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2019-07-26

インストラクショナルデザインとは?学習効果を最大化するための設計を行うこと

「インストラクショナルデザイン」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

学校や企業の研修といった何らかの「教育」が行われる現場で、その教育の効果や効率、魅力を高める手法として使われるのが「インストラクショナルデザイン」です。

インストラクショナルデザインは、指導者側の方はもちろんですが、自主学習者の方にとっても活用できる考え方です。

この記事では、インストラクショナルデザインとは何かを説明します。

インストラクショナルデザインについて理解することができ、自身の学習方法や指導方法の改善に役立てることができます。

インストラクショナルデザインとは、効果的に学ぶ方法を設計すること

インストラクショナルデザインとは、「教育・教授・教え」といった意味を持つ「インストラクショナル(Instructional)」と、「設計」という意味をもつ「デザイン(Design)」という言葉をかけ合わせたもので、直訳すると「教育設計」です。

「ID」と略して表記されることがあります。

学習者の学習効果を最大化するための設計を行うことを指します。

分析→設計→開発→実施→評価→分析・・・と繰り返していくことで、最適な学習方法を選択していきます。

様々なシーンで活用されている

インストラクショナルデザインは、全ての教育に関わるシーンで活用されています。

例えば、教育機関における授業改善、新卒向けの入社研修の企画、eラーニングのコンテンツ企画・作成などの場面で活用されています。

インストラクショナルデザインの広がり

始まりは第2次世界大戦の頃

インストラクショナルデザインは、第二次世界大戦中のアメリカ軍の訓練で生まれたと言われています。

学習者にあたる兵士や科学技術者のニーズを把握・分析し、効果的な訓練方法として、インストラクショナルデザインが考え出されました。

その教育技法が、生産現場や企業研修の場で活用されるようになりました。

eラーニングの普及

日本でインストラクショナルデザインが広がるきっかけの1つになったのは、2000年頃からのeラーニングの普及です。

2000年代以降、インターネットの普及によりeラーニングを用いた様々なサービスが開発・提供されています。

eラーニングの教材は、学習履歴や記録を取れることから、分析→設計→開発→実施→評価→分析というサイクルが回しやすいです。

インストラクショナルデザインの概念が注目されるようになり、企業内研修などのシーンにおいてもこの考え方が普及してきました。

クラウド環境・デバイスの進化により、影響度は増している

インターネットの普及に加え、クラウド環境、スマホ・タブレットなどのデバイスの進化により、「分析→設計→開発→実施→評価」のサイクルが回しやすくなり、インストラクショナルデザインの重要性・影響度が増しています。

こうした流れの中で、画一的な手法ではなく、個人個人に最適な教育環境を提供するという「アダプティブラーニング」という概念も広く提唱されるようになりました。

さらにそうした個別化・最適化を人が行うのではなく、AIが自動的に行う手法も注目を集めています。

海外・日本でもAIを活用し、個人の学習環境を最適化しようというサービスが、多く開発されています。

インストラクショナルデザインの目的

インストラクショナルデザインの目的は、教育活動の効果・効率・魅力を高めることにあります。

ここでは、具体的なインストラクショナルデザインの目的を3つ紹介します。

効率的に学習成果をだすこと

インストラクショナルデザインの評価方法は、「理解したか」ではなく「行動ができるか」です。

理解ではなく行動にすることで、実践で活かすことができるのかを測定でき、習熟度の向上に効率よく結びつけるという目的があります。

学習環境をよりよくすること

インストラクショナルデザインは、学習を始める前にあらかじめ分析方法が決められており、システマチックに設計されています。

一度学習プロセスを実行したのちに、学習成果を測定し学習工程を設計し直します。

これによって、学習者の教育環境をよりよくしていく目的があります。

学習者のモチベーションを維持すること

インストラクショナルデザインでは、「動機付け理論」が活用されています。

「自信」や「満足感」などの観点から、学習者自身が学習に対して積極的になってもらえるような学習設計を行うことで、学習者のモチベーションを維持する目的があります。

また、モチベーションを維持することができると、自主学習を促すことができます。

こうした学習者のモチベーションを高める手法は、「ゲーミフィケーション」も注目されています。

▶教育にも用いられる「ゲーミフィケーション」とは?ゲームの要素を社会活動やサービス開発に組み込むこと

インストラクショナルデザインをさらに学ぶには

インストラクショナルデザインについての概要を理解しても、実際に実行は出来ない・・とお感じになる方もおおいでしょう。

そこで、ここではインストラクショナルデザインの基本から、実行・分析の段階までを学ぶことができるいくつかの方法をご紹介します。

手軽にインストラクショナルデザインを身に着けたいなら「書籍」、短期間で集中して習得するなら「研修・セミナー」、より深い知識の習得を目指すなら「大学・大学院」がおすすめです。

書籍で学ぶ

インストラクショナルデザインに関する書籍が出版されています。

後述する熊本大学の、社会文化科学研究科教授システム学専攻の教授である鈴木克明氏は、インストラクショナルデザインの発祥アメリカにある、フロリダ州立大学教授システム学専攻を卒業した教育工学者です。

鈴木克明氏は、インストラクショナルデザインを学ぶことができる書籍を複数執筆していますので、ここでは基本を学べるものとアイデア集を紹介します。

  • 研修設計マニュアル: 人材育成のためのインストラクショナルデザイン
  • インストラクショナルデザインの道具箱101

「研修設計マニュアル: 人材育成のためのインストラクショナルデザイン」は、全ての教育指導者向けの本です。

タイトルを見ると企業内研修にフォーカスした内容のように思えますが、基本概念についても解説されています。基礎から、研修など実践での活用法までの内容を網羅した1冊です。

「インストラクショナルデザインの道具箱101 」は、計画や実践フェーズで役に立つ本です。「学びたさ」「学びやすさ」「わかりやすさ」「ムダのなさ」「いらつきのなさ」を改善するアイデア集で、実践事例が多数掲載されています。

研修やセミナーで学ぶ

インストラクショナルデザインについて学ぶことができる、研修やセミナーが各地で開催されています。

特に、企業内の人材育成担当者向けのセミナーは多数開講されています。

例えば、上記のような団体が研修・セミナーを実施しています。

講座では、短期間(1~2日程度)で、インストラクショナルデザインの基本から、実践する方法、分析方法までを学ぶことができます。

通学型のセミナーだけでなく、インターネット上で受講できるセミナーもあります。

大学院で学ぶ

より深いインストラクショナルデザインに関する知識を身に着けたい場合は、インストラクショナルデザインについて研究を行う教授の元で学ぶ大学・大学院がおすすめです。

熊本大学大学院 社会文化研究科 教授システム学専攻では、インストラクショナルデザインを中心とした、教授システム学(Instructional Systems)を学ぶことができます。

eラーニングの専門家を目指すため、博士前期(修士)課程修了全員が「ラーニングデザイナー」資格を取得することができます。

他にも教育工学を学べる大学院に通うことで、インストらくショナルデザインに関連する知識を学習出来ます。

▶国内で教育工学を学べる大学院6選!受験資格や学費、試験の難易度、卒業後の進路・キャリアを解説

まとめ

インストラクショナルデザインは、第二次世界大戦のころから行われている歴史のある手法です。

インストラクショナルデザインは、学校現場だけではなく、企業研修などの、教育・学習に関わる全ての現場において重要な考え方です。

テクノロジーの進化によってその手法も日々改善されており、今後、インストラクショナルデザインが生きる場はますます増加していくと考えられます。

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