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2025-12-25 2026-01-26

給特法の改正をわかりやすく解説。施行はいつから?最新情報は?

令和7年(2025年)6月、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律(以下、給特法等一部改正法)」が公布されました。

この改正は、深刻化する教員不足への対応や、長時間労働が問題視されてきた学校現場の「働き方改革」を加速させ、教育の質を向上させることを目的としています。

本記事では、令和8年(2026年)から施行される給特法の改正の要点を解説します。

(※詳細は、文部科学省や各自治体のホームページを必ずご確認ください。)

この記事の監修者

Education Career 編集部

教育業界専門の転職エージェント「Education Career」の編集部です。年間で数百名の教育業界出身者の転職やキャリアの支援を行う転職エージェントとして、教育業界での転職活動やキャリアに役立つ記事を更新しています。

給特法とは

改正の解説をする前に、給特法の概要を確認します。

給特法とは、正式名称を「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」といい、公立学校に勤務する教員の給与や勤務条件の根幹を定めた法律です。

給特法では、教員の職務が授業準備や生徒指導など、時間で区切りにくい特殊性を持つという前提に立ち、一般的な労働者に支払われる時間外勤務手当(残業代)を支給しない代わりに、給与月額の4%(2025年以前)を一律で支給する「教職調整額」という仕組みを採用しています。

近年、教員の長時間労働が深刻な社会問題となる中で、現状の給特法はその温床になっているとの批判が強まりました。

こうした背景から、教員の働き方改革や優れた人材の確保を目的として、教職調整額の引き上げや業務の適正化を含めた抜本的な見直し・改正が、重要な課題として議論されてきました。

今回の給特法の改正(給特法等一部改正法)は、2025年6月11日に参院本会議で可決、同月18日に公布され、2026年から順次施行されます。

給特法の改正の概要

ここからは、給特法の改正の要点を解説していきます。

教職調整額の引き上げと処遇の改善

今回の改正で注目されている点の一つが、教職調整額の引き上げです。

教職調整額を4%から10%へ段階的に引き上げ

現行の給特法では、教員には時間外勤務手当(残業代)を支給しない代わりに、給料月額の4%を一律で支給する「教職調整額」という制度が採られています。

今回の改正により、この基準が4%から10%へと段階的に引き上げられることになりました。

この引き上げは、令和8年(2026年)1月1日から開始され、混乱を避けるため毎年1%ずつ段階的に実施される予定です。

職務や勤務の状況に応じた手当の実現

一律の引き上げだけでなく、個々の教員の職務や勤務状況に応じた評価も導入されます。

「義務教育等教員特別手当」が校務類型に応じて支給されるようになり、業務の困難性を考慮した支給額が条例で定められるようになります。

具体的には、学級担任など、業務の困難性が高い校務を分掌する教員に対する加算が想定されています。

特定の負担が重い立場にある教員の貢献を、適切に評価する事を目的とした仕組みです。

また、指導力の改善が必要と認定され、指導改善研修を受けている教員については、教職調整額を支給しないという適正化も図られています。

学校における働き方改革の更なる加速

処遇を改善するだけでは、教員の負担軽減にはつながりません。

今回の法改正では、教育委員会や学校に対し、業務量の管理を法律上の義務として課すことで、働き方改革の実効性を高めています。

教育委員会に対する義務付け

教育委員会は、文部科学大臣が定める指針に基づき、教員の業務量を適切に管理し、健康を確保するための「業務量管理・健康確保措置実施計画」を策定することが義務付けられました。

この計画には、達成すべき目標や具体的な措置の内容を盛り込み、策定・変更時には遅滞なく公表し、総合教育会議へ報告しなければなりません。

また、毎年度の実施状況も公表・報告する必要があります。

学校に対する義務付け

学校側も、学校評価の結果に基づき運営改善を図る際、計画に適合するように措置を講じなければならないと定められました。

また、学校運営協議会を置く学校においては、校長が作成する学校運営の基本方針に、この業務量管理や健康確保に関する内容を含めることが求められます。

政府の目標:時間外在校等時間を「月30時間程度」へ

政府は、令和11年度(2029年度)までに、教員の一か月当たりの時間外在校等時間を平均30時間程度に削減する事を目標として掲げています。

この実現のため、以下の措置を講じることが附則に明記されました。

  • 教員一人当たりの担当する授業時数の削減
  • 教育課程の編成のあり方についての検討
  • 教職員定数の標準の改定
  • 教育職員以外の学校の教育活動を支援する人材の増員
  • 保護者からの不当な要求への対応支援
  • 部活動の地域移行への財政的援助
  • 上記の他、教育職員の業務量削減のために必要な措置

