、バランスの取れた食事などに関する助言・指導など
  • 社会生活自立:挨拶や基本的なコミュニケーション能力の育成といった支援や、地域の職場見学やボランティア活動など
  • 就労自立:飲食店などでの就労体験や、ビジネスマナー講習、キャリア・コンサルティング、模擬面接、履歴書の作成指導など

③就職活動の支援

基本的には自立相談支援機関で実施することになりますが、就労準備支援事業でも必要に応じて自立相談支援事業と連携しながら行うことができます。

利用期間

利用期間は最長で1年間です。

就職にともない事業の利用を終了した人が再度この事業を利用することは原則としてできません。

工賃(賃金)の支払い

就労体験において、最低賃金法の適用がない場合であっても、行った作業に対し工賃や報奨金といった形で一定金額を支払うことが求められています。

事業所数

就労準備支援事業は任意の事業であり、厚生労働省の「平成30年度 生活困窮者自立支援制度の実施状況調査集計結果」によると、平成30年度は453の自治体が事業を実施しており、全国の実施割合は48%です。

実施状況の推移を見ると、平成29年度は391自治体(全国の実施割合:43%)、平成28年度は353自治体(全国の実施割合:39%)が実施しており、年々実施する自治体は増えていることがわかります。

就労準備支援事業は、自治体が直接運営することも、民間法人などへの委託運営することも可能です。

現在は約9割の自治体が委託により実施しています。委託先はNPO法人が最も多く(30.3%)次いで社会福祉協議会(27.8%)です。

関係機関との連携

自立相談支援機関のアセスメント段階から積極的に関与することが求められます。

支援期間中は支援の実施状況や利用者の状態の変化などについて定期的に情報共有することが求められます。

一般就労に向けた準備がある程度整った場合、ハローワークへの同行支援等を行うことも考えられます。

利用者が就労準備支援事業を利用しても一般就労に結びつかなかった場合は、就労訓練事業など他の事業を利用する場合があります。

就労訓練事業

就労訓練事業では、就労準備支援事業での一般就労への移行が難しい人を対象に、各々の状況に応じた就労の機会を提供しながら一般就労に向けた支援を中長期的に行います。

利用者は雇用契約を結んだうえで支援付きの就労を行う雇用型の形態か、雇用契約を結ばずに就労を体験する非雇用型の形態のいずれかで就労を行います。

どちらの場合にも、本人の状況に合わせてステップアップを行い、最終的には一般就労につなげることを目標にしています。

社会福祉法人、NPO法人、民間企業等の自主事業として実施されていますが、労働力の不当な搾取(いわゆる貧困ビジネス)とならないようその事業内容が適切であるか都道府県知事等の認定を受ける必要があります。

対象者

すぐには一般企業等で働くことが難しく、就労準備支援事業を利用しても一般就労に移行できない人が対象です。

具体的には、

  • 長期離職者
  • ニート・ひきこもり
  • 身体障害者とは認められないものの心身に課題があったり精神疾患を抱える人

などです。

就労訓練事業の対象者に該当するかどうか、また該当した場合には雇用型・非雇用型のどちらで利用するかは受け入れ事業所や本人の意向を踏まえた上で、自立相談支援機関のアセスメントに基づき判断され、最終的には行政により決定されます。

支援の内容

非雇用型の場合は、利用者の訓練計画に基づき、事業主の監督を受けない軽作業などを行います。

雇用型の場合は、雇用契約に基づき、比較的経緯な作業を行います。

労働時間を短縮したり体調不良による欠勤について柔軟な対応を行ったりと就労条件における一定の配慮も行われます。

非雇用型・雇用型ともに就労支援プログラムの策定と、必要に応じた身だしなみや健康管理に関する指導、ビジネスマナー、コミュニケーションに関する支援も行われます。

なるべく非雇用型から雇用型へ、そして一般就労へとステップアップできることを目指して支援が行われます。

利用期間

特に期限はありません。

就労支援プログラムは3~6か月の期間で設定され、定期的にプログラムの見直し・更新が行われます。

工賃(賃金)

