2021-03-31
キャリア教育に関わる仕事
社会の急速な変化に対応できるような教育の必要性が増し、学校でキャリア教育の導入が進められています。
企業でもキャリア教育をCSR(企業の社会的責任)として捉える動きが広まっており、キャリア教育に関わる仕事が増えてきています。
この記事ではキャリア教育に関わる仕事にはどのようなものがあるのか解説します。
キャリア教育に関わる仕事
キャリア教育を小学校から実施することが文部科学省や中央教育審議会の答申で提言されています。
このように学校段階でのキャリア教育の導入が推進されている中、冒頭でも述べたように、キャリア教育に関わる仕事は近年増加傾向にあります。
この記事では、キャリア教育に関わる代表的な仕事として、
- キャリア教育コーディネーター
- 学校教員
- キャリア教育コンテンツの提案営業
- キャリア教育コンテンツの企画開発
- キャリアカウンセラー
の5つを紹介します。
キャリア教育コーディネーター
キャリア教育コーディネーターとは、学校でのキャリア教育を充実させるために、地域や産業界が持つ教育資源と学校とを繋げる役割を担った人材のことを指します。
いわば、学校と外部の架け橋となる教育支援人材のことです。
仕事内容
キャリア教育に使える地域資源を発掘したり、学校のニーズを踏まえた上でキャリア教育プログラムを開発したり、学校のキャリア教育プログラムをより良いものに改良したりと、専門的な知見を活かしプログラムの内容を決めていくのがキャリア教育コーディネーターの仕事です。
実施するプログラム内容が決まったら、様々な調整役や進行管理役を担ったり、振り返りやフォローアップまでを担当します。
働く場所
キャリア教育コーディネーターが働く場所は学校現場をはじめ、教育委員会や民間企業など幅広くあります。
学校では前述したような役割を任されますが、教育委員会ではより地域や企業と学校の連携をサポートする役割が任されます。
近年は企業でもキャリア教育プログラムの開発が盛んになっており、民間企業でこのようなプログラム開発に携わることもあります。
キャリア教育コーディネーターの仕事内容や、資格の取り方について詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
▶キャリア教育コーディネーターとは学校と地域社会をつなぐプロ
学校教員
学校の児童生徒のキャリア形成に最も強く影響を及ぼすことができるのは、言わずもがな学校教員でしょう。
様々なキャリア教育コンテンツが存在する中、どのコンテンツを教室に導入するか決め、それを実践するのは学校教員です。
仕事内容
学校におけるキャリア教育の実践は学外から有識者を呼んで講演を行ったり、職場体験に行ったり、自分自身で調べ学習をしたりといった内容が一般的です。
これらは「総合的な学習の時間」や「特別活動」を通じて行われることが多いです。
学外と連携した実践を行う場合、教師はその人物・機関との連絡調整や児童・生徒に下調べを課すといった業務を行います。
中には「家庭科」や「社会」といった教科を体験学習と組み合わせたキャリア教育実践もありますが、これらは規定のカリキュラムに組み込む時間的余裕のなさや、事前準備の煩雑さからなかなか実践に至っていないという課題が指摘されています。
働く場所
教師の基本的な職場は学校です。
キャリア教育コンテンツの学校・教育機関向け提案営業
キャリア教育の実践は政府からも積極的な推進が求められていますが、現場で働く教員からはなかなかキャリア教育を導入する時間的余裕がないという声が聞かれます。
企業やNPO団体が開発したキャリア教育コンテンツを外注する学校・教育機関も近年は増えています。
そこで自社で開発したコンテンツを利用してもらうよう、過去に開発したコンテンツや実績を営業する企業・団体が増えています。
そういったキャリア教育コンテンツを開発する企業において、学校向けに営業をする仕事です。
仕事内容
民間企業やNPO団体が作るキャリア教育コンテンツは、eラーニングのようなデジタルコンテンツだったり、大学生が中高生と話をする機会づくりだったり、実際に勤労体験をするインターンシップだったりと様々な形態が考えられます。
各企業・団体の営業担当は自社で開発したコンテンツを利用してもらえるよう、学校や教育機関を回って自社の利点、長所を学校・教育機関にわかりやすく説明します。
働く場所
- キャリア教育コンテンツを専門に開発している制作会社
- 事業の一環としてキャリア教育コンテンツを開発するIT企業
- 様々な教育支援を行っているNPO団体
などが挙げられます。
キャリア教育コンテンツの企画・開発
最近はキャリア教育コンテンツを外注する学校も増えているため、キャリア教育コンテンツの企画・開発に関わる仕事もあります。
キャリア教育コンテンツは学校機関だけでなく、企業内でも導入されます。
