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2024-08-07 2025-01-28

「学習塾版のユニクロ」個別指導コノ塾が3年半で67教室まで急成長した理由【田辺理CEOインタビュー】

今回は、関東エリアを中心に学習塾「コノ塾」を展開している株式会社コノセル代表取締役・田辺 理(たなべ さとる)さんに、前後編に分けてインタビューを行いました。

前編では次のようなトピックについてお話をお聞きしました。

  • コノセルを創業した経緯
  • 自社サービスを導入できる教育環境の必要性
  • 「学習塾版のユニクロ」を目指す理由 など

ぜひ後編とあわせてお読みください。

この記事の監修者

Education Career 編集部

教育業界専門の転職エージェント「Education Career」の編集部です。年間で数百名の教育業界出身者の転職やキャリアの支援を行う転職エージェントとして、教育業界での転職活動やキャリアに役立つ記事を更新しています。

スタディサプリの事業開発責任者として5年間勤務

—今回は個別指導塾「コノ塾」を展開している、株式会社コノセル代表取締役の田辺 理(たなべ さとる)さんにお越しいただきました。まずは自己紹介をお願いします。

こんにちは、コノセルの田辺です。どうぞよろしくお願いします。
現在、コノセルを創って4年半ほどになります。

僕のキャリアのスタートは日本政策投資銀行でした。その後アメリカへ留学してビジネススクールに通いMBAを取得後、ボストンコンサルティンググループに入社しました。

それからQuipper(クイッパー)というオンライン教育系のサービスを作っている会社に転職し、6年ほど。Quipperは途中でリクルートグループに買収されたので、実は6年のうち後半の5年間はリクルートグループの一員として仕事をしていました。

オンライン教育でリクルートといえば「スタディサプリ」ですよね。

我々はリクルートから見れば買った会社で、僕らは言ってみれば「買われた身」だったのですが、リクルートは内外問わず仕事を任せる社風があります。

僕も縁あってスタディサプリのサービスの事業責任者をしたり、新規事業の責任者をしたりといった仕事をしていました。

自分も「事業をする側」になりたかった

—田辺さんが教育領域に関心を持ち、教育ビジネスに携わるようになった理由をお教えいただけますか?

ボストンコンサルティンググループで働いているときに、「自分も事業をする側になりたいな」と考えていました。

大きな企業に入ってその中で頑張るより、何か新しいものを創るような会社……今なら「スタートアップ」と言われる領域で何かをしたかったんです。

ただ当時から教育領域を狙い撃ちしていたわけではありません。

「社会のインフラに近い領域で、かつ課題をテクノロジーを用いて解決できる会社」をいくつかピックアップしたうちのひとつがQuipperでした。

創業者の渡辺さんもすごく面白い方ですし、当時、日本ではQuipperは非常に優秀なエンジニアを大量に採用できていると評判でした。

よい人がいる会社で面白い領域で挑戦をしているのであれば、面白いことになるんじゃないかなと思いQuipperを選んだのが、教育領域に入った理由です。

—はじめから教育領域を目指していたわけではなかったんですね。

そうですね。

学生時代に家庭教師や塾講師、通信教育の採点や電話指導など教育系のアルバイトは一通りしていましたが、特に教育で人生勝負したかったわけではありません。

—「社会的なインフラの課題をテクノロジーの力でよくすること」に、教育が入っていたということでしょうか。

可能性のひとつとしてはあるなと思っていました。

当時は教育テクノロジー系のスタートアップが流行っている時期でもありましたしね。

何回かその波があったうちのひとつに飛び込んだ感じです。

スタディサプリ時代の知見が今も役に立っている

—スタディサプリの事業開発責任者は非常に面白そうですが、当時の業務はいかがでしたか?

