2025-05-19
「規模」より「質」。教育ベンチャーに転職して気づいた少人数制教室運営の魅力
大手の個別指導塾で講師と教室運営を経験した加藤さんは、新卒以来、塾業界でキャリアを築きながらも、校舎ごとの働き方の違いや職場環境に悩み、転職を決意。
500名以上が通う大規模校舎から20名ほどの小規模な教室運営にシフトしたことで、生徒一人ひとりに寄り添える充実感を手に入れました。
「規模」ではなく「質」を求めた転職活動の軌跡や、教室運営職を選んだ理由、転職エージェントを活用して1か月で内定を得るまでのエピソードを、詳しくお届けします。
この記事の監修者
Education Career 編集部
教育業界専門の転職エージェント「Education Career」の編集部です。年間で数百名の教育業界出身者の転職やキャリアの支援を行う転職エージェントとして、教育業界での転職活動やキャリアに役立つ記事を更新しています。
目次
新卒から現在まで2社の学習塾運営企業に勤務
—まずは自己紹介をお願いいたします。
大手の個別指導塾で教室運営と講師を務めておりました。現在は別の塾で教室運営に携わっています。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
—1社目は個別指導塾とのことですが、対象としていた学年はどのような範囲でしたか。
生徒の対象はかなり幅広く、小学生から高校生まで、中学受験から大学受験まで対応していました。
—業務内容の詳細を、まずはご説明いただいてもよろしいでしょうか。
前職では「教室運営」と「講師職」がはっきり分かれていまして、講師職は生徒への授業を提供すること、教室運営は保護者対応や生徒の進路相談などを担当します。私は両方を経験しましたね。
—入社当初は講師専任、ある時期は教室運営専任と、期間によって役割が変わった形ですか。
はい、その通りです。
—講師職の際は、教科指導はすべてを担当されていたのでしょうか。
私は文系科目を主に教えていました。
—1日に担当される生徒数はどれくらいでしたか。
1日あたり3~4人の授業を担当していました。小学生の割合が多かったと思います。
個別指導講師から教室運営へとキャリアチェンジ
—教室運営職では、どのような 業務をされていたのでしょうか。
教室運営職は教室に関わる業務全般を担当します。たとえば教室の美化や清掃、掲示物の作成などのほか、営業成績の管理も行います。
生徒が週に何コマ通うか、講習期間に何コマ取るかを講師と相談しながら保護者に提案する“営業”的な部分も含まれます。また、アルバイト講師の研修にも力を入れていましたね。
—講師職に比べると、業務の幅がかなり広がった印象ですね。
そうですね、かなり広がりました。
—教室運営への異動は加藤さんご自身から希望された形でしょうか。
はい、私から希望しました。
—講師職から教室運営職を志望された理由は何でしょうか。
率直に言うと、まずは給与面が大きかったです。教室運営職のほうが給与が上がりましたし、アルバイトを含めて講師を数年以上務めていたので、新しいことにチャレンジしたいという思いもありました。
—実際、保護者への提案やアルバイト講師のマネジメントなど、新たに覚えることも多かったのではないでしょうか。
そうですね。特に保護者対応は難しかったです。
保護者の皆さまはそれぞれ異なるニーズをお持ちですので、オーダーメイドのカリキュラムを提案していくのが個別指導の強みである一方、生徒数が増えると「このご家庭にはどう対応していたか」を把握するのが大変でした。
また、アルバイト講師の研修にも力を入れました。講師の背景が多種多様なので、均一なサービスを提供するためにはしっかり研修を行う必要があると感じました。
—担当する生徒数も増えたかと思いますが、当時加藤さんがいた教室はどれくらいの規模だったのでしょう。
前職の中でも最大規模の校舎だったので、500名以上いました。
もちろん私一人ではなく、複数の社員で手分けしていましたが、それでも非常に多かったと思います。
転職のきっかけは「別校舎への異動」
—講師から教室運営へとキャリアアップを重ねてこられたわけですが、当時転職を考えられた背景を教えてください。
私が新卒で最初に配属された校舎は、チームが一丸となり、会社の方針に忠実に取り組むことが求められていました。私はそこに強く共感していたんです。しかし、その後別の校舎に移ったとき、会社の方針と現場の動きがかけ離れていて……。
同じ方向を向いて仕事をすることが重要だと考えていましたので、環境を変えたいと思い、転職を決意しました。
—同じ会社なのに1校舎目と2校舎目で方針がまったく違うと感じられたんですね。
おっしゃる通りです。
—生徒数が多いということもあり、1社目の働き方はどんな感じだったのでしょうか。
基本的には午後出社で、14時出勤・22時退勤というスケジュールでした。その中で休憩1時間が与えられてはいましたが、なかなか調整が難しく、実際はあまり休憩できていなかったです。
—残業はどの程度ありましたか。
最初に配属された校舎は「定時にあがろう」という空気感でしたが、異動先は「残業してでも仕事を進めよう」という雰囲気でした。校舎によって働き方がけっこう変わるんだなと思いました。
—実際に転職活動を始めたのは、1社目に何年在籍した頃だったのですか。
3年目になります。
一度は教育に見切りをつけるも、転職の軸を見直し再スタート
—当時、まず転職を考えたときに何から始めましたか。
最初は業種・職種を変えることを考えました。
ただ、自分のやりたいことやできることを考え直してみると、自分の経験やスキルを生かして他の人の役に立ちたい、という軸が明確になりました。
それで改めて教育業界で挑戦しようと思い、教育業界での転職を決意したんです。
—教育業界に狙いを定めて転職活動を始めたときは、どのように進めていかれたのでしょうか。
まずはインターネットで検索して、大手の転職会社を中心に利用を考えていましたが、転職の軸が固まった後は「教育業界の転職」に絞って調べるようになりました。
そこでEducation Careerを知り、利用することにしたんです。
—弊社のEducation Career以外にも転職エージェントは利用しましたか?
