• /
  • コラム/
  • 大学無償化の制度概要と、条件の拡大(子供3人以上の多子世帯)について

2024-04-04 2025-09-09

大学無償化の制度概要と、条件の拡大(子供3人以上の多子世帯)について

本記事では、現在国が進める大学無償化制度について詳しく解説していきます。

2025年度に実施予定となる制度の改定方針や、多子世帯(子ども3人以上の世帯)への支援内容も解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

【LINE登録で転職準備を万全に】

面接対策・書類作成・業界知識など、転職のプロが厳選した豪華7大特典をプレゼント!

面接に役立つ質問集&対策動画
書類で使えるテンプレート&例文集
業界のリアルが分かる転職データ&PDF書籍

▼ たった30秒で登録完了! ▼

この記事の監修者

網屋亮介

教員のキャリア支援に特に強みを持つキャリアアドバイザー。年間で数百名の教員とのキャリア面談を実施。学校法人や教育系の事業会社へ多数の転職支援の実績を持つ。教員特有のレジュメ作成、選考対策など教員の転職支援に強み。前職は旅行代理店、教員家系に育ち、2児の父。

現行の大学無償化制度について

大学無償化制度とは、「高等教育の修学支援新制度」という名称で令和2(2020)年から開始している国の支援制度です。支援対象となる大学・短大・高専・専門学校において、要件を満たす学生全員が支援対象者となります。

支援内容は主にこの2つとなっています。

  • 授業料等減免(大学の授業料や入学金を免除または減額)
  • 給付型奨学金

支援の対象となるのは、住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯の学生です。

世帯の所得と資産が基準額に該当していれば支援制度を利用できます。授業料等減免と給付型奨学金の対象となる基準は同じです。

支援区分 第I区分 第II区分 第Ⅲ区分
年収目安(両親・本人(18歳)・中学生の家族4人世帯の場合) 〜270万円 〜300万円 〜380万円
支援金額 全額支援 2/3支援 1/3支援

参考:高等教育の修学支援新制度|文部科学省

対象となる年収目安は家族構成や家族の年齢などによって異なりますが、独立行政法人日本学生支援機構が公開している進学資金シミュレーターの給付奨学金シミュレーションを使うと、対象となる世帯かどうかがわかります。

それぞれの支援の申し込み方法はこのようになっています。詳しい手続きの流れについては、各大学の公式サイトや日本学生支援機構のサイトを参考にしてください。

授業料等減免・給付型奨学金の金額

授業料等減免と給付型奨学金の金額は、以下のような条件によって変わってきます。

  • 世帯収入
  • 進学先の大学の種類(大学・短期大学・高等専門学校・専門学校)
  • 私立/国公立、昼間制/夜間制/通信課程
  • 自宅から通う/一人暮らし

ここでは、さまざまなケースの支援金額をまとめてみました。

(※ここで示す金額は住民税非課税世帯の学生の場合です。住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生の場合の支援金額は、区分に応じて満額の1/3~2/3となります。)

授業料・入学金減免の上限額(年額)

【昼間制】

進学先 国公立 私立
入学金 授業料 入学金 授業料
大学 約28万円 約54万円 約26万円 約70万円
短期大学 約17万円 約39万円 約25万円 約62万円
高等専門学校 約8万円 約23万円 約13万円 約70万円
専門学校 約7万円 約17万円 約16万円 約59万円

【夜間制】

進学先 国公立 私立
入学金 授業料 入学金 授業料
大学 約14万円 約27万円 約14万円 約36万円
短期大学 約8万円 約20万円 約17万円 約36万円
専門学校 約4万円 約8万円 約14万円 約39万円

【通信課程】

通信制 入学金 授業料
大学・短期大学・専門学校 約3万円 約13万円

給付型奨学金の上限額

【昼間制・夜間制】(月額)

進学先 自宅生 自宅外
国公立 私立 国公立 私立
大学・短期大学・専門学校 29,200円 38,300円 66,700円 75,800円
(33,300円) (42,500円)
高等専門学校 17,500円 26,700円 34,200円 43,300円
(25,800円) (35,000円)

※()は生活保護世帯で自宅から通学する人と児童養護施設などから通学する人が対象

【通信課程】(年額)

進学先 私立
自宅生 自宅外
大学・短期大学・専門学校 51,000円

参考:高等教育の修学支援新制度|文部科学省

支援の対象となる大学

「高等教育の修学支援新制度」において支援の対象となるのは、国が一定の要件等を満たすことを確認した大学・短期大学・専門学校・高等専門学校(4・5年)です。

自分の通う学校や進学予定の学校が対象校かどうかは、文部科学省の「高等教育の修学支援新制度」特設ページで確認できます。

令和6・7年度に大学無償化制度対象が多子世帯・理工農系に拡大

令和2(2020)年に開始した「高等教育の修学支援新制度」ですが、令和6(2024)年度より改正が行われ、授業料等減免・給付型奨学金の支給対象者が追加されて年収600万円程度の中間層への支援が拡充されます。

