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2016-03-12

FLENS社代表大生氏に聞く eラーニングの課題と場の力で学ぶ「edu3.0」とは

FLENS株式会社は、全国初のタブレット学習によるネットワーク対戦型サービスを提供しているベンチャー企業です。FLENS株式会社代表取締役の大生 隆洋(おおばえ・たかひろ)氏からお話を伺う機会をいただけたので、その内容をご紹介したいと思います。

”ネットワーク対戦型だからこそ取入れることができた「ゲーミフィケーション性」により、反復学習に付加価値を与えられたのが「FLENSコンテスト」。これが、子どもたちのやる気を引き出せる” 実際に利用している子どもたちからも”みんなと競い合える”、”ゲーム感覚だから楽しくできる”、”はやく解こうと思うから計算力が高まる”、といった声が聞かれるようです。

社内の新規事業から立ち上がったFLENS

大生氏は、大手学習塾である湘南ゼミナールのトップ講師であり、教務部長、事業部長、経営企画部長、取締役、を歴任。そんな大生氏が、「教育×ICT」の分野について考えた際、手元に「教育」はあったが「ICT」はない、という状況であったといいます。ITベンダーに多くのアイデアをぶつけても、「アイデアは面白いが難しいだろう」という反応が常だったそうです。

しかし、「無理だと言われるほどに火が付き、エンジニアを見つけてやってしまった」という大生氏。

なんと新規事業が立ち上がった際には、独立することまでコミットしていたとのこと。FLENSは、湘南ゼミナールの社内プロジェクトとして2010年に立ち上がり、2012年には資本的にも独立しています。2013年7月には、ベンチャーキャピタルから1億円の資金調達にも成功しており、サービスは湘南ゼミナールの他、全国の学習塾約100教室で展開されているとのこと。このようなスキームは、いま企業で働きながらチャンスを狙っているビジネスパーソンにも参考になるかもしれません。

これまでのeラーニングとFLENSの提供価値

当初、FLENSの事業を説明するとき、いつも 「eラーニングのようなもの」 という微妙な説明になっていた、と大生氏は語ります。それは、FLENSのサービスは、確かにIT技術を活用した学習機会を提供しているものの、従来のeラーニングとは大きく特徴が異なっていることに、その理由があります。
これまでのeラーニングの特徴は、「目標が明確で、やる気が極めて高い人に対して、コンテンツを提供しているもの」、「ICTを活用して、効率よくナレッジを提供しているもの」、「ターゲットとしてフィットするのは、半年後に留学する、昇進試験を控えている、途上国で学校にいけないなど、学ぶ意欲が高い人」、であり、eラーニングの本質的な価値は「いつでも、どこでも、ひとりでも」だと大生氏は分析しています。
「これは、ナレッジが欲しくてしょうがない人にとっては素晴らしい価値だが、現実に多いのは 「そこまでやる気に満ちあふれているわけでもなく、どちらかというと勉強は面倒」 という人であり、 「いつでも、どこでも、ひとりでも勉強できる。だから勉強しなさい」 と言われてしまうeラーニングは、いい迷惑だったのではないか」 という主張には、思わず頷いてしまいました。

では実際に、現実で必要な要素は何なのでしょうか。大生氏に聞きました。

「多くの小中学生は目標があいまいで、やる気は高くない」「小中学生の基礎分野は学習のプロセスとして非常に重要なのだが、その定着部分は、生徒のモチベーションがあがりにくい。「家で5回漢字を書いてくる」なんてことが好きな人は、そうそういるものではない」

「実は、基礎の定着部分は、先生もモチベーションがあがりにくい。きちんと身につけているかをチェックするようなテストをし、管理しているよりも、先生だって新しいことやチャレンジグなことをさせたいもの」