スタディサプリはダイレクトに消費者にサービスを売るビジネスと、学校に向けて教材を売る仕事のどちらも行っていました。

そのおかげで日本国内のデジタル教育領域をかなり幅広く見ることができたのが、当時一番良かったなと思うことです。

Quipperはインドネシア・フィリピン・メキシコの3つの国でも同じようなビジネスを展開していました。

スタディサプリでは自分たちでも色々とトライしながら、さらに参考になるようなインドや中国などグローバルに当時の「デジタル×教育」領域のサービスを見ることができましたね。

リクルートのお金や人材があったのでかなり幅広い挑戦ができましたし、「デジタル×教育」市場のさまざまな成功事例・失敗事例を見ることができたことで得た知見は、コノセルを創るうえですごく役に立っています。

よい教材を「使ってもらう」ことの難しさを実感

—田辺さん自身、EdTech(エドテック)サービスのど真ん中にいらっしゃったことで感じた課題はありましたか?

前提として、生徒目線でのデジタル教材というものは、使ってもらえれば紙の教材だけで勉強するよりは効率がよいことが多いなと思っていました。

読むだけでは理解が難しい人でも、動きや音声を含めて動画で説明されれば分かりやすいだとか、どの単元を勉強するかも自分で参考書を選んでページをめくってその中から決めるのではなく、教材側が自動的に提案してくれるだとか。

こういった筋の良さや効率の良さというのは、デジタル教材の良さだと思います。

ただ率直に言って、そこまでたどり着かない方や、たどり着いても離脱してしまう方が非常に多くて、本当に使ってほしい方に使ってもらうことの難しさを痛感しました。

関連記事:EdTech(エドテック)とは何か?読み方は?注目される背景やeラーニングとの違いを解説

普通の生徒でも「自分は勉強ができない」と思っている

—その課題感がコノセル創設につながった側面があるのでしょうか。

その課題を解くためにはスタディサプリを飛び出して、別会社で今やっているような挑戦をするしかなかったということが、起業の一番大きな背景です。

教材を使ってくれない生徒の話を聞いて僕が驚いたのは、非常に多くの生徒がインタビューしている初対面の僕に「自分は勉強ができない」と言うことです。

しかし話している分には、まったく普通の生徒なんですよね。

このような人たちに「正しいやり方で勉強できてなかっただけなんだ」と思ってもらえるような教育サービスを生み出すことに大きな価値があると僕は考えています。

それを実現するにはおそらくアプリをただ一生懸命作っていてもダメで、アプリを使ってもらう環境とセットで新しいビジネスにしなければいけません。

だからといってお客様である学校や学習塾に一緒にやりましょうと言っても、彼らは彼らでやりたいことがあるので現実的ではないと。

だったらもう自分たちで一回覚悟を決めて、ゼロから新しい教育機関を創らないといけないな、と。その時点で6年ほど教育サービスに携わっていたので、外からやっても変わらないなと感じていました。

新教材ありきで業務を設計できる環境が必要

—時間もかかりますよね。まったく変わらないわけではないかもしれませんが、教育業界の特性としてゆっくり変化するものかなと思います。

おっしゃる通りですね。僕、割とせっかちだったので、だったら思い切って自分たちでやってしまって、変化のスピードを加速させたほうが満足いくかなと(笑)。

教育機関をお客様にしてしまうと、現在の彼らのやり方に加えて僕らが販売するデジタル教材やツールを使うご提案をすることになりますが、それだと「いや、そんな忙しいことできないですよ」となってしまいがちです。

だったらもうゼロからコノセルの教材だけをやりきることを前提に、教室長の業務を設計せざるを得ないと考えました。

しかしそういう設計でやっていても、やはりまだ「教室長の業務がものすごく楽になりました」とは聞いたことがありません。

まだまだ日々改善することが多いので、こういったやり方でないと変化が起きないのかなと思います。

学習体験の変化を加速する

—それだけ変化が早いとサービスを受けるユーザーや生徒、保護者にもスピーディによりよい学習体験を届けていけますね。

そうですね。コノ塾は現在67教室ありますが、これだけ教室を出す機会があるということは、変化のスピードを加速できているということかなと思っています。

—コノセル社はビジョンに「学びを通じた一生モノの成功体験を、すべての人に。」。ミッションに「人と場とテクノロジーを融合させ、科学された教育を当たり前にする。」を掲げてサービスをどんどん展開していますよね。これらにこめた想いを、ぜひ田辺さんからお聞きしたいです。