【令和6(2024)年度からの新規支援区分】

多子世帯
  • ・世帯年収約380〜約600万円まで
  • ・扶養する子どもが3人以上の世帯が対象
  • ・支援金額は住民税非課税世帯の4分の1
理工農系
  • ・世帯年収約380〜約600万円まで
  • ・授与する学位の分野に理学・工学・農学が含まれる学生が対象
  • ・支援金額は文系との授業料の差額分
  • ・私立学校が対象

参考:「こども未来戦略」の「加速化プラン」等に基づく高等教育費の負担軽減策について(令和6年度開始)|文部科学省

さらに令和7(2025)年度からは、給付型奨学金の支援制度はそのままに、多子世帯の学生の大学・短期大学・専門学校・高等専門学校(4・5年)の入学金・授業料を所得制限なしで無償化する方針が発表されました。

ここからは、令和6・7年度に拡充される多子世帯と理工農系の学生への支援内容をそれぞれ解説していきます。

多子世帯(扶養する子どもが3人以上)の学生への支援内容

多子世帯の学生への支援は、令和7(2025)年度から大学等の入学金と授業料が所得制限なしで無償化されるのが大きな特徴です。給付型奨学金の支援も変わらず実施されます。

授業料等減免

多子世帯の学生を対象とした授業料等減免の支援は、令和6(2024)年度と令和7(2025)年度で条件・内容が異なります。

令和6(2024)年度の改正
  • ・世帯年収約380〜約600万円までが対象
  • ・支援金額は住民税非課税世帯の4分の1
令和7(2025)年度以降の方針
  • 所得制限なしですべての多子世帯が対象
  • 大学等の入学金・授業料を無償化
  • ・支援上限は現行の住民税非課税世帯の支援額と同じ
  • (例・国公立大学…入学金約28万円、授業料年間約54万円)

令和7(2025)年度以降は所得制限なしですべての多子世帯が対象となりますが、ここでいう多子世帯とは、「扶養する子どもが3人以上いる世帯」をさします。

二番目の子どもが大学進学する前に一番上の子どもが扶養から外れると、「扶養する子どもが3人以上」という条件を満たせず、入学金や授業料無償化の対象外となります。

給付型奨学金

多子世帯への給付型奨学金の支援内容は、令和6(2024)年度の改正で追加された「住民税非課税世帯の支援金額の1/4程度」が継続されます。

こちらも条件は「扶養する子どもが3人以上いる世帯」であり、世帯年収の条件は約600万円までです。

理工農系の学生への支援内容

令和6(2024)年度から新たに始まる理工農系への支援内容は、理工農系の学生に人文・社会科学系との学費の差額分を支援するというものです。

具体的には、以下のような入学金の減免と授業料の減免が受けられる予定です。

【私立理工農系の授業料・入学金減免額(昼間制)】

進学先 授業料減免(年額) 入学金減免
大学 233,400円 86,700円
短期大学 155,000円 62,500円
高等専門学校 233,400円 43,400円
専門学校 147,500円 40,000円

参考:令和6年度からの奨学金制度の改正(授業料減免等の中間層への拡大)

私立の学校に通う学生を対象としており、理学・工学・農学と学位に書かれていない場合でも、対象の大学・学部・学科に通っている学生は対象となります。

文部科学省の公開している「理工農系学部学科の対象機関リスト(令和6年3月21日)」を見てみると、例えば、法政大学 情報科学部 ディジタルメディア学科や、日本獣医生命科学大学 獣医学部獣医学科といった学科も対象となっており、理系の幅広い学科で支援が受けられることがわかります。

参考:理工農系学部学科の対象機関リスト(令和6年3月21日)|文部科学省

なお、令和7(2024)年度以降も理工農系への支援は継続される予定です。多子世帯と理工農系の両方の支援条件に該当する場合は、原則多子世帯の支援が優先となります。

支援を受けるには学業成績や学習意欲に関する要件を満たす必要がある

ここまで「高等教育の修学支援制度」について解説してきましたが、この支援制度を利用するには、所得・資産の要件に加えて、学業成績や学習意欲に関する要件も満たす必要があります。

また、支援認定後も審査基準があり、それをクリアできないと支援は打ち切りになります。

申請時の学業成績や学習意欲に関する要件と支援認定後の審査要件は、以下の通りです。

申請時の要件

高校在学中に申請する場合
  • ・申込時までの評定平均が3.5以上
  • →進路指導等で学習意欲を確認する
  • ・申込時までの評定平均が3.5未満
  • →レポートまたは面談で学習意欲を確認
大学1年生で申請する場合(いずれかに該当)
  • ・高校の評定平均値が3.5以上
  • ・入学試験の成績が入学者の上位1/2に入っている
  • ・高卒認定試験の合格者
  • ・学習計画書の提出を求め、学習の意欲や目的、将来の人生設計等が確認できること
大学2〜4年生で申請する場合(いずれかに該当)
  • ・大学の学業成績(GPA)が上位1/2に入っている
  • ・次のいずれにも該当すること
  • a.. 修得単位数が標準単位数以上
  • b. 学習計画書の提出を求め、学習の意欲や目的、将来の人生設計等が確認できること

