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2025-01-23 2025-09-09

通信制高校が増加している背景・要因を解説

ここ数年、日本国内で通信制高校の数が増加し、その背景や要因含めて、動向が大きな注目を集めています。不登校やいじめへの対応といった従来のニーズに加え、IT技術の進展や働きながら学べる柔軟な環境を求める声が高まったことで、従来の「学び」の在り方自体が変わりつつあるからです。

この記事では、こうした通信制高校の増加現象について、最新の統計や校数・生徒数の実態から、その背景にある教育ニーズの多様化、ICTの普及、制度面の柔軟化などをまとめています。あわせて主要な通信制高校の特色や今後の課題にも触れ、通信制高校を取り巻く現状を俯瞰的に把握できるよう構成しました。

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この記事の監修者

佐久間 健光

株式会社ファンオブライフ取締役兼創業者 前職ではオンライン学習サービスの立ち上げ・事業推進を行う。2015年、教育業界専門の転職エージェント「Education Career」を運営する株式会社ファンオブライフを創業。大手~スタートアップなど多様な教育事業社の採用支援、年間数百名の教育業界出身者のキャリア支援を行う。

通信制高校を取り巻く全体像と統計的事実

高等学校全体の数と種類

文部科学省「学校基本調査」などの公的統計を参照すると、日本の高等学校は大きく以下の3形態に分けられます。

  1. 全日制
  2. 定時制
  3. 通信制

令和4年度・令和5年度の速報値を概観すると、全国の高校の総数は約4,800~4,900校程度です。内訳は概ね以下のようになります(年度により多少の変動あり)。

  • 全日制: 約3,100~3,200校
  • 定時制: 約250~300校
  • 通信制: 約200~210校

少子化の影響により、全日制・定時制はいずれも長期的には減少傾向にあります。

一方、通信制高校は2000年代初頭には全国で150~180校程度だったものが、近年は200校超まで増加し、特に私立の新設が顕著になっています。

通信制高校の生徒数

  • 全国の通信制高校の在籍生徒数は、令和元年前後で約18万~20万人とされていましたが、最新の調査では21万人を超える水準に達していると報告されています。
  • 全日制高校の生徒数は少子化の影響で約300万人弱→280万人台へと減少しており、通信制は相対的に緩やかですが増加傾向を維持しています。

他の学校種との比較

  • 大学: 国公私立合わせて約800~810校。短期大学を含めると合計で約1,000校弱。少子化や地方私大の定員割れなどが社会問題化する一方、通信制課程(放送大学など)を含む「柔軟な学び方を提供する大学」も増えています。
  • 専門学校(専修学校専門課程): 約3,300校前後。就職や職業教育との直結性が高く、高校卒業後の進学先として根強い需要があります。通信制高校から専門学校へ進む生徒も少なくありません。
  • 小・中学校: 小学校約19,000校、中学校約9,000校。いずれも少子化で統廃合が進む地域がありますが、高校ほどの減少率ではなく、自治体によって差が大きいのが特徴です。

通信制高校が増加している主な背景

教育ニーズの多様化

不登校やいじめ対策の受け皿

不登校やいじめなどの理由で従来の全日制や定時制へ通うことが困難な生徒を受け入れる柔軟な仕組みが必要とされています。通信制高校は「スクーリング(登校日)」を必要最低限に抑えたり、オンライン中心で学習を進めたりすることが可能なため、こうした生徒の学びの場として注目を集めています。

プロ活動や芸能活動との両立

スポーツ選手や芸能活動をしている若者にとっては、レッスンや試合の遠征など不定期に行われる活動が多いことなどから、時間や場所の制約が少ない通信制の方が通学しやすいです。このため、多くのタレントやアスリートが通信制高校を選択するケースが増加しています。

社会人の再学習ニーズ

「高卒資格の再取得」や「学び直し」を希望する成人層も一定数存在します。定時制高校に通うよりも通信制の方が時間の融通が利きやすいため、社会人が学習する舞台として通信制が選ばれやすくなっています。

IT技術の進展とオンライン学習

ICTの活用

近年のスマートフォンやタブレット端末の普及、クラウドサービスや動画配信技術の進歩により、オンライン上で授業を受け、レポートを提出し、フィードバックを得る仕組みが整備されつつあります。かつては「通信制=独学」「サポートが少ない」といったイメージが強かったのに対し、現代ではオンライン教材・映像授業・双方向コミュニケーションなどが充実し、通信制でも質の高い学習が行いやすくなりました。

民間企業の参入

IT企業や教育関連企業が学校法人と提携して通信制高校を設立する事例が増加しました。

特に、プログラミング教育やデジタルスキルの育成を前面に打ち出している学校はメディアでも頻繁に取り上げられ、通信制に対するイメージを大きく転換する役割を果たしています。

行政施策と制度の柔軟化

単位制・学年制の弾力化

文部科学省が進める教育制度改革の一環として、高等学校教育で単位制クレジット制の柔軟な導入が進み、通信制でも生徒一人ひとりの進度に合わせた学習計画を組みやすくなりました。
また、スクーリングの回数や形態、オンライン授業の活用など、法律や省令レベルでの規定も段階的に緩和され、通信制が教育の一選択肢として認知されやすい環境が整いつつあります。

私立通信制高校の設置基準の見直し

私立学校法や学校教育法の改正を受け、私立通信制高校を新設・運営するための要件が明確化され、IT企業・教育事業者・学習塾などが学校法人を設立(または既存法人と連携)しやすくなりました。これにより、ここ10年ほどで私立通信制高校の新設が続き、通信制全体の校数が増加した背景があります。