まず教育が誰のためにあるのかと考えると、やはり基本的には学ぶ人のためにあると思います。

さきほどお伝えしたような「自分が勉強に向いていないと思っている人たち」でも、実は「学ぶことは自分に向いているんだ」と感じてくれたらとてもよいなと。

新聞やニュースでもよく取り上げられていますが、今は人生100年時代でリスキリングや学び続けることが求められている時代です。

そんな中、学ぶことを一番集中的に行う学生時代に学ぶ価値があると感じていなければ、大人になった後に学ぼうとは思わないでしょう。

ちゃんと自分に合った正しいやり方なら学ぶことができ、それが意外と楽しいかもしれないと思える人を増やすということは非常に大事だと思います。

コノセル社として目指しているのは、そういった機会をできる限りすべての人に届けるということです。

関連記事:リスキリングとは|注目されている背景や、リカレント教育との違いを解説

よい教育による成功体験を提供する

ではそれをどう実現するかというと、すべての人に届けると考えると、いくつか潰すべき障壁があると考えています。

ひとつはリアルな空間があることです。

僕たちは「一人では学びの継続が難しい人たち」をお客様にしたいと考えているので、リアルな空間でのコミュニティを大事にしています。

ただリアルな場を持つとどうしても値段がボトルネックになりますから、値段を極力下げて手ごろな値段でご提供することが次の障壁ですね。

値段を下げて、通いやすい場所に教室を持つことで、極力多くの方が続けられるものにしていきたいと思っています。

この理想を実現するための手段がテクノロジーです。

別に僕らはアプリを作りたいわけではなく、よい教育を受けてご自身なりの成功体験を見出す人を増やしたいんです。それを安い値段でできるだけ多くの方にちゃんと届けるためには、デジタルテクノロジーを使うのが一番筋がよい。

僕は、我々のメンバーのバックグラウンドを考えても、その流れで世の中に貢献できる可能性が高いと考えています。だからこそのビジョンとミッションですね。

目指すのは「学習塾版のユニクロ」

—AIなどテクノロジーが得意なところは任せて、人は人にしかできない所にリソースを割くのがよいのかなと思います。現在のコノ塾はテクノロジーを活用する一方、教室長など現場のパフォーマンスを高めることにも力を入れているのでしょうか?

教室長がどれだけ多くの生徒に打率高くよい体験を届けられるか、またその中でテクノロジーは何に貢献できるのかという考え方のほうが近いと思います。

生徒の体験を高めるのがテクノロジー活用のひとつの軸ですが、もう一方で従業員の満足度を高めることにもテクノロジーがどう貢献できるかを考えることが大切です。

変な話、テクノロジーではなくてもいいなら、そのほうがよいと思っています。

—田辺さんはさまざまなインタビューの場で「学習版のユニクロを創る」ということをよくお話されていますが、この言葉にはどのような想いや意図がこめられているのでしょうか。

25年前くらい、僕が中学生のころ、家の近所に「ダサい」ユニクロができたんです。

当時のユニクロはとても「ダサいもの」だったのですが、気づいたら原宿に店舗ができ、フリースのブームが来て、ジルサンダーと組んで……どんどんブランドイメージも商品のイメージも実際のクオリティも変わっていき、グローバルブランドに成長してきたのを僕は見てきています。

たとえば僕の奥さんの実家が函館にあるのですが、函館のユニクロに行ってもそこで手に入る商品は銀座のユニクロと基本的には同じですよね。

日本中どこに住んでいても、手ごろな値段でクオリティが高い衣服が手に入る状況を実現していますし、そのために会社としてサービスをずっと進化させ続けています。僕にとってユニクロはそういった象徴なんです。

