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2019-08-21

部活動指導員とはーー教員でなくても部活の顧問にもなれる外部の指導者

学校教員ではなくても部活の顧問として技術指導を行うことができる、「部活動指導員」を知っていますか。

2017年に「教員の働き方改革」の一環として「部活動指導員」は制度化されましたが、実際の教育現場での認知度はいまいちというところでしょう。

この記事では「部活動指導員」について、役割や現在の活用状況などについて解説します。

部活動指導員とは部活の顧問ができる外部人材

「部活動指導員」とは、中学校・高校の部活動において、学校長の監督下で顧問の代わりに単独で指導・引率ができる人のことです。

平成29年4月に学校教育施行規則の一部が改訂され、新たに制度化された学校職員です。

部活動指導員の役割

部活動指導員は、部活動の顧問として技術的な指導を行うだけでなく、日常的な生徒指導を行うことが求められています。

学校教員とは指導内容だけでなく、生徒の様子や事故が起きた場合の対応などについても頻繁に情報交換を行い、十分な連携を図ることが求められているのです。

部活動指導員と教員の2人で部活の顧問を兼任する場合には、互いに連携・協力しながら適切な役割分担を行って生徒を指導します。

部活動指導員は単独で顧問になることもできますが、その場合、学校長は当部活動の「担当教諭」を置くことが義務付けられています。

担当教諭は年間・月間指導計画の作成支援や生徒指導、事故が起きたときなどに必要な対応を行います。

部活動指導員と従来の外部指導者の違い

従来の外部指導者 部活動指導員
身分 法律上不明確 学校教育法が定める学校職員
役割 教員の顧問の技術的指導を補助。校外の引率は原則不可。 教員に代わり部活動の顧問ができる。校外の引率も可能
謝礼 無償、有償など自治体によってばらばら 有償
指導者研修 規定はばらばら 義務

これまでも部活動で外部の指導者は、コーチなどとして活用されていました。

しかし、これらの外部指導者の身分は法律上不明確で、自治体によって報酬や研修についての規定が異なっていました。

また、教員の顧問が配置されることが前提で、その顧問の技術的指導を補助することが役割となっていました。

そのため、活動中に事故が起こった場合に責任の所在が不明確といった理由から、教員に代わって単独で大会などに生徒を引率することは認められていませんでした。

新しく制度化された部活動指導員は、学校教育法において学校職員という身分が定められています

報酬が有償であることが定められ、研修が義務化されました。

校長の監督のもと、技術的指導のみならず生徒指導や事故時の対応についても職務が明確になったため、単独で顧問になることや大会に生徒を引率することが可能になりました。

現在は部活動指導員の任用が推奨されていますが、従来の外部指導者を引き続き活用することもできます。

部活動指導員が制度化されたのは2017年

部活動指導員は2017年に制度化されました。

その背景として、いわゆる「ブラック部活」として部活動時間の長期化が問題となり適正化が求められていることがあります。

さらに、外部の人材を活用することで部活動の質的な向上も同時に求められています。

教員の負担軽減のため

文部科学省が2018年に行った「教員勤務実態調査(速報値)」によると、中学校教諭の部活動に関わる1日当たりの勤務時間は平日、休日ともに10年前より増加していました。

特に土日の勤務時間は1時間4分増加し、2018年では2時間10分となっていました。

また、OECDによる「国際教員指導環境調査(TALIS2018)」では、日本の中学校教員の1週間あたりの仕事時間は48か国中最長となっており、特に課外活動(スポーツ・文化活動)の指導時間が長いことが指摘されました

こうした調査結果から部活動の長さが教員の多忙化を引き起こしていることが問題となり、適切な練習時間や休養日の設定など部活動の適正化が主張されるようになりました。

また、従来の外部指導者の活用のみでは教員の負担軽減には不十分であることから、より多くの裁量を持った「部活動指導員」の制度化が進められました。

部活動の質的向上のため

日本体育協会による「学校部運動部活動指導者の実態に関する調査(平成26年7月)」によると、中学校の運動部活動担当教員のうち、担当教科が保健体育ではなく、かつ担当部活動の競技経験がない教員の割合は45.9%でした。

このように競技経験のない運動部活動の顧問を任されることは教員の心理的負担になるうえ、適切な練習法が導入されない場合も多くなります。

運動部に限らず全ての部活動において、その内容に関わる専門的な知識・技能を持つ外部人材を配置することで正しい理解に基づく適切な指導が行われ、想定される事故・けがの未然防止など部活動の質的に向上できるとされています。

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部活動指導員ができること

このように新たに制度化された部活動指導員ですが、具体的にどのような規則が定められているののでしょうか。

2017年にスポーツ庁より出された「学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)」をもとに詳しくみていきます。

