2021-02-17 2023-12-12
SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは?受けられる場所・方法・内容
対人関係の課題を解消する方法として「SST(ソーシャルスキルトレーニング)」が注目されています。
精神疾患や発達障害のある人だけでなく、職場での適切な振る舞いを学ぶ社会人向けプログラムもあり、学校、病院、就労支援センターなどで実施されています。
この記事の監修者
Education Career 編集部
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SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは
ソーシャルスキルトレーニング(Social Skills Training)はソーシャルスキルを鍛える訓練のことを指し、頭文字をとってSSTともいいます。
ソーシャルスキルとは?
ソーシャルスキルは、社会の中でさまざまな人と良好な関係を築き、協力して仕事をしたり、自分も相手も心地よい距離感を保つために必要なスキルです。
ある場面に遭遇したとき、自分がその状況をどのように感じるか、またどのように振る舞うかといった、判断や行動のパターンのようなものです。
▶ソーシャルスキルとは?種類と定義 対人課題を解決するヒント
SSTで支援できること
SST(ソーシャルスキルトレーニング)では、その人が暮らす社会や文化の中で「常識」あるいは「良い」とされている行動パターンを学習します。
ソーシャルスキルを踏まえた振る舞いは、直接的に教えられる機会がほとんどありません。
成長過程で自然と身につける人も多いですが、適切な振る舞いが分からず困ってしまう人や、不適切な行動をとって相手を怒らせてしまう人もいます。
他者とうまく関係を築くことや、仕事や家事を順序だてて効率よく行うことが難しい場合、ソーシャルスキルを鍛えることで生活上の困りごとを減らせる場合があります。
SSTが生かされる場面
たとえば部屋に自分と相手がいて、自分が部屋の電気のスイッチに近い場所にいるとき、「この部屋は暗いね」と言われれたとします。
ここでは「そうだね、暗いね」と返事をするだけでなく、スイッチを押して明かりをつけることが自然で適切な振る舞いだといえます。
相手は「電気をつけて明るくしてほしい」と思っていると考えられるためです。
ほかにも、「コミュニケーションが上手」と言われる人は、飲み会に誘われても相手を怒らせたり傷つけたりすることなく上手に断ったり、早めに切り上げて帰ったりできるでしょう。
こうした振る舞いを学習するのがSSTです。
発達障害者対象のSST
近年、発達障害がある子ども・大人へのSSTが、学校教育や就労支援の場においてさかんに行われています。
発達障害があると、他者と関係を築いたり、効率よく課題をこなしたりすることが苦手な場合があります。
そこでSSTを通じて振る舞いを学び、就学や就職に生かそうというものです。
たとえば、「友だちと一緒に遊びたいとき」「同僚と意見が違ったとき」など、本人が困っていることを中心に具体的な場面を設定し、どのように行動するか、その行動をとると相手はどのような反応をすると予想できるかを学びます。
また発達障害者向けの就労支援プログラムでは、次のような技能を身に着けるトレーニングを行います。
- 挨拶や返事など職場でのコミュニケーション
- 適切な身だしなみ
- 困ったときに援助を求める問題解決技能
- 不安や混乱の元となる事柄に対処するリラクゼーション技能
SSTの方法

SSTには、個別に行うものと、グループや学級などの集団に適用するものがあります。
具体的には次のような方法がとられています。
- ロールプレイ
- ゲーム・遊び
- ディスカッション
ロールプレイ
ロールプレイでは、特定の場面を設定しどんな行動をとればよいかを本人や参加者が役割を交替しながら演じてみます。
自分で演じたり、演じている人の行動を見たりすることで、具体的な振る舞いを学んでいきます。
ゲーム・遊び
ゲームや遊びには、ルールを共有したり仲間と協力したりといったさまざまな社会的関わりが含まれています。
このような場面を通してSSTを行うことで、参加者が楽しみながら自発的にソーシャルスキルを学ぶことができる効果が期待されます。
ディスカッション
ディスカッション、つまり話し合いでは、1つのテーマについて複数人で話し合うことを通じて適切な振る舞いを学びます。
また、問題を抱えた個人の側だけを変えようとするのではなく、環境を調整するという点でも、ディスカッションは有効だと考えられます。
本人や周囲の人が専門家を交えて、必要な支援に関する知識やスキルを伝え合う「ピアサポート活動」によって、参加者はお互いに理解を深め、その集団全体の雰囲気をよりよいものにすることにもつながると考えられます。