「脱ゆとりのなかで、学習密度が上がっており、消化不良をおこしてクラス内のばらつきが大きいのが現状」

ICTを活用して「効率よくモチベーションを提供する」という新しいセグメントを作らなければいけない。FLENSは、教育×ICTの新しいセグメントだと考えている

「そのために必要なのは、リアルな場、つまり学校の先生に褒められたり、リアルなライバル、つまり自分にぴったりのライバルから「あいつも頑張っている」「負けられない」という刺激、そして、リアルタイムの対戦による一体感やライブ感。これには時間制約もある」

「これらをいかに表現するのか、という手段としてICTを使っている。イベント性、エンタメ性の高いクラスを提供している」

「これらは、従来のeラーニングの提供してきた価値と真逆と言ってもよいもの」

ーーこれが冒頭のFLENSコンテストです。

学習の3階層構造とFLENSのユニークさ

大生氏は、更に本質的な学習の3階層構造についても話してくれました。

学習の3ステップ

1つめの「インプット」は、従来よくあるティーチング中心の授業や、通信教育。従来のeラーニングなど。書籍や大学の大講義室などで行われるプレゼンテーション形式の講義もこれにあたるでしょう。何も知らない状態から、知識を頭のなかに入れる段階です。

2つめの「プロセス」は、身につけるための演習トレーニングがあたる。地道な反復トレーニングが求められるところで、近年注目されるゲーミフィケーションなどは、ゲームの要素を取り入れることで、この段階をいかに楽しく、継続しやすくするのかに注力していると言えるでしょう。

3つめの「アウトプット」は、テストなど、時間的な制約やプレッシャーがかかる中で、自分の実力を発揮する段階。テストで力を発揮することをゴールのように扱うこともありますが、より本質的には、テストを通して学力を向上させ、知識を活用しながら社会で価値を発揮する力を育むのが、教育の1つの目的だと考えられます。

「これまで、eラーニングであれ、リアルの教育であれ、1つめ、または2つめの階層に注目しており、3つめの階層であるアウトプットの領域については、あまり注目されていなかったのではないか」と、大生氏は指摘します。

「この3階層と生徒のモチベーションを並べてみると、実は習った瞬間(1つ目の階層)が「わかった!」という感覚を持っていて最もモチベーションが高い。しかし、習ったことを使って宿題をやってみると、実はよくわからないことも多いし面倒になる。さらにテストになると、できれば避けたいもの、嫌なものになってしまっているのではないか。つまり、モチベーションは先細りの逆三角形になっている」

これは自身の学習体験を振り返ってみても、納得感があります。更に大生氏は、「学力を身につけるためには、それではまずい。テストが楽しい物になれば、テストに向けてどんどんやる気がでるようなモチベーションの三角形ができるのではないかと考えた」と続けます。

つまり、FLENSのサービスは 「いかにアウトプットの段階を面白いものにするか」に注目したサービスと言えます。知識を修得する上で、継続することは非常に重要であり、そのためにいかにモチベーションを保つか、やる気を喚起するかというのは、議論の尽きない課題ですが、これに対して、学習者同士のコミュニケーション/コミュニティに注目(ソーシャルラーニング)したサービスが多い中、「テストを面白くする」に注目したところに、FLENSのユニークさがあります。

「3つめの階層であるテストを面白くすることで、そこに至る途中の1,2の階層にモチベーション高く取り組むことができる」と言います。これは、既に1,2の階層に多く展開されているサービスとFLENSのサービスは競合するものではなく、良い教材に対して、テスト、練習試合の場としてFLENSを活用することで、より既存の教材に生徒がモチベーション高く取り組んでくれるようになる、ということです。
「FLENSの価値は、タブレットで学ぶ前まで(インプットや宿題をいかに一生懸命学ぶか)」「タブレットで勉強できて楽しね、というのは価値ではない。授業を一生懸命聞いて、一生懸命勉強するところが価値だ」と大生氏は言います。
また、いかにテストを面白くするのか、という仕組みの発想の原点には「オンラインゲーム」の「いつでもどこでも1人でゲームをできる時代に、わざわざ毎週、決まった時間に、リアルを調整してみんなでゲームをする。それも、異常にモチベーション高く」という体験があるそうです。

