2021-10-15
小学校教員から、AIスタートアップの教材開発に転職【体験談】
今回は弊社にご相談いただき、小学校教員から、AI教育スタートアップの教材制作に転職された森山さんにインタビュー。
- 大学卒業後の2年間の海外経験
- 小中高の教員免許を保有する中、小学校教員を選んだ理由
- 勤務時間など当時のリアルな働き方と給与事情
- 転職を考えたきっかけと活動の進め方
- 未経験からの教材制作への転職で評価されたポイント
- スムーズに内定承諾できた理由
- 転職活動を振り返ってアドバイス
などをお話しいただきました。
▶この記事は、YouTubeチャンネル「Education Career」でアップした2本の動画をまとめたものです。動画はこちらからご覧ください(前編/後編)
目次
大学卒業後の海外滞在、小学校教員の仕事
――今回は学校教員から教育系ベンチャーに転職された、森山様にお話を伺います。まず簡単に自己紹介をお願いします。
7年間小学校の教員をしており、21年3月末に退職しました。
その前は大学卒業後、教員になる前に海外に2年間いました。1年間はいろんな国の学校を巡り、1年間はオーストラリアで英語を勉強していました。
帰国してから小学校の教員になったのですが、自分の思い通りにいかないというか、なかなか学校が変わりにくいという現状を目の当たりにして、「内側ではなく外側からアプローチできる企業はないかな」ということでのEdTech系の企業に就職しました。
――珍しいキャリアだと思うので、色々伺っていければと思います。まず大学を卒業後2年間海外にいらっしゃって、1年間はいろんな世界の学校を周ったんですか?
はい、最初の1年間はアジアやアフリカ、ヨーロッパなど35~6か国くらい行きました。
教員として何も経験がないまま子ども達の前に立っても自分の武器がないなと思い、それなら海外の学校や教育環境や文化、価値観などを吸収して子ども達に還元できればという風に考えて世界中を周りました。
もう1年間のオーストラリアは、アジア圏の語学力の高さに衝撃を受けたことから、英語の勉強をしようと思いました。
中国や韓国で出会った人たちが、小学生のときに英語をしっかり学んでいて、留学経験もないのに割と喋れる方が多かったんです。
今後、日本でも小学校で外国語の授業が入るのはわかっていました。自分自身も小学校の段階で子ども達に英語を好きになってもらいたいと思い、もっと英語を話せるようになるために勉強しました。
――行く前は「いろいろ見にいこう」と思っていったけど、行ってみたら「アジア圏、思ってたより英語がすごい」と実感されたんですね。学生の頃から卒業したら外国を周ろうと決めていたんですか?
はい、3回生の頃から考えていました。
今後外国語やプログラミングが必要となるのはわかっていたので、このまま教員になってしまってはまずいという危機感がありました。
――教員になることはそれ以前から決められていたんですか?
はい、それは中学生くらいから決めていました。
中学で恩師と出会って、その先生がすごい大好きで。誰に対しても平等だし、「こういう仕事がいいな」と思いました。
私の親が幼稚園の先生をしていて、「教員は毎日1日1日が同じことじゃなくて、彩りのある世界だよ」という話を聞いていて、魅力に感じていたこともあります。
――帰国されてから小学校に勤務され始めたと思います。教員免許は小中高でお持ちかと思いますが、小学校を選ばれたのはなぜですか?
自分勝手な印象かもしれませんが、中学校・高校だと英語が苦手な子、嫌いな子が多いという印象があって。
小学生のうちに英語の楽しさを、「英語が話せるといいことがあるんだよ」とか「英語を使いたい」とかっていう素地を身につけて、中学や高校でさらに磨いていって欲しいと思いました。
僕は素地の部分を教えたいなと思い、小学校を選びました。
――当時、小学校で英語の授業は固定であったわけではないですよね?
僕が教員になった時は、「外国語活動」で総合的な学習の一環でした。去年(2020年)から教科化されて、現在は「外国語」として時間割にも入っています。
教員になったタイミングでは科目ではありませんでしたが、世の中の流れ的にも必ず英語は入って来るとわかっていましたので、小学校を選んだ感じです。
――それで小学校教員として7年間勤められたんですね。ご経歴の中で特に「ICT教育の推進」をアピールされていたと思いますが、どういったことをされていたんですか?