—なるほど。

日本中誰でも同じクオリティかつ手ごろな価格でよい教育が受けられるというサービスが意外とない。だからこそそれを目指したいなと。

誰もがリーチできて、日本中どこでも一定以上のクオリティを担保している。さらに、その品質が磨かれ続ける。そういう要素を備えている存在として、僕らはよく「ユニクロ」と言っているんです。

—高品質なサービスを手ごろな価格でさまざまな方に届けるという点で共通項があるなと思いますし、それが実現できることは素晴らしいですね。

ありがとうございます。

500教室を視野に3年半で67教室までコノ塾を展開

—現在までコノ塾はどのように成長してきたのか、何年ほどでどのような状況になったのかを教えてください。

コノ塾は2020年12月に始め、現在まで3年半ほどで67教室になりました。

2022年が15教室、2023年が30教室開校しており、今年(2024年)はおそらく40教室ほど開校すると思います。

—すごいペースですね。今後の教室展開はエリアを限定して数を増やすのか、それこそユニクロのように全国津々浦々に拡大していくのか、中期的な観点ではどちらを目指していますか?

まず、今後もすべて直営で開校したいと思っています。他塾の方が僕らの話を聞くと「それFC(フランチャイズ)でしょ」とおっしゃるようなのですが……これまでもずっと直営で展開しています。

僕らがちゃんと面接をして、一緒に働きたい、教室をお任せしたいと感じた方に教室を見ていただきたいので、コノ塾は直営でしっかり伸ばしたいと思っています。

それを前提に、まずは東京・神奈川・千葉・埼玉といった関東をメインに開校していくことになるとは考えていますね。やはり直営で我々の目が届く範囲でやろうと思うと、最初はエリアを絞ったほうがよいと思いますので。

おそらくこの一都三県のエリアで500教室ほどは出せるのではないかと思うので、まずはこのエリアで「近所で手の届く価格で学びやすい」状況を実現することを重視していますね。

少子化&激戦区でも拡大できる戦略がある

—都市部で、少子化の世の中で、さまざまな学習塾が出店したり既存の教室があり、非常に激戦区だと思います。それでもコノ塾の「高品質な教育を手ごろな価格で提供する」というビジョンが受け入れられていて、今後も伸ばしていけるとお考えですか。

そうですね。

—今後も少子化の流れは止まらないと思うのですが、その状況の中で教育事業を中長期で成長させていくために、どのような方向性で戦略を描いていますか?

我々が市場のシェアを80%占めているのであれば、少子化は大問題だと思います。しかし統計上日本に5万教室あるうちの、67教室しか持っていませんからね。

僕らはまだまだ小さな存在なので、たとえ今後少子化で教室が1割減ったとしてもまったく問題ありません。

たとえば今1兆円の市場が少子化で9000億円になってしまったとして、その中の1%で90億円、3%で270億円という部分をどう取っていくかを考えるほうが、僕らのような立場であれば正しい見方ではないかなと思います。

—非常に貴重なお話をありがとうございました。

後編では、Education Careerを利用して株式会社コノセルに入社された方を交え、コノセルがどのような会社かについてより詳しくインタビューを行っています。

ぜひ後編もお読みください。

後編「生徒一人ひとりと向き合う…「個別指導 コノ塾」教室長のデジタルを活用した働き方【田辺理 CEO / 林直希 教室長インタビュー】」を読む

本記事の内容は動画でもご視聴いただけます
動画:「低価格で高品質な教育を」元スタディサプリ事業責任者が創業・ハイブリッド学習塾「コノ塾」誕生の裏側

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この記事の監修者

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教育業界専門の転職エージェント「Education Career」の編集部です。年間で数百名の教育業界出身者の転職やキャリアの支援を行う転職エージェントとして、教育業界での転職活動やキャリアに役立つ記事を更新しています。

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