ほかのエージェントには個別相談のみで、電話で状況を伝えてアドバイスをもらう程度でした。
—Education Careerからはどのような求人が紹介されましたか。
印象に残っているのは、やはり学習塾の教室運営業務と、学校法人などでの職員の求人ですね。
—その両方とも、加藤さんの中では教育に携わるという意味で興味はあったのでしょうか。
そうですね。以前の職場の条件とも比べやすかったです。
—最終的に書類選考を進めた企業は何社くらいあったのか覚えていますか。
書類選考を進めた会社は2~3社で、面接まで進んだのが2社でした。
—数ある紹介の中でも、比較的絞り込んでエントリーされたのですね。
はい、私なりにかなり絞ったと思います。
自分の求める条件と合致するかを大前提に、何より自分の知識や経験を活かして人の役に立てるかを重視したので、結果的に数が少なくなりました。
—実際に選考でお話を聞いた企業への印象はいかがでしたか。
2社とも受けましたが、方向性が全然違う会社でしたね。
1社目は教育ベンチャー企業で面接もフラットに進み、私の経験を深く掘り下げてくれましたし、選考スピードもとても速かったです。
もう1社は昔ながらの大手塾で、塾としてはスタンダードな印象の会社さんでした。
前職で大切にしていたのは、同じ方向を向きながらも各担当を尊重して進める「チームで物事に取り組む」考え方でした。
大手のスタンダードな塾だと、「みんな同じことができるのが望ましい」という考え方なのかなと私は感じました。そこが自分の考え方とは合わなかったですね。
転職エージェントを通じた情報収集により選考準備が有利に
—教育ベンチャー企業は、選考を通じて働き方やスタンスに共感できたのでしょうか。
そうですね。会社のスタンスにはとても共感できましたし、何より選考のスピードが速くて助かりました。
—書類選考から内定まではどのくらいの期間でしたか。
1か月くらいだったと思います。
—選考回数は全部で何回ほどでしたか。
合計4回で、1回目が書類選考、残り3回が面接でした。
—3回の面接を受ける中で、加藤さんが大切にしていた働き方や会社のスタンスに関しては印象通りでしたか。
そうですね。事前に先方が「ここを聞きたい」というポイントを明確にしてくださっていたので、私の経験と照らし合わせながら、答えやすいよう準備を進められました。
—どのような質問があるかについては、ご自身で調査したのですか。
担当のエージェントから「先方はこういうことを知りたがっているようです」という情報をもらい、それをベースに組み立てておきました。
—結果的に内定を獲得され、現在は入社済みとのことですが、面接を通じてどのあたりを評価されたと感じていますか。
評価されたポイントは大きく二つあると思っています。
一つ目は、以前の職場で行っていた「アルバイト講師の研修内容を改善する」という取り組み。
二つ目は「チームで物事に取り組む」という姿勢ですね。新卒時代は業績面よりも、教室の美化に努めるなどの活動において他の新卒社員を巻き込んだところを、高く買っていただいたようです。
入社当初はフラットな企業風土に驚いた
—実際に入社してみた第一印象はいかがでしたか。
社員同士の役割が非常にフラットだと感じました。
立場や役職はもちろんあるのですが、社員同士のやり取りはそれにとらわれず、気軽に質問し合い、立場に関係なく回答してくれるんです。風通しの良い職場だなという印象ですね。
—1社目が大手の個別指導塾だったことを考えると、かなりのギャップがあったのではないでしょうか。
そうですね。いい意味でのギャップでしたが、最初は戸惑いもありました。
それまでは「役職」にウェイトを置いて社員同士のコミュニケーションを取ってきたので、「こんなに気軽に聞いていいのかな」と思うほどフラットで驚きました。
—現職も個別指導塾かと思いますが、教室では皆さん別々に業務をされることも多いですよね。風通し良くコミュニケーションを取るのはオンラインが中心なのでしょうか。
そうですね。オンラインでのやり取りが主になっています。
—オンラインの場に役職の方も一緒に入り、皆さんで意見を交換しているイメージでしょうか。
はい。加えて、分からないことがあればその分野に詳しそうな方をメンションして質問すると、タイムリーに返事がもらえます。