僕が入ったタイミングはICTの黎明期で、プロジェクターが教室にあるかないかぐらいの時でした。
先生もトークアンドチョークで、プロジェクターやPowerPointを使った授業はほとんどなかったので、プロジェクターの使い方を教えるところからICTの研修担当としてやっていました。
あとはパソコンの管理、子ども達に使い方を教える研修をしたりですね。
――学校のICT導入はスムーズにいくものなんですか?
ICTは苦手な先生がすごく多いので、全然ですね。
それこそプロジェクターの線をどこに繋ぐかで始まり、プロジェクターをパソコンに繋げる、繋げても画面が斜めになってしまうなどトラブル続出で難しかったです。
――外国語やICT(情報)など、新しく推進していく分野を担当されていたんですね。海外に行って自分自身もオーストラリアで勉強されてから実際小学校の教員になって、理想や考えられていたことは実行できましたか?
対子どもであれば、海外の経験も英語の授業もICT授業も自分の経験や知識を還元できることは多かったです。「いってよかったな」と本当にいろんな意味で思いました。
一方、対大人では、学校は本当に旧態依然としてて、プロジェクターを使った授業をするにも隣のクラスや学年主任の先生、校長先生など管理職に許可を取るといった根回しが必要で、自分のスキルを100%発揮するにはかなりの労力がいるという難しさはありました。
――そういった学校内コミュニケーションの難しさは学校特有なんでしょうか?それとも教育委員会なども関係ありますか?
権限は割と学校にありますね。校長がトップダウンでICT普及させるとか、GIGAスクールをどんどん推進するとか言えば、予算も下ります。
ただその協力は僕の経験が浅いということもあり、なかなか難しかったです。
――たしかに難しいですよね。民間でも、例えば社内ロジックで「本当はやった方がいいことがなかなか進まない」みたいなことがあったりします。それは転職しようと思われた理由になったんですか?
転職理由はいろいろあるのですが、1番のきっかけになったのは新型コロナウイルスの感染拡大です。
2013年のPISA(国際学力調査)の結果が悪かった際の方針変更とか、今回のコロナ影響で進んだGIGAスクール構想とか、外側からの明らかな結果や影響があると、学校は意外とすぐに変わることを感じて。
自分は7年前から言っていたけど、内側からこれを変えることは難しいと思い、外側からアプローチできたらと思いました。
学校の仕事自体はすごく大好きでした。学校が嫌だというのは全くなかったのですが、教育を前に進ませたいという思いが強かったので退職を決めました。
――ルートとしてどちらが早いかという話で、自分のやりたいことを実現するには内側よりも外側からアプローチした方が早いと考えられたんですね。
――最近は学校の先生の働き方について、厳しい意見も目立ちます。森山さんの働き方はいかがでしたか?
時期や人、業務内容にもよりますが、ICTや外国語、最近だと特にGIGAスクールを担当されている先生は本当に忙しいと思います。
僕は初任から7年間、ほとんど土日も休日も関係なく働いていましたね。
家のソファーに座ったのは1年に1、2回くらいで、ほとんど机に座って何か仕事をしていました。
ただすごく仕事が好きだったし、頑張った分子どもは反応してくれるので、あまり苦ではなかったです。
やらなければいけないことというより、やりたいことをやるための仕事をしていましたね。
――平日の出勤・退勤時間はどのくらいだったんですか?
僕は他の先生に比べて異常だったんですけど、早いときは朝6時出勤、退勤は22~23時とかザラです。
他の先生は公立学校だと要領もわかってくるので遅く来て早く帰られる方もいます。そういった方だと、朝8時過ぎに出勤して、17時30分頃には退勤されてました。
――勤務時間は人による部分も大きそうですね。年収は転職を考えた段階でどのくらいでしたか?
額面で550万円くらいでした。
転職を考えたきっかけ
――31歳で転職されたと思うので、年収550万円はものすごい良い訳ではないですけど結構もらっている感じですね。働き方や条件面に不満はなかったんですか?