認定後の審査要件

廃止(支援打ち切り)
  • ・修業年限で卒業・修了できないことが確定
  • ・修得単位数の合計が標準単位数の半分以下
  • ・履修科目の授業出席率が半分以下、または学習意欲が著しく低いと認められる
  • ・警告の要件に連続して該当すること
警告
  • ・修得単位数の合計が標準単位数の6割以下
  • ・GPA等が学部等における下位4分の1に属する
  • ・履修科目の授業出席率が8割以下、または学習意欲が著しく低いと認められる

参考:高等教育の修学支援新制度について|文部科学省

修学支援制度は、学業成績が悪いからといって支援が受けられないわけではありませんが、授業の出席率が低かったり修得単位数が少なかったり、学習意欲が低いと見なされる行動が多いと、支援が打ち切りになる可能性があります。

これから授業料等減免や給付型奨学金の支援を受けようと考えているなら、この支援制度の目的をしっかり理解して、学業に励むことが大切です。

大学無償化がもたらす教育環境の変化

2024年から本格化する大学無償化は、経済的な理由で進学を諦める学生を減らすことが期待されています。

こうした施策は、社会全体の学歴や専門性の底上げにつながるだけでなく、多様な人材が高等教育を受けることで新しい価値やイノベーションが生まれる土台ともなります。

教育機関が直面する新たな課題とチャンス

学生層の拡大・多様化に伴い、教育機関には新たな役割が期待されます。たとえば、奨学金や授業料減免の手続きに関する事務やアドバイスを行うスタッフが不可欠です。学習面だけでなく生活面を含めた総合的なサポートが求められることで、学内カウンセラーや学生コーディネーターなど新たな職種の需要も増えてきています。

こうした環境変化は、教育機関にとってはただ負担が増すだけでなく、制度改革や新規ビジネスを生み出すチャンスとも言えるでしょう。

EdTechが牽引するイノベーション

学生数の増加と多様化に対応するうえで、ICT(情報通信技術)の活用は欠かせません。

オンライン授業やeラーニングプラットフォームは、新型コロナウイルスの感染拡大を契機に急速に普及しましたが、大学無償化によって今後もますます拡充していくと考えられます。

特にEdTech分野は、学習効率を高めるAIツールの開発や、学習データを解析して学生の成績・生活状況を把握するシステムの提供など、新しいサービスが次々に登場しています。教育現場でのICT活用が進むことで、ITスキルを持つ人材や、教育とテクノロジー両方に精通した人材のニーズが大きく高まっているのです。

関連記事
EdTech(エドテック)とは何か?読み方は?注目される背景やeラーニングとの違いを解説

教育業界へのキャリアアップを実現するには

大学無償化が背景にある教育環境の変化は、教育機関だけでなく、EdTech企業や教育関連のNPO法人など、さまざまな組織での採用ニーズを生み出しています。

こうした変化に伴い、教育分野への転職・キャリアアップを検討するなら、教育業界に特化した転職エージェントを活用するのがおすすめです。非公開求人の紹介や面接対策はもちろん、教育現場特有の文化や採用ポイント、求められるスキルをしっかりと把握しているため、自分に合った職場・職種を効率よく探すことができます。

社会貢献度が高く、やりがいを感じられる教育のフィールドで次の一歩を踏み出したいとお考えの方は、ぜひ一度専門家に相談してみませんか? 無料カウンセリングや求人紹介など、さまざまなサービスを通して、あなたのキャリアをバックアップいたします。ご興味をお持ちの方は、まずはお気軽にご相談ください。

関連記事
・教育業界での転職を成功にみちびくノウハウまとめ【業界情報・履歴書の書き方・職種/業種別面接対策】
・教員の転職活動を徹底解説!転職先・転職理由・体験談まとめ

教育業界でのキャリアに興味があれば、
無料の転職サポートに登録
Education Career
  1. 1
    ベネッセ・リクルート・学校法人など人気の教育関連求人を多数保有
  2. 2
    教員・学習塾・出版社など業界出身者の支援実績多数
  3. 3
    面接の質問例・通過する書類作成など、専門だからこそのサポートが可能
簡単!
転職サポートに登録
全角文字でご入力をお願いします。
半角文字でご入力をお願いします。

この記事の監修者

網屋亮介

教員のキャリア支援に特に強みを持つキャリアアドバイザー。年間で数百名の教員とのキャリア面談を実施。学校法人や教育系の事業会社へ多数の転職支援の実績を持つ。教員特有のレジュメ作成、選考対策など教員の転職支援に強み。前職は旅行代理店、教員家系に育ち、2児の父。

教育業界の非公開求人が多数 転職エージェントに相談する