主務教諭の創設と組織的な学校運営

教育活動が多様化・複雑化する中で、一人の教員が抱え込むのではなく、組織として学校を運営する体制が求められています。

その鍵として新設されるのが「主務教諭」という職です。

主務教諭の役割

主務教諭は、児童生徒の教育に従事しつつ、教諭やその他の職員間における総合的な調整を担います。

広い視野で学校全体の調整を担う役割が期待されています。

主務教諭を配置できる学校種

主務教諭は、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校に置くことができるようになります。

学校組織の中核を担う人材を明確化することで、チームとしての指導体制を強化することが狙いです。

教育環境の抜本的改善に向けたその他の措置

今回の改正は、教員の給与や働き方だけでなく、子どもたちの学ぶ環境の改善にも踏み込んでいます。

中学校での35人学級の実現に向けた措置

小学校で進められてきた35人学級について、公立中学校においても令和8年度から順次、学級編制の標準を35人に引き下げるよう、政府が必要な措置を講ずることが定められました。

これにより、より丁寧な個別指導や、生徒一人ひとりに寄り添った教育が可能になることが期待されます。

継続的な見直し

今回の法改正は一度切りで終わるものではありません。

令和8年1月1日施行の規定について、施行から2年を目途に、教員の勤務状況や人材確保の動向を改めて調査し、必要があれば教職調整額の率の更なる変更を含めた検討を行うことが附則に盛り込まれています。

給特法の改正で、教員の働き方はどう変わるのか

今回の改正は、単なる給与アップにとどまらず、学校組織のあり方を見直す大きな一歩といえます。ただし、その施行内容については、あらかじめ把握しておくべき点もあります。

まず処遇面では、教職調整額が4%から10%へと引き上げられる方針です。

しかし、この引き上げは年に1%ずつ段階的に実施される為、10%に達するのは2031年頃となる見込みです。短期的には処遇改善を実感しづらいかもしれません。

働き方の面では、教育委員会に対して業務量の管理が法律で義務付けられます。

これにより、組織的な業務削減に向けた体制が整う事が期待されますが、具体的な改善内容は自治体ごとの取り組みに委ねられるため、地域によって働き方に差が出る可能性があります。

教員の労働環境を改善しようとする動きは確実に進んでいますが、現場でその変化を実感できるようになるまでには、まだ一定の時間が必要となりそうです。

今後のキャリアを考える場合は、このような時間軸やご自身の状況を踏まえて、今の場所で続けていくのか、待たずに転職をするのか、等を考えていただくと良いかと思います。

以下の動画で、教員の働き方改革に向けた取り組みと、それを踏まえて、実際に教員の方にどのようなキャリア選択肢があるのか、を解説していますので、併せてご覧ください。

給特法に関するQA

給特法の改正はいつからですか?

給特法等一部改正法は、2025年6月11日に参院本会議で可決され、2025年6月18日に公布されました。

施行期日は2026年4月1日からですが、一部の規定は公布日(2025年6月18日)もしくは2026年1月1日から施行されます。

教職調整額の引き上げ(第3条第1項及び附則第2項関係)は、2026年1月1日から施行され、毎年1%ずつ段階的に行われます。

1 施行期日(給特法等一部改正法附則第1条関係)
給特法等一部改正法は、令和8年4月1日から施行すること。ただし、以下の規定については、それぞれ以下に示す期日から施行すること。

(1)公布の日(令和7年6月18日)
給特法等一部改正法附則第3条から附則第5条まで

(2)令和8年1月1日
・公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法第3条第1項、第5条、第6条、附則第2項
・市町村立学校職員給与負担法第1条(「時間外勤務手当(」の下に「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(昭和四十六年法律第七十七号)第三条第一項に規定する指導改善研修被認定者、」を加える部分に限る。)
・教育公務員特例法第 13 条第2項
・給特法等一部改正法附則第2条、附則第6条及び附則第7条

引用元:7文科初第793号

まとめ

今回の給特法の改正のポイントを、以下にまとめます。

  • 教職調整額の10%への段階的な引き上げによる処遇改善
  • 教育委員会・学校に対する、業務量管理の義務化
  • 政府による、時間外在校等時間の削減に向けた措置の明記
  • 主務教諭の創設による組織力の強化
  • 中学校35人学級の推進

今回の改正が、教師一人ひとりのウェルビーイングを向上させ、それがひいては子どもたちの豊かな学びへとつながっていくことが期待されます。

参考:教師を取り巻く環境整備について|文部科学省

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