雇用型の利用者に対しては、他の一般労働者と同様の労働基準に関する法律に基づいて賃金が支払われます。

非雇用型の利用者に対しても、工賃や報奨金の形で一定金額を支払うことが本人の意欲向上にとっても重要と考えられています。

事業所数

厚生労働省の「認定就労訓練事業所の認定状況」によると、平成31年3月時点での認定された就労訓練事業所数は全国で1,679件、利用者数は4,208名です。

平成30年3月時点では事業所数1,409件・利用者数3,561名、平成29年3月時点では事業所数933件・利用者数2,621名です。

関係機関との連携

自立相談支援機関、就労準備支援機関、ハローワークなどの関係者との連絡、情報交換が求められています。

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高齢者を対象にした就労支援

少子高齢化が進み労働力不足が心配される中で、働く意欲や能力・経験のある高齢者が年齢に関わりなく働くことができるよう様々な取り組みが行われています。

高齢者雇用に関する法制度

高齢者の雇用に関しては、平成25年に「高年齢者雇用安定法」が一部改訂され施行されました。

この改訂で、60歳の定年後も勤務を希望する人は、企業は雇用することを義務付けました。

この制度と合わせて国は高齢者雇用に関する様々な施策をとっており、施策は大きく

  1. 「高齢者を積極的に採用するように企業や社会に働きかける動き」
  2. 「高齢者に対する就労の相談援助の動き」

という2つに分類できます。

企業・社会側への施策

高年齢者が意欲と能力がある限り年齢にかかわりなく働くことができる企業の拡大に向け、雇用環境の整備に取り組む企業への支援を充実させています。

65歳超雇用推進助成金の支給

定年を65歳以上に引き上げた事業主や、高年齢者を雇用するための環境整備(賃金や退職金に関する取り決めの見直しなど)をした事業主、高年齢労働者を有期契約から無期雇用に転換した事業主などに対して、国が助成金を支給します。

65歳超雇用推進プランナー等による企業への相談・援助

これまでは定年を迎えた労働者が退職することを前提に、企業では人事や賃金の仕組みを決めていました。

65歳を超えた労働者を雇用するということはこのような前提を見直すことになり、企業にとっての負担も少なくありません。

そのため専門的・実務的能力をもつ「65歳超雇用推進プランナー・高年齢者雇用アドバイザー」が企業の実情に則して環境整備を支援しています。

特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)

65歳以上の離職者をハローワーク等の紹介から1年以上雇用することにした企業に対して、国が助成金を支給します。

生涯現役促進地域連携事業

企業側、労働者側、その他関係機関が参加する「協議会」を地方自治体が中心となって構成し、地域の高年齢者の就労を促進するような構想を事業主から募集します。

その中から最も創意工夫のある構想を選定してそれを支援する制度です。

このように、高年齢者を積極的に雇う企業に対する支援や、地域で高年齢者の就労を活発化させようとする取り組みが行われています。

高齢者への就労支援の種類

就業を希望する高年齢者に対しては、以下のような支援が行われています。

ハローワークにおける就労支援

全国240カ所のハローワークに「生涯現役支援窓口」を設け、再就職を目指すおおむね60歳以上の人を対象に様々なサービスを提供しています。

具体的には、シニア世代の採用に意欲的な企業の求人情報を提供したり、履歴書・職務経歴書の書き方や面接の受け方といった求職活動の方法などのガイダンスを実施しています。

職場見学や職場体験、技能習得のための各種講習に関する情報も提供しています。

高年齢退職予定者キャリア人材バンク事業の実施

公益財団法人産業雇用安定センターにおいて、高年齢者で66歳以降も働くことを希望する人のキャリア情報等を登録し、その能力や経験を活用したいと希望する事業者に紹介しています。

仕組みは、60歳を超えた就業者が雇用期間の満了後も再就職を希望する際にはキャリア・能力・就業希望情報などを現在の事業主経由でキャリア人材バンクに登録します。そこから、センターが人材を募集する事業主に登録者を超開始、マッチングを行うというものです。

バンクへの登録は事業主を通した登録が主になっていますが、都道府県によっては個人での登録も可能な場合があります。

個人での登録は、

  • 登録者が60歳以上65歳以下であること
  • 在職中か離職後1年以内であること

が条件です。

シルバー人材センター事業の推進

シルバー人材センターは定年退職者などの高年齢者に、ライフスタイルに合わせた「臨時的かつ短期的、またはその他の軽易な業務」を提供します。

高年齢者が収入を得ることを目的としているのではなく、働くことによる生きがいを得ることを重視しています。

センターは原則として市(区)町村単位に置かれており、基本的に都道府県知事の指定を受けた公益法人です。

具体的な仕組みとしては、センターが地域の家庭や企業、公共団体などから仕事を請け負い、会員として登録した高年齢者の中から適任者を選んでその仕事を任せるというものです。

会員には仕事の実績に応じて報酬が「配分金」として支払われます。

仕事の完成は契約主体であるセンターが負い、会員・仕事の依頼者・シルバー人材センターの間には雇用関係はありません。

シルバー人材センターは、高齢者が生きがいを得ると同時に、様々な社会参加を通じて地域社会の福祉向上や活性化にも貢献することを目指しています。

高齢者スキルアップ・就職促進事業の実施

55歳以上の就職を希望する高齢者の再就職、雇用の実現を支援することを目的とした国の事業です。

就職に役立つ基本的な知識・技能を短時間で習得する「技能講習」と受講者ニーズに合った求人開拓やハローワークと連携した面接会を開いて「就職支援」を行っています。

職場見学会や職場体験会を実施して高齢者の仕事理解が深まる取り組みも行っています。

就労支援機器情報

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、勤務に支障のある人に対して就労を支援するための機器を事業主や事業主団体に対し一定期間無料で貸出しています。