若手社員向けに作られたキャリアプランを考えるコンテンツや、新入社員向けの研修で使用するコンテンツなどの制作に携わる仕事もあります。
仕事内容
企画・開発はニーズの把握からプログラムの設計・デザイン、実際のコンテンツ制作までを担当します。
このようなプログラム開発は、顧客となる学校・企業のニーズを把握することが大切です。
学校の場合、小中高で作るべきコンテンツの内容は大きく変わるため、学校段階に応じて適切なコンテンツ開発が必要です。
企業の場合には、前述した営業担当が案件を獲得してから具体的な制作が始まることが多いため、顧客と教材要件のヒアリング・打ち合わせをしっかり行います。
働く場所
教育コンテンツを専門に開発している制作会社・IT企業や、様々な教育支援を行っているNPO団体などが挙げられます。
キャリアカウンセラー・キャリアコンサルタント
キャリアカウンセラーとは、各個人にとってベストなキャリアの選択・開発を支援するキャリア形成の専門職です。
相談者の価値観、能力等の特性をみながら、適性や適職を発見するためのサポートを行います。
キャリア支援を行う資格名称は多くありますが、その中で「キャリアコンサルタント」は2016年から国家資格となり、キャリアコンサルタント試験合格者のみが名乗ることができる資格です。
仕事内容
主な仕事内容は、労働者の職業選択やキャリア設計の相談に応じ、職業能力の向上に関する助言や指導を行うことです。
- 今の仕事が向いていないかもしれない
- 転職を考えている
といった仕事の悩みを抱えている人から相談を受け、相談者の特性を理解したうえで課題を解決へと導くことがキャリアカウンセラーには求められます。
適職を見つけていくことはもちろんですが、相談者の価値観や人生観と向き合い、自己理解を深める支援をする役割も担います。
具体的な仕事内容は、働く場所によって異なってきます。
一般企業では、キャリアカウンセラーは人事部に配属されるケースが多くみられます。
キャリアカウンセリング室が設置されている企業の場合には、そこで従業員のキャリア相談を受けることも増えています。
キャリアカウンセラーは人材紹介・派遣会社で働くことも多いです。
人材紹介・人材派遣会社のキャリアカウンセラーは求職者のキャリア相談にのり、その人の価値観や能力、興味を聞きながら適職を選択し、転職をサポートすることがメイン業務です。
大学・短大などの教育機関で学生の就職活動の支援にあたることもメジャーです。
これから就職活動を始める学生の自己分析のサポートやエントリーシートの添削、面接練習等を行います。
行政機関の雇用対策事業で活躍するキャリアカウンセラーもいます。
行政機関では、高齢者や女性、障害者など様々なニーズを持つ人々に就業支援を行っており、キャリアカウンセラーの資格を持っていることは大きなアドバンテージになります。
キャリア教育とは
ここまでキャリア教育に関わる仕事について解説してきましたが、そもそもキャリア教育とはどのような教育活動なのか振り返ってみましょう。
文部科学省の「キャリア教育の必要性と意義」では、キャリア教育を以下のように定義しています。
一人ひとりの社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育
つまり、キャリア教育とは子どもたちが社会や職場に出てから自分の進路を自分で決め、自立して生きられるために必要な能力や態度をはぐくむ教育のことです。
一言であらわすと、自分の進路を自分で決めていく力を養うための教育といえます。
近年キャリア教育の必要性が指摘されるようになったのは、フリーターやニートの増加、新規学卒者の早期離職なとが社会問題となり、「教育機関から社会・職業への移行」が円滑に進んでいないことが指摘されたためです。
社会が急速に変化する中、今後は企業を取り巻く経営環境も変化していき、若者に求められる仕事の質が高まっていくことも予想されています。
そのため、若者が早い段階から自分の能力や適性を理解し、社会とどのように関わっていきたいのかを考える機会を提供することの必要性が指摘されてきました。
キャリア教育について、下記の記事でより詳しく解説しているのでぜひご覧ください。
▶キャリア教育とは?自分の進路を自分で決めていく力を養うための教育のこと
まとめ
現在注目を集めている「キャリア教育」に関わる仕事として、この記事では
- キャリア教育コーディネーター
- 学校教員
- キャリア教育コンテンツの提案営業
- キャリア教育コンテンツの企画開発
- キャリアカウンセラー
の5つの仕事を紹介しました。
先が予測できない時代だからこそ、キャリア教育は1人1人にとって重要です。そんなキャリア教育に携わりたい場合の選択肢は想像以上にたくさんあります。
興味のある仕事があれば、ぜひ詳細を調べてみてください。
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