これは退職理由の1つになりますが、教員の仕事って誰と組むかによってすごく変わってきます。
小学校の教員は必ず学年主任2人か3人かと組むんですけど、例えば学年主任の仕事が遅いと待たないといけないですし、言い方は悪いですが要領が悪かったらそこに合わせないといけません。
ICTを使う授業をしたくでも、学年主任がノーと言うと使えないし、さらに管理職がそういう人だとそこに左右されるので、しんどくなる人はいると思います。
――管理職の先生がすごくICT推進派とかだったら、ひょっとしたら転職しなかったかもしれないですか?
分からないです・・・けど、現状を見てると辞めていたかなとは思います。
――なるほど、教員は人によって左右される仕事ということですね。今はGIGAスクールで「学校は変わらなければならない」とすごく言われていると思うので、教員の方も推進していかなきゃという意識があるのかなと思っていたんですが、そうでもない先生もいるんですか?
でもコロナ禍でやらざるおえない状況になったことで、GIGAスクール構想やICTは確実にプラスに影響したというか、ICTもほぼほぼ普及したと思います。
AI教育スタートアップへの転職活動
――森山さんは教員として働かれながら転職活動しようと思われてたんですか?それともとりあえず1回教員を辞めてしまおうという感じですか?
2、3年前から辞めようかなと考えていたので、とりあえず教員をやめてから転職活動を始めました。
――転職しようと思われてから、まず初めにどういったことをされました?
元々は起業を考えていたのですが、情報や人とのつながりが大事な世界で、自分1人で教育のことに携わるのは難しいと痛感しました。
それで自分のように本当に教育を変えたい、前に進みたいと考えている企業はないかと思っていた時にEducation Careerと出会って、今の転職先を紹介してもらいました。
――転職ありきというより、外側から何かよりよくできることの手段の1つに転職があったということですね。弊社以外の転職エージェントにご相談はされなかったんですか?
「ここでダメだったら難しいのでもういいかな」「1回1人でやろう」と思っていたので、Education Careerのみです。
――弊社と面談をして、いくつか会社をご紹介したと思うんですが、選考を進めた会社はどのくらいあったんですか?
2社だけです。1社は書類でダメで、もう1社は今入社した会社です。
――入社された企業の面接は何回でしたか?どのような印象だったか教えてください。
面接は合計2回でした。すごく話しやすい空気を作ってくださったので、思ったより緊張せずいつも通りの感じで話せましたね。
――転職先の教育系スタートアップではどのようなお仕事をされているんですか?
主に学校向けのAI(人工知能)を使った教材を提供している企業で、教材開発をしています。
――教材開発は教育業界で人気のあるポジションで、経験者が求められることが多いですよね。森山さんはご自身がプラスに評価されたのはどのような点だったと思いますか?
子ども達が「どんな問題作ったらわかりやすいかな」という視点は十分教員時代に養われました。今も教材を作っているので、こういった視点はプラスになったと思います。
あとICTの研修担当だったこともあり、なかなか動かない、ICTに苦手意識がある方がたくさんいる中で、どうしたらそういう人を動かせるかも常に考えていました。
現在も学校とは関わる部分があるので、先生にどうやったらAI教材を使ってもらえるかというアプローチの仕方も、少し似ている部分があるかなと思います。
――「出版社で教材を作っていた」みたいな経験はなくても、学校現場でのご経験が活かせているんですね。現在の転職先から内定をもらった後、迷わず入社を決められたんですか?
はい、迷わず決めました。
選考を受けている時からその企業のありとあらゆる情報を調べていて、YouTubeをみたりネットの記事を読んだりしているうちに、ここで働きたいとすごく思うようになりました。
なので選考の途中から「ここがいい」となってましたね。
――内定が出た際のオファー(年収)はどのくらいでしたか?
教員時代(550万円)と同じか、ちょっと上くらいです。
――教材制作という職種自体は未経験であることを考えると、年収アップされたのは良かったですね!それも迷わず意思決定できた理由の1つになったかもしれないですね。
でも年収は内定決まった後にわかったことです。元々、条件はもっと低かったのですがそれでもやりたいと思ってました。
なのでオファーを見て、「あれ?ありがとうございます!」みたいな感じでした(笑)。
――弊社からご紹介する前に、転職先のことはご存じでしたか?