障害の種類に応じて必要な支援機器を貸出できるようになっています。

このように、定年後も働きたいという意欲をもつ高齢者が、そのニーズにあった働き口を見つけやすくするための支援が、情報提供やスキルアップの場の提供といった形で行われています。

▶教員免許の履歴書の書き方!転職活動時にはどう記載すればよい?

就労支援を行う企業・団体

ここまで、国が行う就労支援を解説してきました。就労が困難な理由は様々であり、個人に合わせた支援を様々な形で実施しています。

就労支援事業は国だけでなく、企業や団体も行っています。

ここでは、就労支援を行う企業・団体のうち、

  • aloha
  • ウェルビー
  • ホープワールドワイド・ジャパン
  • チャレンジドジャパン

を紹介します。

aloha

alohaは『knowbe』というシステムで就労支援事業を行っています。

knowbeは、就労系障害福祉サービスに通所する利用者が、施設に通いながら学ぶことができる『就労支援オンライン学習プログラム』です。

「将来就労したいが、就労に向けて何をしたらいいか分からない」という声と、「就労に向けたサポートをしたいけど、ノウハウが少ない。時間が割けていない。」という事業者、双方の課題を解決するために生まれました。

knowbeの特長は、一人ひとりのペースに合わせて学べる、利用者・職員の双方に進捗が分かりフィードバックが生まれる機能があることです。

そのため、利用者は通所しながら無理なく継続的に学べ、少しずつ成功体験を重ねることで自信がつき、活動意欲が生まれることが望めます。

導入施設においては職員の負担が減り本来の支援業務に注力しながら、利用者の就労・通所意欲を高めることにつながります。

ウェルビー

  1. ビジネススキルの習得サポート
  2. 生活トータルサポート
  3. 就職活動サポート
  4. 就職後のサポート

ウェルビーの就労移行支援サービスは、これら4種類を提供しています。

通常のオフィスを再現したセンターで実習を行い、ビジネススキルを身につけるサポートを行っています。

利用者には担当職員が専任で付き、体調やスキルに合わせた個別支援計画を作成します。

就職活動サポートでは、面接の練習や履歴書等の書き方などを学びます。

就職が決まった後も長く仕事が続けられるように、スタッフが企業と障害のある方の間に立って、企業・就職者双方の不安解消に努めているようです。

ホープワールドワイド・ジャパン

ホープワールドワイド・ジャパンは、1999年6月に東京都から特定非営利活動法人(NPO)として認められたボランティア活動団体です。

NPO法人日本園芸療法士協会と共同で、渋谷にホープ就労支援センターを開設しました。

2013年に渋谷区唯一の就労支援A型の施設として開設し、2016年にB型の事業所も開設しています。

「働く人が幸せ、お客様が幸せ、社会が幸せ」が施設の理念です。

渋谷まる福(A型事業所)では、手作りのパンや焼き菓子の製造・販売を、アトリエ福花(B型事業所)では、縫製作業やアート作品の制作などを行っています。

チャレンジドジャパン

チャレンジドジャパンは、就労支援センター「ひゅーまにあ」を運営しています。

ひゅーまにあは「自分を知る」「自分を伸ばす」「環境を理解する」の3つを軸に運営されています。

職業訓練や就労準備セミナーや職場見学など、一般的な支援事業が行われています。

特徴的な取り組み例としては、マインドマップを利用して自分の思考を整理したり、オフィスヨガや園芸プログラムを利用してストレス解消を促したりしています。

▶教育業界で土日休み・日中勤務の仕事に転職!

まとめ

この記事では、日本で行われている就労支援について、

  • 障害を持つ人
  • 経済的に厳しい状況にある人
  • 高齢者

の3つの立場から紹介しました。

これらの人々は、仕事を見つける際に一般的に考えられるよりも多くの支援が必要となる人たちです。

しかし、仕事というのは生きるための収入を得るためだけが目的なのではなく、人々が社会に貢献していることを実感できるための活動であり、生きがいであるともいえます。

就労が困難な人に対してもこのような生きがいを持つ権利があるという考えの下、様々な施策が取られています。

▶教師の転職が難しい理由は?転職するためのコツ

参考:発達障害者の就労支援10選 3タイプに分けて解説

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この記事の監修者

Education Career 編集部

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