具体的な校数・生徒数の概況

学校数

  • 全体: 高等学校は総数約4,800~4,900校。このうち通信制は約200~210校
  • 国公立通信制: 大きく数は増えていませんが、都道府県立など公立の通信制高校は約90~100校前後
  • 私立通信制: 残りの約100~110校前後が私立通信制高校と推定されます。近年、新設校のほとんどが私立であるため、今後も私立の割合は増える可能性があります。

生徒数

  • 通信制高校の在籍生徒数: 総数で21万人前後とされ、10年前と比較して漸増傾向にある。
  • 全日制高校の在籍生徒数: 約280万人台(ピーク時は300万人超)。少子化に伴い、毎年数万人単位で減少。
  • 定時制高校の在籍生徒数: 約9~10万人前後。こちらも少子化やスクール形態の再編などで横ばい〜微減傾向。

主要な通信制高校と特徴

ここでは日本国内で規模や知名度の高い通信制高校を代表例として挙げます。

N高等学校(N高)

  • 運営母体: KADOKAWAグループとドワンゴが共同設立。
  • 教育形態: 完全オンラインを中心にした学習システムを整備。動画授業、チャット・ビデオ会議での指導などが特徴。
  • 特徴: プログラミングやITリテラシー教育に力を入れ、デジタルネイティブ世代の学習ニーズを捉えている。大規模な生徒数を抱える。

NHK学園高等学校

  • 運営母体: NHK学園。日本で最初の広域通信制高校として設立。
  • 教育形態: 伝統的なテレビ・ラジオ放送授業やテキスト学習をベースに、近年はインターネット講座も導入。
  • 特徴: 1962年設立という歴史と信頼感。全国規模で学習センターや協力校があり、社会人や地方在住者にも学びやすい環境。

KTCおおぞら高等学院

  • 運営母体: 学校法人KTC学園。サポート校として全国にキャンパスを展開。
  • 教育形態: 屋久島おおぞら高校の通信制課程との連携。オンライン学習と通学(スクーリング)のハイブリッド。
  • 特徴: カウンセリングやメンター制度などの手厚いサポート。海外留学プログラムや国際交流にも注力。

鹿島学園グループ(鹿島学園高等学校・鹿島朝日高等学校など)

  • 運営母体: 学校法人鹿島学園グループ。
  • 教育形態: 通信制課程と全国各地の学習センターで対面サポートを組み合わせ。
  • 特徴: 生徒数が非常に多く、転入・編入の受け入れも柔軟。スポーツ・芸能・専門コースなど多彩なカリキュラム。

通信制高校の拡大に伴う課題と今後の展望

生徒の学習継続とサポート体制

通信制では、自主学習やオンライン学習が中心となるため、学習意欲の維持孤立感の防止が課題となりやすいです。近年、多くの通信制高校がカウンセラーやメンター、学習コーチの配置を強化し、オンラインでも双方向コミュニケーションが可能なシステムを導入するなど、離脱防止策に力を入れています。

教育内容・質の格差

学校によって指導体制やサポート内容に大きな差があるのは否めません。特に新設の私立通信制高校の中には、ICT環境や指導人員の質が十分でない場合もあるため、文部科学省や第三者機関による外部評価の強化や情報公開の充実が一層求められています。

社会人の再学習需要

生涯学習やリカレント教育の重要性が叫ばれるなか、高校卒業資格を持たない成人の受け皿として通信制高校が期待されています。今後、社会人が働きながらでも利用しやすいよう、学費負担の軽減措置やオンライン講座のさらなる拡充などが検討課題となっています。

キャリア教育や進路サポート

通信制高校では、大学進学専門学校進学だけでなく、就職や起業など多様な進路希望が存在します。生徒一人ひとりの状況に合わせたキャリア教育や就職支援が重要であり、その成否が学校の評価にも直結します。

まとめ

  1. 統計的事実
    • 高等学校の総数は約4,800~4,900校で、全日制・定時制が少子化の影響で減少傾向をたどる一方、通信制高校は200校超に達し、私立を中心に増えている。
    • 在籍生徒数は21万人前後まで拡大し、10年以上にわたって緩やかな増加傾向が続いている。
  2. 通信制高校増加の背景
    • 不登校やいじめなどで全日制・定時制が難しい生徒の受け皿としての役割、プロ活動や芸能活動と学業を両立したい層、社会人の学び直し需要などの多様化するニーズが大きく影響。
    • ICTやオンライン学習の普及、文部科学省による制度の柔軟化、私立通信制高校の新設などが重なり、通信制への関心が高まっている。
  3. 主要な通信制高校の特徴
    • N高等学校をはじめとするICT先進校、NHK学園高等学校のような歴史ある安定校、KTCおおぞら高等学院や鹿島学園グループのように広域ネットワークと手厚いサポートを誇る校など、多様な形態が揃っている

最後に

通信制高校は、不登校・いじめ・プロ活動との両立といった従来からのニーズに加え、ICTを活用したオンライン学習の普及や社会人の再学習需要を背景に確実に存在感を高めている教育分野です。

少子化の影響で全日制の数・生徒数は減る傾向にありますが、通信制のみは一定の伸びを維持しており、今後も私立通信制を中心とする市場拡大が予想されます。新設校の質とサポート体制の向上が重要なテーマとなる一方で、社会の多様な学習ニーズを支える一端として、通信制高校はますます注目される存在となるでしょう。

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この記事の監修者

佐久間 健光

株式会社ファンオブライフ取締役兼創業者 前職ではオンライン学習サービスの立ち上げ・事業推進を行う。2015年、教育業界専門の転職エージェント「Education Career」を運営する株式会社ファンオブライフを創業。大手~スタートアップなど多様な教育事業社の採用支援、年間数百名の教育業界出身者のキャリア支援を行う。

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