SSTを受けるには
SSTの実践の多くは、研究機関・療育機関で実施されたり、それらの機関が主体となって幼稚園や小学校に介入して進路指導のかたちで行われています。
SSTは、日常生活で何か困りごとがあるとき、その人の状況に合わせてプログラムが組まれます。
そのため、適切なSSTを行うためには、心理職などの専門家であることやSST認定講師などの資格を持っていることが必要です。
SSTを受けられる場所
SSTは次のような場所で受けられます。
- 幼稚園や保育所、認定こども園(巡回相談員として専門家が訪問)
- 小学校や中学校(カウンセラーの訪問)
- 大学の研究機関や療育施設
成人向けだと次のような施設でもSSTを実施している場合があります。自治体の福祉課などへ問い合わせると、その人に合った施設を紹介してもらえるでしょう。
- 精神科などの医療機関
- 就労や生活など自立訓練をサポートするセンターや事業所
- 地域活動支援センター
▶就労支援とは、個人の状況に応じて就労を実現する援助をすること
SSTの教材
SSTでは教材やワークシートを活用することがあり、専門の実施機関へ行かなくても入手できるものもあります。
SSTを詳しく知りたい人の役に立つでしょう。
たとえば、発達障害教育推進センターは「教材・教具データベース」でテーマごとに書籍を紹介しており、生活・学習上の困難、社会性など、ソーシャルスキル に関する項目を設けています。
また、ソーシャルスキルにも関連するものとして、社会で求められる汎用的能力(ジェネリック・スキル)を測定する「PROGテスト」があります。
PROGテストでは、結果を踏まえたジェネリック・スキル育成プログラムも用意されています。
SSTでは必ずしも教材を使用しなければならないというわけでなく、本人の生活上の困りごとを中心に個人に合わせたプログラムを行うことが可能です。
また、どのような人にどのような内容のSSTが効果的かは、専門家の判断が必要になってくるでしょう。
中には根拠のない教材やプログラムも存在するため、あくまで教材は補助的役割と考える方が良いですが、自身のパーソナリティを把握したり、個人に応じた関わり方のヒントを得ることができます。
社会人が活用できるSSTは?

SSTは、障害の有無にかかわらず社会的適応を援助する有効なアプローチの一つとして、幼児から青年・成人までの幅広い年齢層に対して、さまざまな形式で実施されています 。
SSTというと難しそうな印象がありますが、
- 職場の環境についてディスカッションを行う
- 業務上想定される場面をテーマに取り上げてロールプレイを行う
などのように、お互いの理解を深める時間を設けることはすぐに実践できます。
また「PROGテスト」のように、実際に大学生の就職活動などで活用されているものもあります。自身の強みを改めて捉え、生活に生かしていくことができるでしょう。
SSTは成功体験の積み重ねで発揮される
ソーシャルスキルトレーニング(SST)を通じて、相手と上手に付き合いながら社会生活を送る方法を学ぶことができます。
発達障害者へのトレーニングが盛んに行われていますが、一般の大学生や社会人を対象とするプログラムもあり、教材も開発されています。
ただしSSTが全てではありません。
たとえば「相手に感謝する場面では『ありがとう』と言う」という振る舞いを知識として獲得しても、実感が伴わなければうわべだけの言葉になってしまい、むしろ社会性が低いと評価されかねません。
知識として得た振る舞いを実践すること、そしてそれを受け入れてくれる環境が整っている中で成功経験を重ねられてこそ、SSTは効果を発揮します。
参考文献・URL
浜谷直人. (2012). 通常学級における特別支援教育の研究成果と課題. 教育心理学年報, 51, 85-94.
橋本創一. (2016). 教育心理学に基づく特別支援教育の研究動向2015. 教育心理学年報, 55, 116-132.
石津乃宣・井澤信三. (2011). 知的障害特別支援学校高等部での進路学習におけるソーシャルスキル・トレーニングの効果の検討. 特殊教育学研究, 49, 203-213.
障害者職業総合センター職業センター. (2006). 発達障害者のワークシステム・サポートプログラムとその支援技法. 障害者職業総合センター職業センター実践報告書, No. 17.
上野一彦 (監修) 岡田 智・中村敏秀・森村美和子・岡田克己・山下公司. (2014). 特別支援教育をサポートするソーシャルスキルトレーニング(SST)実践教材集. ナツメ社.
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