部活動指導員に必要な資格

部活動指導員に必要な資格は、今回の学校教育法改正では

「指導するスポーツや文化活動等に係る専門的な知識・技能のみならず。学校教育に関する十分な理解を有する者」

と書かれており、詳細な資格については各自治体が規定しています。

例えば、茨城県教育委員会では、以下の(1)~(4)の資格要件は必ず該当し、(5)~(7)のいずれかに該当する人としています。

  1. 公務員でない人
  2. 地方公務員法第16条または学校教育法第9条の欠格事項に該当しない人
  3. 過去の指導において、体罰、パワーハラスメント、セクシャルハラスメント等、その他運動部活動指導員として不適格と認められる事項がない人
  4. 20歳以上である人
  5. 教員免許を授与された経験がある人(有効・無効を問わない)
  6. 公益財団法人日本スポーツ協会等の中央競技団体認定の指導員資格を所有している人
  7. 学校教育法第1条に規定する学校において、当該運動部活動の指導経験がある人

部活動指導員は従来の外部指導者よりも責任の重い職務を担うことから、教職経験者など校長が適格と認める人材を登用する傾向がよく見られます。

部活動指導員の規則

「部活動指導員と従来の外部指導者の違い」で説明したように、今回の学校教育法改正では

  • 身分が学校職員として定められたこと
  • 部活動の顧問を担当することが可能になったこと
  • 報酬が有償と決められたこと など

の規則が明記されました。

それ以外の具体的な職務内容や義務化された研修内容について説明します。

職務内容

部活動指導員の職務内容として明記されたのは以下の9つです。

  1. 実技指導
  2. 安全・障害予防に関する知識・技能の指導
  3. 学校外での活動(大会・練習試合など)の引率
  4. 用具・施設の点検・管理
  5. 部活動の管理運営(会計管理など)
  6. 保護者などへの連絡
  7. 年間・月間指導計画の作成
  8. 生徒指導に関わる対応
  9. 事故が発生した場合の現場対応

研修

今回の通知で、部活動指導員に対し事前に研修を行うほか、定期的に研修を行うことが義務付けられました

研修は学校設置者による研修と学校による研修の2種類が想定されていますが、それぞれスポーツ庁より以下の内容の研修を行うよう通知されました。

【学校設置者(教育委員会など)による研修の内容】

  1. 部活動指導員制度の概要
  2. 学校教育および学習指導要領
  3. 部活動の意義、位置づけ
  4. 服務(校長の監督を受けること、生徒の人格を傷つける言動や体罰が禁止されていること、保護者等の信頼を損なうような行為の禁止等)
  5. 生徒の発達段階に応じた科学的な指導
  6. 顧問や部活動を担当する教諭等との情報共有
  7. 安全・障害予防に関する知識・技能の指導
  8. 学校外での活動(大会・練習試合等)の引率
  9. 生徒指導に係る対応
  10. 事故が発生した場合の現場対応
  11. 女子生徒や障害のある生徒などへの配慮
  12. 保護者等への対応
  13. 部活動の管理運営(会計管理等)

【学校による研修の内容】

  1. 学校、各部の活動の目標や方針(適切な練習時間や休養日の徹底も含む)
  2. 学校、各部が抱える課題
  3. 学校、各部における用具・施設の点検・管理

このように、教育委員会など学校設置者は、法令に関する内容をはじめ子どもと関わる教育者として身に着けておくべき事項についての研修を定期的・計画的に行うことが求められています。

学校による研修については、外部人材が主体となって部活動の指導を行うことで学校の教育課程と部活動が切り離されるのではという懸念が指摘されています。

この背景から、学校の教育方針や課題について部活動指導員が理解を深め、学校職員の一部として適切な指導ができることを研修成果の目標としています。

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部活動指導員の状況

部活動指導員は制度化されてから2年ほど経過しましたが、現在の状況はどのようになっているのでしょうか。

ここからは、部活動指導員の普及状況や今後の見通しについて見ていきます。

運動部活動における外部人材の活用状況

スポーツ庁の調査「運動部活動の現状について」によると、平成27年度に運動部活動において、部活動指導員をはじめとする外部の人材を活用した中学校の割合は約74%でした。

全国の運動部の数に占める外部指導員の割合は中学校約25%、高校約11%でした。

この数字から、コーチやOB・OGなど外部の人材による部活指導は一般的になっていますが、外部指導員の配置はまだまだ進んでいないと言えるでしょう。

また、中学校と高校を比較すると中学校の方が外部指導者の普及は進んでいる状況です。

9,000人の部活動指導員を配置する計画

文部科学省は「2019年度予算(案)主要事項」で、18年度の2倍となる10億円の予算を中学校における部活動指導員の配置事業に計上しています。

部活動指導員数を9,000人に増やし、全国の公立中学校の約3割にあたる3000校に行き渡らせる計画です。

この計画は、適切な練習時間や休養日の設定など、部活動の適正化を進めている学校設置者に部活動指導員の配置を支援する方針です。

その上で指導する部活動に関わる専門的な知識・技能を持つ人材を登用できるよう支給基準も見直すとのことです。

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まとめ

この記事では新たに制度化された部活動指導員について、制度化の背景から従来の外部指導者との規則の違いや実際の職務内容、そして現状と今後の展望について解説してきました。

教員の働き方が問題となる中で、部活動指導をはじめ様々な場面で学校外の人材を活用していく動きはますます加速していくでしょう。

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