では、具体的にFLENSがどのような仕組みとなっているのか、またその成果についても見ていきたいと思います。

  • 上部に問題が表示され、下部にペンタブレットで記入できる計算欄があり、上部の解答欄に記入。
  • 記入は自動で文字認識されて、入力・採点される。
  • タイムトライアル形式で、3分間テストを行い、3分間インターバル。インターバルの間に間違えた問題の復習などをする。
  • 画面には、全国の同じレベルのアバター(全国の生徒)が10人ピックアップされ、10人と競いながら学ぶ。(学校では同じクラスなど)
  • アバターはリアルタイムに順位が変動。
  • 同じレベルの学習者と競うので、よくできる生徒もライバルが見つかるし、できない生徒も一位をとるチャンスがある(いつも一位になることもいつもビリになることもない)

大生氏が、「教育、特に学校教育では、競ってはいけないよう風潮があるが、そうではない。塾などは以前からランキングなどを出している。一方、例えば、250位から230位になったといわれてもモチベーションはあがらない」と指摘するように、同じレベルの10人の学習者で競う点が、 ”勝った” 時の満足感や ”負けた” 時の悔しさはありつつもダメージが大きすぎない点でポイントだと言います。ちなみに、推奨機種としては、SHARP製の学習用タブレットとのことですが、Androidであれば基本的に動作するようです。また、学校用としてWindows版を2014年春にリリースする予定とのことです。

実際に成果があがっている例としては、学習塾では生徒数の増加、成績の向上や、学校の児童アンケート(6年生)や先生アンケートからもプラス効果が見られているとのことです。それまで、両親が競争は好きでないと思っていた子供が、「今日は何位だった」といつも報告するようになった、といった例もあるそうです。学校教育現場での試験運用では、「普通のアプローチでは、なかなかやる気があがらなかった生徒のやる気があがった」と先生、校長から驚きの声があがったそう。
大生氏は 「いっせいに生徒が集中する様子は、学習塾では見慣れたものだったが、先生や校長は、「スゴい」としきりにいっていた」と手応えを感じている様子でした。実際に、ペーパーテストの結果からも、全体のばらつきが改善して、低得点層が高得点へシフトする結果が得られたと言います。
また、「教職員サイドから見ると、手間がかからない」という声も聞かれたそうです。
これについて、大生氏は、「教育業界の「電卓」を目指している。だれでも使えることにこだわった」「実際に導入した学校でも、初回のみ多少のログインに関する説明は必要だったが、それ以降FLENSからの説明はゼロ。それくらい、だれでも使えるものでないと爆発的には広がらないだろう」「コンテンツやメソッドも大事だが、使いやすいこともサービスの1つ。いくら質の高いものであっても、それを使いこなすのに高いスキルが必要なのであれば、それは優れたサービスだとは思わない」と話してくれました。教育現場で広く普及する上で、直感的に使えることはとても重要だと感じます。

場の力で学ぶ「edu3.0」へ

最後に、大生氏はedu3.0について語ってくれました。

「edu1.0は、書籍や親方から学ぶ世界で、結果がでないのは学習者の責任という世界。先生が絶対的に偉い世界」「edu2.0は、先生側が重要で、先生がいかに生徒のモチベーションを引き出すかなど、成果が出ないのは先生の責任という世界で、教育もサービス業であるという認識になった世界。いまはこの段階だろう」「edu3.0は、先生が「教える人」ではなく、先生も生徒も学習の仕組み(システム)も含めた “場” での学びを設計していく世界。先生は、“場” の1つの要素に過ぎない。最先端ではこれを取り入れている」

以上、いかがだったでしょうか。

FLENS株式会社 大生氏のお話から、長年、教育の現場に携わった経験からくる、教育の本質的な課題へのアプローチ、そして教育現場への浸透まで考慮した点など、多くの示唆が得られるのではないでしょうか。従来のeラーニングやMOOC、反転授業とは違った切り口からも、ICT技術をうまく活用し、教育の現場がより面白い環境になっていくこと、そして高い学力が身につくような環境が広がっていくことを期待します。

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