はい。教員時代から企業のことは知っていましたが、求人を募集していることは知りませんでした。
――まだご入社されて1週間もたっていないと思いますが、印象はどうですか?
いい製品を作りたい、学校を前に進めたいという本当に熱い思いを持たれている方ばかりで、いるだけで成長できると言うか、充実した毎日です。
紹介していただいて本当にありがとうございます!
――こちらこそありがとうございます!企業と目指している大きな姿が一致していると、やりがいを感じやすいですよね。
転職活動を振り返って
――最後に、転職活動を振り返って、今後転職活動をする方に向けたアドバイスを頂けますか?
最低限、転職先の企業は調べ尽くして、その企業だけではなく競合他社のことも調べておけばよかったなと思っています。
業界全体を俯瞰で見られるので、企業も競合も、そこを取り巻く部分も調べたらいいのかなと。
そこで方向性が同じだったり、自分が目指す場所だと思えれば、ぜひ応募すれば良いと思います。
――「ありとあらゆる情報を調べた」と仰って頂きましたが、それをやらない人も結構多かったりするんですね。なのでまずそれは絶対やっていただいた方がいいですし、その会社だけ調べてもわからないこともあるので、競合を調べるのもすごく有効な方法ですよね。
調べている中で「競合の方が良いな」と思うこともあるかもしれません。はっきり優劣がつくというより「この点はこっちの方がいいな」というのもあると思います。
僕の場合は競合も調べた上で、現在の転職先が良いと思いました。
――調べたうえでそう思えたら素晴らしいですし、競合との違いがわからなければ面接などで聞いてすり合わせればいいし、比べることはすごく大事ですね。本日はお忙しい中ありがとうございました!
教育業界への転職でEducation Careerを活用する4つのメリット
弊社は教育業界専門の転職サイト・転職エージェント「Education Career」を運営しています。
ここでは、転職活動において弊社を活用頂くメリットをご紹介します。
①独自の求人やテーマに合わせた求人を紹介可能
教育業界専門の転職エージェントだから、他のエージェントでは積極的に紹介されないような求人(教材制作/学校営業/スクール運営/各種企画職)もご案内いたします。
- EdTech(教育×テクノロジー)
- STEAM教育
- グローバル人材育成
- 社会人教育
などの関心領域に合わせてご提示することも可能です。
②面談を通した、個人にとってよりよいキャリアを提案
弊社では、弊社オフィスにお越しいただくか、電話/ビデオ通話等での面談を必須としています。
面談を通じて、
- 教材作成や企画にチャレンジしたい
- 年収をあげたい
- 土日休みの仕事がしたい
- 夜遅い勤務を日中勤務にしたい
といった要望、条件を伺った上で、よりよいキャリアの選択肢を提示するためです。
※ご紹介可能な求人はご経歴や、タイミング・時期によって変動いたします。状況によっては転職をおすすめしないこともあります。
③豊富な実績を元に、書類作成、選考対策をサポートします
- 学校の先生/教員
- 学習塾の講師や教室長
- 各種の教材制作/編集
- 教育関連業種での営業
- ITエンジニア
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などなど多くの方々の教育業界での転職を支援しております。
出身の職種特有の書類の作成や面接対策も行っています。
教育関連の企業に興味はあるが、知識や経験がなくどのようにするべきかわからないという方は、弊社にご相談頂ければコツやポイントをお伝えします。
④利用は無料!相談=転職ではなく、中長期的なキャリア相談も可能
弊社のご利用は全て無料です。
また、転職相談・面談を行ったからといって、求人に応募しなければいけないわけではありません。
ご要望やタイミングに合わせて、転職活動の開始時期等もアドバイスさせて頂き、支援いたします。
今すぐではないが、今後考えているという方のキャリア相談も歓迎しておりますので、お気軽にご相談ください。
早期の活動開始と事前準備が転職成功のカギ!お早めに相談ください
ご自身が納得され、条件的にも満足出来るような転職活動を行うには、
- 情報収集
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ただ弊社の感覚値、90%以上の方の準備が不足しています。
準備を行えば採用につながる可能性がある場合でも、準備不足によりお見送りになってしまうケースがあります。
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特に弊社は、教育業界における実績が多数ございますので、業界特有、個別の企業に対する対策を行えます。
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