前職の大手塾では質問をするだけでも時間がかかることが多かったのですが、今の職場ではスムーズにやり取りが進むのでとても助かっています。
—入社後に感じたギャップなどはありましたか。
雰囲気自体は想像通りでしたが、私が今いるのは「一人教室」の形態なので、これまで複数社員で運営していた環境とは大きく違いました。
自分の裁量が増えたぶん、最初は戸惑いもありましたね。
オンラインツールも活用して保護者・生徒とやりとり
—現在担当されている教室は、生徒数としてはどれくらいですか。
20名ほどです。
—前職で最大500名の校舎を運営していたことを考えると、規模感がかなり異なりますね。
ええ。かなり違います。
—そのぶん、生徒や保護者と向き合う時間も増えたのでしょうか。
そうですね。保護者対応だけでなく生徒との関わりも増えました。以前は保護者とのやり取りが電話や面談だけだったので、それだけで時間を取られることが多かったんです。
今の職場はオンラインを活用して保護者とコミュニケーションを図れるので、以前より負担が減り、生徒へのサポートに時間を割けるようになりました。
—現職は保護者ともオンラインでのコミュニケーションが多いのですね。
はい。メッセージ機能などを利用しています。
—どのような面でやりがいを感じますか?
生徒に科目指導をするだけでなく、進路で悩んでいそうな子や学習面でつまずいていそうな子を見かけたら、個別に呼んで話を聞いてあげる時間が十分に取れるところですね。
課題を一つひとつ解きほぐしていくのは大変ですが、そのぶんやりがいも大きいです。
残業・給与など、働き方の面でも「転職して良かった」
—現職での働き方はいかがでしょうか。
今は12時半から出勤し、21時45分に終業します。
1日の勤務時間は前職より長めですが、土曜日の勤務が12時~18時45分なので、トータルで見ると以前と大差ないかなと感じています。
—残業はあまり発生していないのですか。
多少はありますが、大規模な残業はほぼありません。
—前職と比べて待遇面はいかがでしょう。
前職よりは良くなったと思います。正直、転職時には待遇についてさほど期待していなかったのですが、最終面接後のオファー面談で相談し、結果的に前職より少し上がりました。
—転職活動全体を振り返ってみて、一番大変だったことは何でしたか。
一番大変だったのは、最初の段階で軸を定めるまでに時間がかかったことです。
最初はいろいろな業界を検討していたので、そこにかなり時間と労力を取られてしまいました。「自分は何がしたいのか」を明確にする作業が大事なんだと改めて実感しましたね。
また、応募書類をしっかり読み込んで待遇面を確認したり、企業ホームページを見て会社の方針が自分の軸に合っているかを検証したり、そういった言語化のプロセスに手間がかかった記憶があります。
—もう少しやっておけばよかったと感じること、逆に「これは不要だったかな」と思うことはありますか。
私の場合、自分の「知識や経験を活かす」という軸にこだわり過ぎた部分があったと思います。
もう少し自分の強みを増やす意識をもって資格を取るなど、新しいスキルを習得する時間を確保できたら、さらに良かったのではないかと感じます。
逆に、条件をしっかり読み込んだ結果「合わないかもしれない」と思った企業は選考にこだわらず、早めに次へ進んでもよかったかな、と。あと、選考スピードが遅い企業にもあまり執着しなくていいと思いましたね。
ジョブマッチングはお互いのためでもあるので、そこに妥協しない姿勢が大切だと思います。
—もし再度転職する機会があった場合、転職エージェントは利用されますか。
ぜひ利用したいです。
一人で考えていると、自分の思考が客観的かどうか分からなくなるので、壁打ち相手になってもらえるのは大きいです。私が持っていない知見を教えてくださる点も頼りになりますね。
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前編:塾講師・教室長から教育業界での転職活動
後編:学習塾教室長からの転職活動で大変だったこと・入社後のギャップ
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